- CDレビュー LUNA SEAメンバーソロ音源 -




- 河村隆一 -

御存知、LUNA SEAのヴォーカリスト。
97年〜01年までの大衆向けポップス路線が有名ですが、
私は、02年のミニアルバム「人間失格」以降にファンになりました。
LUNA SEAが終幕したことで、彼の中で「RYUICHI」と「河村隆一」の境界線が、
薄くなっているのではないかと感じるほど、以降の楽曲はバラエティ豊かかつ、
バンドマン時代の顔を覗かせる格好良い曲も現れました。
そして何気に、邦楽界ではトップクラスの歌唱力を持っていると思います。








Magic Hour

2016/01/03作成

★★★★

LUNA SEAの活動が一段落してからリリースされたアルバムで、LUNA SEAやソロ前作とは打って変わって、今回はミディアム〜スローナンバーのみの歌モノで構成された、過去のアルバム「ピアノ」に近いコンセプトのアルバムです。
15年後、隆一が60歳になっても歌えるように、というコンセプトで制作されたようで、変化球や実験的要素は一切なく、ただ純粋に良いメロディ、良い歌声を届けようという意志が伝わってくるように感じます。
曲の構成もシンプルで、全体的に尺が短く、11曲中9曲が3分台なのも、老後も歌えるようにというところから来ているのかもしれません。
「Cold Rain -冷たい雨-」という曲があり、作曲が葉山さんということもあり、「ピアノ」収録の冷たい雨のリメイクかと思いきや、全く別の新曲でした(笑)。

「ピアノ」と決定的に違うところは、圧倒的な声量を聴かせるような曲はほとんど無く、力まずにマイルドに歌っているように感じます。
声量は隆一を語る上で欠かせない強力な武器であり魅力だと思うので、そこを期待してしまうとやや肩透かしを食らうかもしれませんが、休日に部屋や車なんかでのんびり聴くと、とても心地よい曲達が揃っているので、それこそ私たちも老後に聴いてみると、また素晴らしい発見があるかもしれません。(*´▽`)


お気に入りの曲:
Wisteria -ふじ-
Promenade -散歩道-
Architecture -魂のしくみ-









Concept RRR never fear

2014/11/17作成

★★★★☆

LUNA SEAの25周年ツアー前半戦が終わった直後にリリースされた、久々のミニアルバム。
隆一に限った話じゃないけど、LUNA SEAが一段落着いた直後にINORANやJもライブやってるし、よくスムーズに切り替えられるなあ、と感心してしまいます。(^^;

このアルバムのコンセプトは、隆一が近年よく掲示していた「ロックアルバム」でありますが、隆一のルーツとなっている1970〜80年代頃の軽やかなロックとは今作は異なり、凄まじい音圧とノイズに溢れた21世紀型のロックアルバムとなっています。
Roots Rock Ryuichiというコンセプトから、てっきり前作の作風を引き継いでいるのかと思っていたので、かなり驚かされました(笑)。

歌詞がタイトルの「Victory」のみの、インストに近いプレリュードナンバーから始まり、タイトル曲である「never fear」、中盤の「小さな花」「かけがえのない宝物」等、隆一得意の伸びやかな歌声で歌うバラードがアルバムの大半を占めるですが、エレキギターが今まで以上に強調され、ノイズ成分も非常に多いので、過去のアルバムと比べ、格段に迫力のあるサウンドになっています。
「taboo」では、VANILLA収録の覚醒を思わせるダークなロックも聴かせてくれます。

そして、本作のヤマ場であると言ってもいい「愛の唄」は、ギターにSUGIZO、ドラムに真矢を迎えて制作された曲で、イントロ聴いただけでSUGIZOがギターを弾いているのがすぐにわかる、バラードでありながら本作でも最大級の音圧とノイズが津波のように押し寄せてくる凄まじい曲です(笑)。
後に隆一のインタビューで知ったのですが、なんとLUNA SEAの曲選考にも出していた曲らしく、SUGIZOによるアレンジもその時のものだという衝撃の事実が明らかに(笑)。
確かにこれはLUNA SEAで演っても全然違和感ない曲だと思います…多分Graceとポジション争いをしたのかなあ、なんて想像していますw
そんな訳で、LUNA SEAは好きだけど隆一のソロは聴いてない、という人にも是非お勧めします(*´▽`)

ラストは「never fear」のピアノインストアレンジで、余韻に浸りつつ幕を閉じます。
全体的にも、隆一の歌い方がソロ時の柔らかい歌い方よりも、LUNA SEAに近い声を張った歌い方に近い印象も受けましたし、そういう意味でも、本作の「Roots」とは、隆一の音楽のルーツであるビートルズ等の60〜70年代ロックというよりも、隆一がロックバンドを始めた頃、即ちLUNA SEAを示す「Roots」なのかな、と思いました。


お気に入りの曲:
taboo
小さな花
愛の唄









Life

2013/10/26作成

★★★★

二年ぶりのオリジナルアルバムで、ミニアルバムと合わせると通算10枚目のアルバム。
先行シングル「七色」では、壮大なストリングスをバックに、張り裂けるようなヒリヒリとした歌声で歌い切る熱いバラードでしたが、今作のテーマは、ソロシンガー河村隆一なりの「大人のロック」がテーマとなっているようです。

あたまからアップテンポな曲が続きますが、LUNA SEAのようなハードな音ではなく、サックスやピアノ、ストリングスをミディアムテンポのバンドサウンドに乗せた、落ち着きのある正に大人のロックといった印象です。
シングル曲の七色までは序盤戦といった感じで、中盤では、INORAN作曲の四つ打ちナンバー「トパーズの丘」、一回聴いただけですぐにSUGIZO作曲だとわかる、コーラスとカッティングが異国情緒溢れる「永遠の詩」、そして、DEAD ENDの足立祐二さんがギターで参加している「My Love」は、変拍子に泣きのギター、そして隆一のロングトーンが合わさった、このアルバムのハイライトと言える、圧倒的で壮大なバラードてす。
ロックがテーマということで、隆一にとってのギターヒーローに集まってもらったとか(笑)。

