- CDレビュー 特撮 -









ウインカー

2015/05/15作成

★★★★


2011年に再始動した特撮の9枚目のアルバム。
筋少の活動の合間にコンスタントにアルバムをリリースしていて、ある意味90年代筋少より忙しいのではないでしょうか、今のオーケン。(^^;

前作は震災の影響等もあったのか、攻撃性は控えめで、悲壮感や優しさを感じさせる作風でしたが、本作では「愛のプリズン」のような激しく攻撃的な曲も入っていて、「アリス」「人間蒸発」のようなダークなヘヴィロック、「シネマタイズ」や「7人の妖」のような、メロディアスなロックナンバーもありと、特撮の持ち味も大分復活しています。
勿論、前作に多かった切ないミドル曲も健在で、叙情的な「富津へ」や、どことなく不安になる不気味さも持ち合わせる、少しジャジーな「旅の理由」は、アルバムのターニングポイントとして機能しています。

歌詞の方は特撮、というかオーケンらしさ全開のサブカルアングラ臭のするものが多く(笑)、バイクで事故った女の子が、自分は生まれ変わったと名前を変えてセミナーを開いて、それを聞いた人達が蒸発してしまうといった世界観が、複数の曲に跨って描かれています。(;´▽`)

ここ最近の筋少や特撮のアルバムを聴いていて感じたことですが、筋少再結成後のオーケンは、筋肉少女帯は世間でのパブリックイメージに応え、エンターテイメント性を重視していて、特撮の方は、オーケン個人の世界観を重視しているのかな、とも感じました。
元々はパンキッシュでアングラな匂いの強かった特撮が、次第に大人びた落ち着きのある曲や、死生観の強い歌詞が増えてきたのは、年齢に合わせた作風の変化なのかもしれません。

大分脱線しましたが(笑)、本作はパンキッシュな曲やアングラな歌詞もありますが、それ以上に50歳を目前に迎えたオーケンらしい、人の生き死にや、人生を振り返ったり、これからの人生を見据えたりといった世界観も見え隠れする、初期特撮とはまた違ったアルバムだな、と感じました。



・お気に入りの曲
アリス
富津へ
旅の理由







パナギアの恩恵

2015/03/15作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
筋少の活動の合間をぬって同時進行していた、オーケンのもう一つのバンド、特撮の8枚目のアルバム。
本作は初期から続いた特撮の音楽性から最も変化を見せたアルバムという印象で、昔からのファンの間では賛否両論が起きたのではないでしょか。
NARASAKIさんの轟音ノイズギターは過去最高に控えめで、相対的に三柴さんのピアノが目立ち、オーケンの歌唱もシャウト、がなり等はほとんど無く、中音域をメロディアスに歌い上げる曲がほとんどを占めています。
本作は明るいアルバムにしたかったというオーケンなりのコンセプトというのもあると思いますが、特撮も長く活動しているので、これが本作だけなのか、今後に継続する変化なのかは、まだ未知数です。(^^;

・収録曲について
一曲目「薔薇園オブザデッド」から前述の通り、オーケンはあまり叫ばず、NARASAKIさんのギターも割りと普通のディストーションサウンドといった印象です。
そして本作には…どこか震災を彷彿とさせる楽曲があり、これがオーケンの明るいアルバムにしたいという発言と繋がっているのかもしれません。
「GO GO!マリア」では、瓦礫や遺留品で組み立てた少女人形に命を吹き込み、過去を知らずに生きて欲しいという願いを感じさせましたし、「桜の雨」では、当たり前の日常の最中に永遠の別れとなってしまった人達との再会、という光景をイメージさせてくれます。
オーケンなりの、天災へのやるせなさ、死生観、そして前向きであってほしいという優しさを感じました。

「タイムトランスポーター2「最終回ジャンヌダルク護送司令・・放棄」」で扱っている、タイムパラドックスで世界が消えてゆくというのも、もしもの世界を描いていると考えれば無関係とは言えないかもしれません。

オーケンらしい、UFOや探偵小説的な世界観を描いた楽曲もあり、「唇とUFO」では、オーケンが過去に筋少で語ったという「この世で最も不思議なものが、UFOと恋人」という発言を思い出します(笑)。

ラストのアコースティックな「ミルクと毛布」は、生まれたばかりの赤ちゃんと、業を背負って生きる大人達を対比したオーケンらしい歌詞ですが、そこには翳りよりも希望を感じさせ、これもまた、やり場のない怒りや悲しみを背負わされた人達と、これから生まれる新しい命のことなのかな…と、どうしてもアルバム前半の流れとリンクさせてしまいます。(;´▽`)

・まとめ
特撮らしいノイジーで爆発力のあるサウンドからはかけ離れているのですが、楽曲のクオリティ自体は高く、試行錯誤しているような印象もないので、ある意味最も初心者向けなアルバムかも!?
筋少や、オーケンの書籍から特撮に興味を持った人には勧めやすいかもしれません!


