- CDレビュー cali≠gari -







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みんなの発狂 [売名盤]

2017/05/28作成

★★★★


以前にグッズ購入時に配布されたCD-R「みんなのはっきょう」の完成版としてリリースされ、更に密室ノイローゼからのレーベル通算100枚目のCDとなりました(笑)。
憧憬、睡蓮と向日葵のツアーファイナルで発売予定だったものの延期となってしまい、9月の火の車ツアー初日から発売となりました。

レコーディングされ直した「みんなの発狂」、発狂ボイスが犬と猫の声になった「ドキドキ!ワンニャンランド篇」、演奏をバックに青さんとオネエ達がダラダラトークし続ける(笑)「新宿2丁目新千鳥街地獄篇」、間奏のハミングが豪華になっている「新世界篇」、所謂インストゥルメンタル「あなたの発狂篇」、そして、憧憬、睡蓮と向日葵ツアー全日程で披露された、みんなの発狂のライブ音源も収録され、なんと21トラックも同じ曲が収録されていますw

完全にファンアイテムですが、個人的には、曲が終わっても延々としょーもないトークを続ける「新宿2丁目新千鳥街地獄篇」がお勧めですw









憧憬、睡蓮と向日葵 [狂信盤]

2016/07/30作成

★★★☆


一般店頭販売の良心盤から二ヶ月ほど遅れて、レコ発ツアーファイナルであるEX THEATRE ROPPONGI会場で発売された豪華仕様です。

収録曲は良心盤と同じで、主な違いは、ジャケットがスリーブケース入りで観音開きの特殊仕様になっていて、収録曲にアレンジが加えられ、そしてメンバーへのインタビューを収録したDVDと、フォトブックが新たに付属しています。
「薫風、都会、行き行きて」はキーボードが目立つようになり、新たにYukarieさんのサックスが加わることで、ライブ版に近いアレンジになっています。
「ギラギラ」ではパーカッションが全編で鳴らされ、青さんだけだったバックコーラスが大勢でのコーラス(研次郎さん?)になり、「万歳!今日誰かが死んだ!」の箇所では、昔のcali≠gariみたいなふざけた台詞(バンザーイ!!シンダー!!みたいなw)が新たに収録されていますw

「陽だまり炎」は何故かドラムがエフェクティブに加工された打ち込みドラムになり、「蜃気楼とデジャヴ」は逆に打ち込みだったドラムが生になった他、Yukarieさんのサックスが加わり、イントロにドラムソロが追加されたりと、薫風以上に完全にライブ版を意識したアレンジになっていますね。
「アレガ☆パラダイス」もドラムが打ち込みに。
これは当初FC音源にする予定だった頃にはドラムが打ち込みだったらしいので、在るべき姿に戻ったのかも?(笑)
「憧憬、睡蓮と向日葵」は…すみません、これだけは違いがわからなかったです。(;´▽`)

インタビューのDVDは20分程度と、6000円という値段にしてはちょっと短いのが残念ですね。
ライブダイジェストやCM等も入っていますが、これらは全てYoutubeの公式チャンネルで観られますし。(^^;

曲のアレンジは正統進化というのとは少し違うので、良心盤と狂信盤、それぞれでどちらが好きか人によって分かれそうです。
まあ、全て正統進化されてたら、良心盤が未完成品みたいな扱いになってしまうので、私的にはこれで良いのではないかと思います。
それでも、陽だまり炎やアレガ☆パラダイスのアウトロはフェードアウトではなく、別アレンジにして欲しかったかなあ…。(^^;


・お気に入りの曲
薫風、都会、行き行きて
ギラギラ
蜃気楼とデジャヴ







憧憬、睡蓮と向日葵 [良心盤]

2016/05/22作成

★★★☆


夏をテーマにしたミニアルバムで、コンセプトアルバムとしては秀仁加入初のアルバム、ブルーフィルム以来。
秀仁がテーマに則った作詞を苦手としたことや、GOATBEDの活動が忙しかった都合等があってか、本作では久々に、青さんの曲が多めとなっています。
再結成後のアルバムで、秀仁ではなく青さんが全体を纏めたのも本作が初めてだったと思います。
編曲もcali≠gari名義ではなく、秀仁と青さん、そして青さん曲の一部は秦野猛行さんや白石さんとの合作となっています。

初夏の爽やかな暑さを疾走感で表現したオープニング曲「薫風、都会、行き行きて」や、ラストに収録されているどこか寂しげな、夏の終わりを想起させる「憧憬、睡蓮と向日葵」は、夏とは言っても、海!山!バカンス!みたいな感じではなく(笑)、どこかもの哀しげな作風なのが、とてもcali≠gariらしいというか、青さんらしいなと感じました。
まあ、ゴリゴリのギターリフに毒のある歌詞を乗せた「ギラギラ」や、トロピカルなダンスナンバー「アレガ☆パラダイス」等、真逆な曲も入っているのですが(笑)。
秀仁作詞作曲の「蜃気楼とデジャヴ」は、8期になってからやや影を潜めていたデジタル色の強い曲で、ドラムも打ち込みとなっています。
秀仁としてはめずらしい色恋色の強い歌詞(?)で、Twitterの感想では、夏というより熱帯夜(意味深)なんてウマい表現も見かけましたw