アルバム終盤は、七色のカップリングとしても収録されていた、サビのコーラスがライブで合唱になりそうな「the earth 〜未来の風〜」、そして、繰り返されるサビがやがて転調して、じわじわと盛り上がってゆくバラード「女優 〜枯葉に落ちる優しい雨のように〜」で締め括られます。

今の隆一を聴いている方は、恐らくLUNA SEAファンの方が多いと思うので、ロックアルバムと聞いて、LUNA SEAのような音楽を期待してしまうかもしれませんが、あくまで歌をメインとしたバンドサウンドです。
ですがLUNA SEAに限らず、90年代以降のロックサウンドの洗礼を受けた世代ですと、どうしても自身のロックのイメージからの剥離を感じてしまいかねないので、あまり先入観を持たずに聴いた方がいいかもしれません。(^^;


お気に入りの曲:
七色
永遠の詩
My Love







LUNA SEAの再始動や、武道館104曲ライブを経て発表されたアルバムですが、どちらかと言うと、この年に起きた、東日本大震災からの影響が感じられるアルバムです。
「Fantasia」というタイトル通り、どこか非現実的、お伽話的な世界観だったり、自然や四季、人々の生活する世界の尊さを歌っていて、それは、この世の尊さの再認識や、大変な世の中だからこそ、幻想や空想の世界から学べるもの、得るものがあるのではないか、という考えから来ているようです。

歌詞のコンセプトは、ここ最近のアルバムの例に漏れず、非常に統一感があるのですが、楽曲の方は、ちょっと散慢で、押しが弱い感じもします。
バンドサウンドをメインにした曲も多いですが、全体的に優しい音色で纏められています。
6/8拍子のロッカバラード「マーメイド」と、近未来的な歌詞が異彩を放つデジロック「Brain」は例外で、今作でもロックの風味を強く感じられる2曲ですね。
中盤に収録されている、民族音楽的な「Symbolic Tower featuring AKANE LIV (from LIV MOON)」は、自然界にそびえ立った巨大な塔をイメージさせる曲で、「Brain」と並んで、今作での変化球的な曲です。
下町に建造された、某スカイツリーがモチーフかも?

ボーナストラックを除く、アルバムラストを飾るバラード「HANA」は、福島の原発事故からの影響が色濃く出た楽曲のようで、今作の中では抜きん出てインパクトのあるバラード。

全体的に、掴みどころが判りにくい印象もありますが、アルバムのコンセプト通り、幻想と現実の境目にあるような世界観を持ったアルバムだと感じました。


お気に入りの曲:
マーメイド
Symbolic Tower featuring AKANE LIV (from LIV MOON)
HANA

Fantasia
2012/02/25作成
★★★☆





通算6枚目のフルアルバム(ミニ合わせると8枚目)で、レコード会社移籍後初のアルバムというだけあり、着飾らないストレートでポップなアルバムというのが第一印象です。
が、ポップさの中に、近年の隆一の曲でよく見られる「孤独感」や、前作「ピアノ」で見せた、レトロな世界観、低〜中音域のメロディが折り込まれ、詞曲共にぐっと深みが増しました。

一曲目「大空の記憶」は、その歌唱力と声量が遺憾無く発揮された壮大な曲で、シングルになった「Brilliant stars」「抱きしめて」は、8ビートのポップスと情熱的なバラードという、隆一のパブリックイメージに応えたかのようなスタンダードナンバー。
軽快なリズムが癖になる「薔薇のプリンシパル」「光のカゴ」、アコギと歌のみの、押尾コータローさんとのコラボ曲「草笛」がアルバム全体のフックになり、ラストはバラード三連発で締め括られます。
このバラード三曲、それぞれメロディのタイプが異なるので、人によって好みが分かれそうです(笑)。
ちなみに私は「愛は」が好きです。

アルバム全体の印象を纏めると、「ピアノ」やミニアルバムのようなコンセプチュアルな感じではなく、「バニラ」や「ORANGE」のよう な色々な曲調が入っている訳でもなく、ある意味、ソロ最初期のイメージに近いかもしれません。
もちろんあの頃そのままという訳ではなく、13年分の進化、深化をしっかり感じ取れるかと思います!


お気に入りの曲:
Brilliant Stars
愛は
your beat

Sora
2010/06/14作成
★★★★





ソロデビュー11年目、LUNA SEA一夜限定LIVEの翌年に発表されたアルバム。
タイトルの通り、収録曲は全て、作曲の際にピアノを用いて作られたらしく、全体的にアコースティック色の強いアルバムになっています。

シングルにもなった「ヒロイン」は、ストリングスとピアノ中心のバラードですが、前作「once again」のような壮大な感じではなく、しっとりとした大人っぽいバラードになっています。
この、大人びた落ち着いた作風は、アルバム全体にも言えることで、和服を来た隆一の写る、セピア色のジャケットは、正にアルバムの世界観を表現したものだと感じます。

演奏やらクオリティやらがどうこうではなく、純粋に「歌」を楽しめるアルバム、といった印象を受けました。
急かされる通勤や通学時より、休日にリラックスした気分で聴きたい感じですね(笑)。

アルバムの中では若干変化球となっているのは、少し速めな8ビートに乗ったサビが心地いい「冷たい雨」と、冷めた打ち込みのリズムが、歌詞中の「大都会の乾いた風」を表現しているかのような、シリアスな雰囲気の「夢のカケラ」。
この二曲がいい感じにアルバムのスパイスになっていると思います。

個人的な好みの話になってしまうのですが、元々LUNA SEAのファンであった私は、河村隆一のソロ楽曲に対しても、どこかLUNA SEAの影を求めてしまう傾向にありました。
ですが、今回のアルバムで、本当の意味で、河村隆一というソロシンガーのファンになれた気がしました。