・お気に入りの曲
タイムトランスポーター2「最終回ジャンヌダルク護送司令・・放棄」
GO GO! マリア
桜の雨







夏盤

2015/03/08作成

★★★★


・概要、全体の印象
活動をインディーズへ移した特撮のリリースしたミニアルバムで、オーケンの小説、ロッキン・ホース・バレリーナと世界観の連動したアルバムだそうです。
ズバリ夏がテーマのアルバムなのですが、どう見ても海や青空の似合わない文系揃いのメンバーなだけあり(笑)、楽曲も夏を感じさせつつもどことなく翳りがありますw

・収録曲について
前半二曲「アングラ・ピープル・サマー・ホリディ」と「ロードムービー」は、NARASAKIさんのノイズギターがメインとなりつつも、三柴さんのキラキラとしたシンセや、突き抜けるようなメロディもあり、サマーソングらしい…いや、そうでもないかも(笑)。
曲は爽やかなのですが、やはりオーケンのアングラワールドが独特の翳を落としているのが面白いです(笑)。
サザンとかビーチボーイズとか、実在のバンド名が歌詞に多数出てきますが、ここらへんはインディーズだから可能だったのでしょうかw

派手なホーン・セクションと攻撃的なピアノが印象に残る「エレファント」は本作では変化球的な曲ですね。
コンセプトアルバムって、こういう敢えてコンセプトから外したような曲が数曲あると、不思議と全体が締まるんですよね。(^^;

「花火」や「シーサイド美術館」は、三柴さんの本領発揮とも言える、ピアノが美しい曲で、青空や海を思い浮かべる前半の曲とは対照的に、夜闇や、夏の終わりの寂しさを彷彿とさせる雰囲気。


・まとめ
コンセプトの統一されたミニアルバムということで、とても聴きやすく纏まっていると感じました。
青空や海の似合わないアングラバンドですが(笑)、オーケンの歌詞やNARASAKIさんのノイズも、不思議とサマーソングとマッチングし、不思議な世界観を作り上げています。
爽快で爽やか…とは言い切れない、曲者サマーソング達です(笑)。


・お気に入りの曲
エレファント
花火
シーサイド美術館







爆誕

2015/02/21作成

★★★★


・概要、全体の印象
筋肉少女帯凍結後にオーケンが立ち上げたバンド、特撮のファーストアルバム。
ヘヴィロックからアニソンまで作れるNARASAKIさんをメインコンポーザーに、80年代筋少の三柴さんも加入し、筋少とはまた違ったオーケンワールドを聴くことが出来ます。(*´▽`)

歌詞は90年代後半の筋少と比べてややダーク寄りで、初期のアングラな雰囲気が少し蘇った感じです。

・収録曲について
シングル曲でもある一曲目「アベルカイン」から、轟音ギターとオーケンのがなりヴォーカルで突っ走る、本作の全体的なスタイルを体現し、所々に三柴さんのピアノがピンポイントで色を添える流れ。
前半の勢いからは、オーケンのこのバンドへの意気込みの強さを感じさせます。
自身を登場人物とした自虐メタ歌詞の「文豪ボースカ」や、メロでがなるオーケンから、サビで対照的な甘ったるい歌声(笑)のNARASAKIさんに切り替わり驚かせる「ピアノ・デス・ピアノ」等、勢いをそのままにフックのある曲も。

変拍子を取り入れた「美少年で探偵でS」や、某バンド名をもじった(笑)「マリリン・マラソン」は、アウトロで三柴さんの超高速ピアノが文字通りマラソンのように延々と続いたり、三柴さんの見せ場も多いのが、80年代筋少好きには嬉しいところです。(*´▽`)

・まとめ
筋少のgdgdな凍結劇から新たに始まったバンドだけに、良いものを作って届けたいという思いを強く感じ、成熟や余裕というものより、とにかく勢いを感じさせるアルバムです。
基本的に筋少が活動していない期間に活動することが多いので、筋少を聴いてオーケンの歌や歌詞が好きになったら、是非特撮も聴いてみることをお勧めします。(*´▽`)


・お気に入りの曲
身代わりマリー
文豪ボースカ
マリリン・マラソン





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