お気に入りの曲:
冷たい雨
夢のカケラ
柘植の櫛

ピアノ
2010/05/29作成
★★★★★





2002年の夏にひっそりとリリースされたミニアルバム。

ソロになってからの、あのお花畑が見えそうな(汗)ポップ路線からは想像も出来ないような、翳のある曲がそろってます。
この後、ベストアルバムを連発し、レコード会社を移籍したので、このアルバムを創る際、何かしらの心境の変化があったのでしょうか。

マイナー進行の曲や、エレキギターを大胆に導入したりと、まるでLUNA SEA時代を彷彿させる感じがし、河村隆一の転機となった作品なのではないでしょうか。
隆一は、自身のソロ活動の方向性を、LUNA SEAのRYUICHIに対するアンチテーゼと語っていたので、LUNA SEAが終幕することで、ソロの音楽性にも変化が及んだのでしょう。
この後リリースする「VANILLA」では、今までのポップでわかりやすいイメージと、このアルバムやLUNA SEAでのイメージを融合させた音楽を聴かせてくれます。

尚、初回盤に付いている詩集は、落ち込んでいる時には決して見てはいけないくらいの、重々しい言葉が沢山綴られています。
勿論、ただ暗く重い言葉を羅列しただけのような軽々しいものではありませんので、人生に迷った時に、ふと思い出して読んでみると、何かを見つけられるかもしれません。


☆お気に入り曲

So Deep
古の炎
Stop the time forever

人間失格
2006/03/05作成
2009/01/05加筆修正
★★★★☆





- SUGIZO -

LUNA SEAの上手ギタリスト。
この人のソロ音源では、色々な音楽を取り込み放題の凄まじい世界観が爆発しています(笑)。
浮遊感のある、アンビエント風なサウンドから、ミクスチャー系のゴリゴリサウンドまでカバーし、
高音域を主体とした感情的なギターメロディも、LUNA SEA時代よりもより自由に、より混沌としています。
興味の沸いた音楽を貪欲に取り入れ、瞬く間に自らの血肉に変えてしまう、真のアーティストです。










2017/06/23作成

★★★★☆

SUGIZOの四年ぶりのオリジナルアルバム…ですが、この人はオリジナルアルバム出すのに4〜5年開けることがほとんどですね(笑)。

前作ではクラブミュージックとロックギターの融合を図っていましたが、本作ではクラブ・ダンス要素はほとんど消え失せ、強烈なノイズギターとハードなシンセ音、ドラムンベース等を中心としたノイズサウンドが主軸となっています。
クリーントーンのアルペジオやピアノ等、スペーシーな要素も残ってはいるのですが、アルバム全体をここまでノイズ塗れにしたのは本作が初めてだと思います。
ギターはメロディアスなフレーズやロック的なギターリフよりも、叫ぶようなハイトーンや、音階の潰れたノイジーなリフが多く、ジャンル的にはインダストリアルやノイズミュージックに限りなく近付いているという印象を受けました。

SUGIZO本人が、今までで最も醜いアルバムと評しているだけあり、ノリノリになって踊れるような曲は全くありません(笑)。
でもSUGIZOファンなら、醜いアルバムなんて聞いて期待しない訳ないですよね。(^q^)

今までのアルバムの特徴を並べつつ比較するとしたら、
SUGIZOの多彩な音楽性を楽しむのなら「TRUTH?」
ヴォーカリストSUGIZOを楽しむのなら「C:LEAR」
歌うようなメロディアスなSUGIZOギターを楽しむのなら「FLOWER OF LIFE」
SUGIZO流ダンスミュージックを楽しむのなら「TREE OF LIFE」
そして、陰鬱で閉鎖的なSUGIZOサウンドを楽しむなら、本作「音」をお勧めしたいです!


お気に入りの曲:
IRA
Decaying
時の闇







LUNA SEA終幕後初のアルバムで、ロックをベースにしながらも、様々な音楽性を取り込んでいて、このアルバム一枚で、色々楽しめる感じになっています。
もちろん、SUGIZO節全開のギタープレイも万遍なく(笑)。
シングル曲に関しては、終幕後から活動していた「SUGIZO & THE SPANK YOUR JUICE(スパンキーズ)」で発表されたものですが、アルバムはSUGIZO個人の名義となっているのは何故だろう・・・。(^^;

この時期に流行っていたヘヴィロック的な要素が色濃く出た「NO MORE MACHINEGUNS PLAY THE GUITAR」や、スパンキーズの音楽性を強く感じる、ミクスチャーロック「傀儡」や、ファンクやジャズ的な雰囲気の「PERFUME」、事故や自殺等で、亡くしてしまった友人達のために作られた、生命の尊さを歌う「Dear LIFE」、そして、SUGIZO個人の音楽性が強く出ているのが、限りなくインストに近い「INITIATION」「赤い海と黒の空の素粒子」等々・・・全体的にバラエティ豊かですね。
そして、それらの音楽性が全て交わったかのような、強烈なトランスロック(?)「RISE」が一曲目に配置され、この曲がアルバム全体のインパクトを総浚いしていると言ってもいいくらい格好良いです(笑)。

サウンドは最高に格好いいのですが、どうしてもSUGIZOのヴォーカルに力不足を感じてしまうのも事実・・・(汗)。
それが気にならなければ、ライトユーザーから、ヘヴィなマニアまで楽しめるアルバムだと思います。
SUGIZOのアルバムの中では、歌モノの多さやスパンキーズのキャッチーさもあり、最もとっつきやすいアルバムでもあると思います。


☆お気に入り曲

RISE
赤い海と黒い空の素粒子
Dear LIFE

C:LEAR
2006/06/20作成
2012/04/14加筆修正
★★★☆





1997年の、バンド活動休止期間に発表された、ファーストソロアルバムで、RYUICHIとは全く逆方面で(笑)、LUNA SEAとは違う顔をのぞかせたアルバムですw

先行シングルでもある「Lucifer」から、既にドラムンベースを導入したりと、デジタル方面への方向性が見えていましたが、蓋を開けてみれば、アンビエント的な曲調に、女性ボーカルやSUGIZO本人のコーラスや、ヘヴィなギターリフ、キラキラとした儚いアコギのアルペジオ、ミック・カーンのフレットレスベース等が混ざり合う、浮遊感を強く感じる実験的な楽曲で締められた、ある意味ギタリストのソロアルバムとはとても思えないアルバムです(笑)。
ミック・カーン以外にも、LUNA SEAの真矢や、なんと坂本龍一までゲスト参加していたりします(!)。

アコギや女性のコーラスにはある意味での癒しのような感覚も感じますが、激しいドラムンベースや歪んだノイズギターも随所に挿入され、気に入ったものはなんでも取り入れ、血肉に昇華してしまうSUGIZOらしい作風ですね(笑)。

LUNA SEAのファンは、生のバンドサウンドを好む人が多いからか、当時はあまり評価されなかったそうですが、このアルバム自体、時代を先取りしていた感もありますし、ロックファン以外の層に受けたのではないか、との評価も聞きます。
ですが、このアルバムをきっかけに、生演奏好きなリスナーが、打ち込みやサンプリング系サウンドの魅力に目覚めてくれる可能性もあるのでは、というのが私の考察です。


☆お気に入り曲

THE CAGE
KIND OF BLUE
DELIVER...


TRUTH?
2012/04/14作成
★★★★





- INORAN -

LUNA SEAのもう一人のギタリストであり、「引きの美学」を体現している人です(笑)。
派手でアバンギャルドなプレイで目立つSUGIZOとは対照的に、
ストロークやアルペジオでコードを鳴らすプレイが多く、
一見地味ですが、楽曲に無くてはならない音を担当しているので、
ただの脇役に終わらないのは流石。

ソロでは、バンドの時と同じく、浮遊感と中毒性のある、不思議な楽曲を作る所も魅力的で、
ループするサウンドとメロディが非常に癖になる、スルメソングが多いです(笑)。






前作で、その音楽性を劇的に変化させたINORANの9thアルバム。
その前作「Teardrop」で見せた、ストレートかつアッパーなロックサウンドを引き継ぎ、前作より開放感が増した感覚を受けました。
前作のニルヴァーナ的な、どことなく湿った感じから、軽快でアメリカンなロックに進化(変化)した印象です。

軽快なシャッフルナンバー「Get Laid」や、土屋アンナさんとのデュエットを披露した「no options」等の変化球も挟みつつ、全体的にノリがよくシンプル。
シングル曲である「Hide and Seek」は、激しいサウンドながら、クールで色っぽい大人のロックナンバーで、このアルバム一番のお勧め曲です。

9曲目に、アコギによる唯一のインスト曲「HOME」を挟み、かつてINORANが在籍したユニット、FAKE?のカヴァー「LEMONTUNE」で締めくくられます。

全体的に明るい作風になったので、前作から、グランジっぽい陰のあるサウンドを期待していたので、ちょっと肩透かしを食らってしまいましたが、スルメ曲職人のINORANですから、聴きこむことで、また印象が変わるかもしれません。(^^;

☆お気に入り曲

smoke
no options
Hide and Seek

DIVE YOUTH, SONIK DIVE
2012/08/08作成
★★★☆





2011年に発売された8thアルバム・・・ですが、サイズ的にはミニアルバムに近いかもしれません。
全7曲で、うち2曲は1分前後のインスト、4曲は3分台、そして最後の曲に関しては、なんと2分7秒という短さなのもあり、アルバム全体の演奏時間は、なんと19分という(笑)。

しかしそれ以上に驚くのが、楽曲の方向性が、今までのINORAN・・・いや、LUNA SEA時代からのINORANでさえも考えられない方面へ向かっていること。
INORAN本人が「とにかく強いものを作りたかった」的なニュアンスで語っていた通り、一曲目から、まるでニルヴァーナを彷彿とさせる、ノイジーなギターリフでガンガン押す攻撃的な幕開けとなり、事前にPVも公開されていた、2曲目の「SuperTramp」は、軽快な8ビートに、シンプルなリフとメロディが乗る、非常にストレートなロックナンバーです。
インスト曲2曲を除き、綿密に作りこんだ、哀愁とマニアックさを同時に持つINORAN楽曲の姿は無く、3ピースのシンプルな演奏と、全英歌詞の、攻撃的でシンプルなメロディという、大胆な方向性へシフトした感じです。
しかし、彼の持ち味が失われてしまった訳ではなく、前述の「SuperTramp」なんかは、激しい中にも、INORANらしいループ感も持ち合わせていて、不思議な中毒性があります(笑)。
激しさから来る高揚感と、繰り返されるフレーズから来るトリップ感が同時に味わえる、といった感じでしょうか(笑)。

収録曲の少なさは、LUNA SEA側のキャンペーンの関係で、半ば急いで出された感じも否めませんが、次アルバムも今作に近い方向性で作られているようなので、今作の音楽性の変化に対しての評価は、もう少し様子見した方がいいかも?

☆お気に入り曲

No Name
SuperTramp
Parallel Reality

Teardrop
2012/06/04作成
★★★☆





2009年に発表された7thアルバムは、再び歌モノアルバムとなり、アルバムタイトルの「Watercolor」が、まさにINORANお得意の美しいアルペジオのイメージとドンピシャです(笑)。

方向性は、前々作「apocalypce」に近く、ノイジーなバンドサウンドで、キャッチーな楽曲や切ない哀愁ナンバーが演奏されているのですが、今作では、今まで以上に、音色の「綺麗さ」が際立っている感がします。
特に二曲目の「Calling down」のイントロは、アルバムタイトル通りに、水中、もしくは穏やかな水の流れを感じるような曲調で、INORAN楽曲史上、最も美しいイントロだと感じた程です。
それ以外の曲も、ノイジーなサウンドの上に、綺麗な水の流れを連想させるような、綺麗なクリーントーンやストリングス等が流れ、アルバム全体のサウンドコンセプトが脈々と流れています。

ここまで聴くと、「apocalypce」と並ぶお気に入りアルバムになりそうだったのですが、今作唯一のINORAN以外の人間が作曲した曲が、どうしても浮いて聴こえてしまうのが、唯一の欠点だとも感じました(汗)。
「apocalypce」で、葉山さん等、他のアーティストが作曲や作詞をした曲は、どれも素晴らしい曲だったのですが、今作のは某若手バンドからの提供だからか、INORANのカラーを意識しようとして、滑ってしまっている印象を受けてしまって。

逆に言えば、それが気にならなければ、捨て曲なしの素晴らしいアルバムであるとも言えます。(^^;

☆お気に入り曲

Calling down
サヨナラ
Daylight

Watercolor
2012/05/03作成
★★★★





6thアルバムは、初めてのインストゥルメンタル・アルバムです(ボーナストラックを除く)。
新曲の他に、ホームページやイベント等で使われていた曲も纏められていて、聴いたことはあったけど、音源化されていなかった、という曲が収録されています。

SUGIZOとはまた違ったベクトルで、音の魔術師っぷりを発揮しているINORANのインスト曲には、基本的に外れが無いのですが、今作は、数曲を除き、本人のギターが入っておらず、打ち込みメインのループサウンドとなっているので、彼の繊細なアルペジオを期待していると、ちょっと肩透かしを食らってしまうかもしれません。(^^;
前半はドシドシとした4つ打ちのクラブ系サウンドを彷彿とさせる曲が続き、後半ではINORANのギターも登場し、1st〜2ndの頃のようなアンビエント風味な曲も登場します。

ラストには、ボーナストラック的な位置付けで、「千年花」の女性ボーカル版的な「Journey」が収録されています。
歌だけ差し替えた訳ではなく、アレンジも全体的に変更され、原曲はバンドサウンドでしたが、こちらは打ち込みとストリングス中心になっています。

やや取っ付きにくいアルバムではありますが、耳に馴染んでくると、ループする曲調の中から好きな音色やフレーズを見つける事が出来、お気に入りのアルバムに化けるかもしれません(笑)。

☆お気に入り曲

Runnin'
Seam
a symmetry

Shadow
2012/05/03作成
★★★☆





INORANの5thアルバムで、私にとっては、2ndアルバム以来、久々に聴いたINORANの作品です。

3rd〜4thアルバムでは、キャッチーで明るい作風が色濃くなってきていましたが、7年ぶりのLUNA SEAとしての活動の影響もあってか、5thである今作は、激しさと暗さが強くなった印象を受けます。
そして、今まで以上にサウンドにぶれが無く、芯の強さ、ソングライターとしての個性が増した感じがしました。
2007年のLUNA SEA一夜限りの再結成の時に、新たにコーラスを担当出来るくらいに、ソロ活動で格段に進化した歌唱力が、それを更に後押ししています。

前半はキャッチーで激しめな楽曲で攻め、5曲目の「千年花」から、INORAN定番の哀愁ナンバーが炸裂、インストを挟んでの中盤からは、ソロ活動初期を思わせるダークな「Regret」「時の葬列」と続き、ここからラストに向け、再びキャッチーで明るい方向へ戻る、という構成になっています。
今作は、作詞や作曲に、Tourbillonの葉山さんや、隆一の曲に歌詞を沢山書いている、吉田美智子さんが参加しています。
ソロだからこそ、セルフプロデュースにこだわり過ぎず、良い音楽を生み出すためにコラボレーションするところに、大人の風格を感じました。

勢いのあるポジティブナンバー「Rightaway」INORAN伝家の宝刀的必殺哀愁ナンバー「千年花」、そしてコーラスとハンドクラップが印象的な「Hydrangea」は、今作一番のお気に入り。

13曲中4曲がインストですが、INORANのインストにハズレは無しなので、そこらへんも安心ですよ(笑)。


☆お気に入り曲

千年花
Hydrangea
Regret

apocalypse
2009/11/13作成
★★★★☆





LUNA SEA一夜限りの再結成を経た翌年にリリースされた、初のベストアルバム。
2nd「Fragment」から、4th「ニライカナイ」までの音源からセレクトされた14曲に、新曲である「I swear」を収録した全15曲。

ダークでアンビエント的な音楽性を発揮していた「Fragment」と、ポップ路線を新たに見出した「ニライカナイ」に、その中間、過渡期的な「Photograph」から、バランスよく楽曲が選ばれているので、このアルバム一枚で、INORANの様々な方向性を聴くことが出来ます。
特定の方向性に特化したオリジナルアルバムでは味わえない構成で、初心者へ勧められるベストアルバムとして最適です。
もちろん収録曲はアルバム曲だけではなく、「Can you hear it?」は、シングルのカップリングに収録されたバージョンが入っていますし、2004年にFC限定で発売されたシングルに収録された、6/8ナンバー「Felicidad」と、ループ系のインストゥルメンタル「Waves」も収録されているため、買い逃したファンには嬉しいところですね。

新曲「I swear」は、アレンジにTourbillonの葉山さんが参加した、豪華なストリングスをフィーチャーした曲で、メロディ、曲調共に、INORAN伝家の宝刀が炸裂した、従来のファンはもちろん、このアルバムから入る初心者さんにもお勧め出来る、必聴曲です。(*´▽`)

1stアルバム「想」からは一曲も収録されませんでしたが、やはり作風が2nd以降と全く違うため、浮くと考えての未収録なのかもしれません。(^^;


☆お気に入り曲

Spirit
Waves
I swear


THE BEST
2012/04/29作成
★★★★☆





前作から一年のスパンでリリースされた4thアルバムで、前作で現れ始めたポップ路線が、確実にカタチになったと言える、ある意味、INORANの方向性の一つの決定版とも言えるアルバムかもしれません。

一曲目の「Determine」は、ミドルテンポながらノリのいいロックチューンで、その後もINORANらしい、テンポ抑えめな曲が続くのですが、前作あたりまで見られたアンビエント、ヒップホップ風なサウンドは影をひそめ、全体的に前向きでポップ、そしてスケール感のある楽曲が並びます。
例えるのなら、今までのINORANが夜景や雨の日をイメージさせるとしたら、今作は、広い青空と、広大な海をイメージさせるような楽曲が多く収録されています。
「時の色」等、RYUICHIに歌わせても違和感ないような直球なバラードナンバーまでも披露され、それを歌いきれるだけ、INORANの歌唱力も増してきています。

少し余談になりますが、INORANはTourbillon結成時に、LUNA SEA結成から今まで(2005年あたり)が、自分の音楽人生の第一章で、ここから第二章を始めていきたい、と語り、後に前作「Photograph」がリリースされました。
おそらく、その時に彼が語っていた「第二章」を色濃く表したのが、このアルバムなのかもしれませんね。

ダークでアンニュイな路線が好きだったファンからは、少し戸惑いの声もあったようですが、そこは流石のINORAN、次回作である「Apocalypse」は、言うなれば彼の第一章と第二章を融合させたかのような、傑作になっています(笑)。


☆お気に入り曲

Determine
Cloudiness
時の色


ニライカナイ
2012/04/29作成
★★★★





2006年に発売された、前作から5年ぶりのアルバム。
これがリリースされるまでは、TourbillonやFAKE?等、別のバンドのメンバーとして活動していた影響からか、前作とは様々な面で変化を感じ取れます。

まず、歌が上手くなっています(笑)。
前作までは、本人も言っていましたが、歌うというよりは、語るようなヴォーカルスタイルでしたが、今作ではエフェクト加工も控えめになり、前作の重厚さから一転、すっきりとしたサウンドに合わせ、爽やかな歌声を聴かせてくれます(笑)。
ヴォーカルスタイルの変化が曲調の変化を求めたのか、それとも逆なのかはわかりませんが、楽曲も、今までのINORAN作曲の曲に持たれていた「ダークで繊細なミディアム・ロックナンバー」というイメージから脱却し、サウンドの重々しさは控えめになり、歌詞や歌声からも、前向きな力を強く感じます。

そして、1stアルバムで自らが初めてヴォーカルをとった楽曲「想」のセルフカヴァーも収録されています。
アンビエント風だった原曲とは違い、バンドサウンドでアレンジされ、サビではかなり攻撃的な曲調になったりと、最早別の曲に生まれ変わったようにすら感じます(笑)。

新しい風を強く感じるアルバムではあるのですが、何というか、過渡期的な雰囲気もあり、どことなく垢抜けていない印象も感じるのは、先にベストアルバムを聴いてしまったからなのでしょうか。(^^;
良い曲もあるのですが、同じポップ路線のアルバムとしては、次回作の「ニライカナイ」と比べると、やはり垢抜け切れてない印象を感じてしまします。


☆お気に入り曲

Raize
Numb



Photograph
2012/04/22作成
★★★





LUNA SEA終幕後にリリースされた、INORANの2ndソロアルバムで、終幕から半年強でリリースされ、メンバー5人のうちで、まさかのINORANが真っ先にフル・アルバムをリリースし、関係者やファンを驚かせたとか何とか(笑)。

1stアルバム「想」では、バンドサウンドとはかけ離れた、アンビエント系のサウンドに、ゲストヴォーカルの歌(ラップ)と英詩が乗るという、ギタリストのソロアルバムらしからぬ作風でしたが、今作は一転、ガッツリとバンドサウンドで固められています。
収録された楽曲は、分厚い音の壁に、繊細なアルペジオが混ざるミディアムナンバーがほとんどで、LUNA SEAで彼がやっていたことが、そのままソロ作品として活かされたという印象を受けました。
先行シングルとしてもリリースされた「Won't leave my mind」なんかは、まさにINORAN節炸裂といった感じの、渋いミディアムテンポのロックですし、2曲目の「Spirit」は、重いリズムと分厚い音圧が、後期LUNA SEAを連想させます。
もちろんそれだけではなく、開放的でキャッチーなメロディが、INORAN曲としては新しい印象の「Come closer」や、ある意味歌モノ以上に、INORANの音への拘りを感じるインスト曲「Bay」や「艶」も聴きどころです。
今作では、ヴォーカルは全てINORAN本人が担当していますが、基本的に歌を、他の楽器と同じラインで考えているINORANらしく、全体的にエフェクトがかかり、バランス的にもかなり引っ込んでいます。

後期LUNA SEAを彷彿とさせるサウンドメイクや曲調に、エフェクトのかかったヴォーカル等、今作以降のINORANとは少し異なる、「LUNA SEAのINORAN」の印象を強く感じるアルバムで、ある意味、LUNA SEAとソロの橋渡し的な作品になっている気がします。


☆お気に入り曲

Spirit
Won't leave my mind



Fragment
2012/04/22作成
★★★★





1997年の、バンド活動休止期間に発表された、INORANのファーストソロアルバム。

同時期にリリースされたSUGIZOのソロアルバムと同じく、バンドサウンドから離れた、アンビエント的な要素が強いですが、クリーントーンのギターと、ピアノ、うねるようなベースが中心となった、アナロギーなサウンドとなっていて、SUGIZOとは対極的で面白いですね。
ゲスト・ヴォーカルを招いた楽曲が大半で、作詞に関しても、それぞれのヴォーカルに任されています。
女性ボーカルが歌う楽曲はR&Bのような作風で、男性ボーカルの楽曲は、全編ラップで統一されています。
ゲスト・ヴォーカルが、一人を除いて全員外国人のため、歌詞はほぼ全て英詩ですが、INORAN本人が歌うリードナンバー「想」と、恐らく唯一の日本人ゲストと思われる、Ri-aという方が歌う、アルバムラストを飾る三拍子ナンバー「人魚」のみ、日本語詞となっています。
INORANの歌う「想」は、歌・・・と言っていいのだろうか、メロディに乗ってはいますが、ボソボソと口ずさんでいると言ったほうが近いかもしれません(笑)。
ファンの間で物議を醸し出していたようですが、無機質な楽曲と妙にマッチしていて、これはこれでアリかも・・・と私は思っています(笑)。
ですが、2006年発売のアルバムでセルフカヴァーされたり、2011年にこのアルバムがリマスター発売された時には、この楽曲のみが歌を中心にリテイクされていたりするので、本人も、この当時の歌唱力の低さは認めているのでしょう・・・(^^;

個人的に、2006年版のバンドサウンドでアレンジされた「想」より、今作に入っている原曲の方が好きだったので、2011年版の登場は嬉しかったですね(笑)。

LUNA SEA終幕以降は、バンドサウンド中心になっているので、今作はファーストアルバムにして、最も異質なアルバムかもしれません。
未聴の方にイメージを伝えるとしたら、2001年以降のインスト曲や、インストアルバム「Shadow」に、女性の歌やラップが乗ったものをイメージしてもらえると、わかりやすいかもしれません。


☆お気に入り曲

Resolution

Have You Read


2012/04/14作成
★★★☆





- Tourbillon -

RYUICHI、INORAN、H.Hayamaの三人で結成されたユニットですが、その実態は、
メンバー三人を中心とし、強力なサポートミュージシャンを加えたセッション・バンドという色合いが強い感じがします。

デビューライブや、その後のレコーディングに参加したアーティストは、
土屋昌巳、TOKIE、YUKARIE、村石雅行と強豪ばかり。
サウンドの方は、フュージョン的なサウンドで、メンバーの経験と実力があってこその、
しっとりとした大人のロックサウンドと言った感じですね。
今後の動きにも期待。








Life is Beautiful

2017/06/14作成

★★★☆


なんと10年ぶりにリリースされたニューアルバムで、オリジナルアルバムでは通算三枚目。

昨年にリリースされたベストアルバムに収録された新曲では、デビュー当初のTourbillonらしいサウンドが健在であることを証明し、今後への期待も高まっていましたが、本作はその流れに反し、どちらかというと守りの作風になっている印象を受けます。
Tourbillonの芯になっている、落ち着いた大人のロックサウンドに関してはしっかり引き継がれ、激しいだけがロックじゃないということを今作でも充分に発揮してくれているのですが、1st、2ndアルバムにあった実験的なサウンドや、LUNA SEA時代を彷彿とさせるダークな側面は影を潜めています。
今回はINORAN作の曲がタイトルトラックである「Life is Beautiful」のみなので、必然的に実験性やダークさが薄れ、RYUICHIとHayamaさんの色が強くなったのだと思います。
当時は終幕したままだったLUNA SEAが活動している状態で、LUNA SEA、ソロ、そしてTourbillonが同時に活動している状態は今回が初めてなので、作風が変わるのも当然といえば当然なのかもしれませんが、メロディアスなミディアムナンバーで大人のロックを楽しませる、というコンセプトは最近の隆一ソロとコンセプトが丸かぶりしてしまっているのがちょっと気になるところです。(^^;
このアルバムのリリースされた僅か二週前に隆一ソロのアルバムが出ていますし、時間が無かったのだろうか…(汗)。

もし次回作があるとしたら、ソロやLUNA SEAの製作期間とはしっかり住み分けてほしいのと、INORAN色をもっと強めに出してほしいですね。(;´▽`)


・お気に入りの曲
Song of 99
Love Life
Mirage





LUNA SEAとも河村隆一とも似付かない、3人の個性が完璧に融合したアルバム。

「J-POP特有のA面曲を並べたようなアルバムにはしない」というメンバーの思考から今作は、前作のしっかりとしたアレンジ+キャッチーなメロディという方向性は影を潜め、メロディより先にバンドサウンドが耳に届く、よりバンドらしいサウンドに仕上がっています。

RYUICHIが、今回はINORANの作品と言っても過言ではない、と言っていた通り、今作の作曲クレジットは、INORAN6曲、H.Hayama4曲、RYUICHI3曲、INORANとHayamaの競作が1曲と、前作とは全然違いますね。(^^;

今作の最も素晴らしい所は、歌詞の世界観が統一されていて、一種のコンセプトアルバム的な要素があることだと思います。
INORAN曲は、独特の浮遊感のあるスルメソングが多いが、人によっては、初聴きでのインパクトに欠ける場合があるので、Tr.02〜Tr.05のINORAN祭り(笑)でダレてしまう場合があるかもしれません。
LUNA SEAでgravityやMOTHERが好きになれなかった方は注意です。
前作よりずっとバンドサウンドが強調されていますが、Hayamaさんの丁寧なアレンジは健在なので、聴きやすさに関してはあまり問題はないかと思います。
初聴きのインパクトと、曲のキャッチーさは前作のほうが上だと思います。
歌だけでなく、サウンドを楽しみたい、という方には今回のアルバムもオススメできます。
今回は、INORANがメインとなっているだけあって、ジャンル分けが難しい、独特なクセを持つ曲が多いです。
Tr.02〜Tr.05までなんかは、完全に彼の世界です。INORANのソロアルバムに、RYUICHIがゲストヴォーカルで参加しているかのような錯覚を覚えたほどです。(^^;
実際、INORANは自身のソロアルバムで、ゲストヴォーカルを起用していたこともありましたしね。
そのINORANサウンドとの変化を付けつつ、キャッチーな方向性を避けながら作曲された感のあるのが、RYUICHIとHayamaの曲です。


尚、これから書く歌詞の解釈は、私の主観を用いた独自の解釈です。
実際、音楽雑誌のインタビューで、ライターさんがまったく違う解釈をしていましたし。(^^;

先行マキシシングルに収録された4曲に共通したコンセプト「終末、退廃、時代の流れ、人生」などを、今作でもしっかり受け継いでいて、全体的に暗い印象を与えます。
でもさすが、ただひたすら暗いのではなく、暗いテーマを歌いながらも、そこには救いがあるような、絶望の中にいながらも、希望を捨てない力強さが溢れ出ています。
世界の終末、人生の終わりを知りながらも、その足を止めることをしないTr.01「アゲハ」から始まり、様々な言葉を投げ掛けながら、インスト曲のTr.11「Karna」を挟み、Tr.12「Breezy Night Journey」では、世界の果ての楽園、人生の到達点を象徴するような「雲の上の楽園」が描かれ、自分の詩は、その楽園まで届いていたのか、と投げ掛けながら終わります。
そして、Tr.13「雨のリボン」で、再び現実の今の時間に戻ってきたような、現実的な世界が提示され、アルバムは終わります。

アゲハ等で歌われている歌詞の一部を解釈すると、「世界が終わりを向かえると知っていても、その羽根を休めはしない」 となるのですが、これは恐らく、世界を人生に例えているのかなあ、と。

「人生が終わりを迎える、生まれたときから死に向かって生きているということを知っていても、その足を止めることはない」 となるのかもしれない。

Breezy Night Journeyで歌われる愛の詩を送る、というのは、恐らく、自分がその楽園へ旅立つとき、その詩が届いているかということなのかな。
人生の終わりに、自分の生きた証が残せたか、届いたか、ということだと解釈しました。


☆お気に入り曲

アゲハ
Nameless Greenness
Breezy Night Jnurney

A Tide of New Era
2006/11/17作成
2009/01/05加筆修正
★★★★★





待ちに待った念願の1stアルバムです。
実は、2002年10月に発売した、イクシードの1stアルバム「Recovery and Reload」以来、約三年振りに店頭予約までして買ったアルバムです。(^^;
アルバムの内容は、7月2日の日本武道館ライブで演奏された曲目から選曲されています。

7月2日のライブを観た人を除き、未知の存在とも言えた、Tourbillonの全貌が明らかになったアルバムですね。
先にライブ版を聴きこんでしまった人は、「この曲はライブ版の方がいい」とかあるかもしれません(^^;
自分的には「杞憂」と「fight」がそれでした(苦笑)。
自分的には最高なアルバムなのですが、彼らの言う「上品な大人のロック」は、まだまだこんなものではない、とも感じました。
別にこのアルバムが不完全とか言ってる訳ではなく、このアルバムも凄い出来だけど、このバンドなら、次の作品で、軽くこのアルバムを超えるものを作ってしまいそうな予感すらします。
アルバムも満足、今後も期待大。素晴らしいアルバムだと思いました。

ある種、LUNA SEAを髣髴とさせるような雰囲気もあるので、メンバーのソロ活動にあまり興味がなかった方も、一度聴いてみるといいかもしれません。
といっても、試聴ではサビしか聴けないので、レンタルか、友達に借りるかしてみるのをお勧めします(笑)。
あとは、若者向けの、親近感溢れる兄ちゃん姉ちゃんを髣髴とさせるアーティストが多数を占める、現在のJ-POPシーンに飽きた方も、是非聴いてみてください。(^^ヾ


☆お気に入り曲

バラは散るために
杞憂
HEAVEN

HEAVEN
2005/12/09作成
2009/01/05加筆修正
★★★★








1年と4ヶ月ぶりのリリース・・・でしたが、タイアップ前提で作られたシングルのようで、今までのTourbillonの世界観とは全く繋がりがなく、正直言うと、とっても残念なシングルです(汗)。

作詞・作曲はタイアップ元が担当していて、Tourbillonは演奏と編曲、カップリングのリミックスのみ。ジャケットもタイアップ元の仮面ライダーのジャケしかありません。
曲調は、○イベックス等によくある、ロック+ダンス的な感じでしょうか。
どちらかというと、Tourbillonよりも河村隆一ソロ向けな楽曲だな、と感じました。
今までのTourbillonとは、パラレルワールド的なシングルとして考えれば、まあ悪くはないのかもしれませんが・・・(^^;


Break the Chain
2009/01/05作成
★★★


ソロ期間を一年挟み、再始動としてリリースされたシングルで、この一枚で、ミニアルバムを髣髴とさせる、しっかりした世界観を持っています。
初回盤にはPV付きのDVDが付きますが、カップリング2曲が入らないので、私としては通常盤をお勧めします。

ミドルテンポのロックサウンドに、崩れ逝く世界を歌う「アゲハ」、LUNA SEAの「gravity」を髣髴させる曲調の「Selfish」、ブロックごとにコロコロと曲調が変わる変則ロックナンバー「I know noting」、移り行く季節を歌う叙情的な「Season」と、曲調は様々ですが、それらの楽曲全てに、退廃的な世界観が漂っているという共通点があります。

作詞も作曲もメンバーがそれぞれ行いつつも、世界観の統一にはかなり気を配っていたみたいで、シングルにも関わらず、アルバムと同等の個性を放っているのが凄いです。


アゲハ
2009/01/05作成
★★★★☆


3連続リリース最後のシングルは、両面ともRYUICHI作曲で、バラードとスピーディなナンバーと対極的。
「もう一度君に」は、RYUICHIが今まで歌ってきたバラードの集大成とも言える壮大なもの。これはもうこの人以外歌えないだろってくらい、個性的です(笑)。
「FIORENTINA」は、ドラムンベース的な高速ビートに、ピコピコしたピアノ音や逆再生のギターノイズが乗る、軽快かつ不思議なノリ。


もう一度君に
2009/01/05作成
★★★☆


連続リリース第二弾は、INORAN作詞作曲と、Hayamaさんのソロ楽曲の組み合わせ。

「your place」は、優しいゆったりとしたリズムの、INORANならではの明るく暖かいノリの楽曲で、早くもバンドの代表曲となっているようです。
「舞」は、Hayamaさんのピアノを中心としたインストナンバー。


your place
2009/01/05作成
★★★☆


Tourbillon初のCD音源は、このバンドで初めて作られた楽曲「天国への道」(だったかな?)を原型に持つ「HEAVEN」と、少ない音数と限りなくインストに近い曲調で織り成される「Crisis of my life」という、初っ端から勝負に出たかのような、個性たっぷりのシングル。

これ一枚聴いただけで、新しいバンドへの不安等、一瞬で消し飛んでしまいます!(笑)


HEAVEN
2009/01/05作成
★★★★








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