コンセプトアルバムとしては、青さん曲が充分その役割を果たしているので、夏なのかよくわからない(笑)秀仁曲と研次郎曲もアクセントとして機能していると取れるのですが、6曲中3曲がサビでフェードアウトして終わるというのが、個人的にちょっと不満です。(;´▽`)
多忙なスケジュールや秀仁PCのクラッシュ(!)というアクシデントもあり、秀仁曲が間に合わず、FC更新特典だったアレガ☆パラダイスが代わりに収録されたりと、制作のドタバタがやや反映されてしまっているのかしら。
不満は多いですが、全曲アレンジがされるという狂信盤の方向性次第で、本作が未完成版みたいになったら、それはそれで納得いかないので、どちらも楽しめるようなアレンジになることを期待しています。(^^;


・お気に入りの曲
ギラギラ
蜃気楼とデジャヴ
アレガ☆パラダイス







12 [狂信盤]

2015/04/12作成

★★★★


・概要、全体の印象
ドラマー武井誠の脱退による、衝撃の第7期終了から半年、第8期として始動したcali≠gari最初のリリースとなったアルバム(狂眩は誠も参加しているので7.1期と判断w)。

メンバーは残った三人となり、四名のドラマーをサポートメンバーとして迎え、ライブでも定番となったキーボードの秦野猛行さん、CD音源では恐らく初参加となる、サックスのYukarieさんを迎え、サポートメンバーもcali≠gariのメンバーだと意識してか、アーティスト写真にも全員が参加し、ブックレットには9人ものアーティストが肩を並べる豪華さに(笑)。
しかも秦野さん以外はcali≠gariメンバーに合わせたビジュアル系な姿ですw

正規ドラマーを入れたかったが決まらなくて、結果的にサポートドラマーを起用することになったという経歴もあり、用意された曲を叩いてもらうという一般的なスタイルではなく、四人のサポートドラマーが決まってから、ドラマーに合わせて秀仁と青さんが作曲をするという異例のスタイルとなっていて、その影響もあってか、実験室時代を思い出させる、良い意味で多彩でしっちゃかめっちゃかな作風です(笑)。

・収録曲について
のっけから、死ねばいいのに死ねばいいのにという秀仁のアカペラから始まる「わるいやつら」の衝撃は、第6実験室の187を思い出させますね(笑)。
青さんの曲が一曲目を飾るのもめずらしい…と思ったのですが、第6から数えると半々なんですね。
ノイジーなバンドサウンドにローボイスで気怠く毒を吐き、続く秀仁曲「脳核テロル」は、超高速テンポの中、吐き捨てるように繰り返すメロディと、伸びやかに歌う高音メロディが交互に登場するいわゆる暴れ曲。
作曲者は違いますが、cali≠gariの持つ毒がこの頭二曲に凝縮されています。

シングルカットも出来そうな軽快で疾走感のある秀仁曲「颯爽たる未来圏」、ドラマーが抜けたので、打ち込みダンスサウンド路線を考えていた頃に作ったという青さん曲「セックスと嘘」は、冒頭二曲と比べ一気にポップで明るい作風へ舵が取られていきます。
カリガリランドDVDに付属したシングル「トゥナイトゥナイヤヤヤ」は、マニピュレーターの白石さんがリミックスし、それを元にメンバーで演奏し直されたバージョンとなっており、表記こそ無いものの、完全に別の曲となっています。
原曲はシンプルな8ビートサウンドで、サビで三連符が登場する構成でしたが、今回はまるでトランスのような打ち込み主体のハイテンポな曲に生まれ変わり、楽器隊の演奏も、ギターは高速カッティング、ベースはグネグネと変態的にうねり、ドラムは四つ打ちになり、サビも歌メロこそ三連符的になりますが演奏はそのままという、リミックス曲風味になっています。
凄く好みが分かれそうなアレンジで、個人的な感想では、インパクトの強さはこちらが上ですが、飽きが早そうなのもこちらかな。(^^;

研次郎曲は二曲入っていて、青さんとの合作「ギムレットには早すぎる」は、最近のcali≠gariに多い、80〜90年代前半くらいの音楽を意識した歌謡ロック路線ですが、研次郎お得意のメタル成分が随所に残り、そこにYukarieさんのサックスも加わって、cali≠gariらしいド派手な曲調に。
秀仁との合作「とある仮想と」は、cali≠gariのアルバムに最低一曲は存在する実験的な曲で、アンビエントの浮遊感やプログレのような構築美も感じさせる、秀仁と研次郎の音楽性が高次元な融合を果たしている、今作最高のスルメ曲。
ただマニアックに終わらず、サビで軽快な8ビートになるところなんかは、最近のcali≠gariらしいですね(笑)。

残る秀仁曲「紅麗死異愛羅武勇」はサックスが目立つビッグバンド風な曲で、お洒落さよりも毒々しいケバさが強く出るのはやはりcali≠gari(笑)。
「バンバンバン」は、やはりアルバムに一曲はあるおバカな曲を意識した曲らしいのですが、ドラムが打ち込みで歌詞が少ないのもあり、無機質な印象を与え、あまりおふざけな印象は持ちませんでした。

ラスト三曲は定番、青さんによるメロディアスな楽曲で締めくくられます。
cali≠gariらしからぬミドルテンポにヘヴィな演奏が乗り、サックスがメインリフを奏でる「フィラメント」は、まるで新宿の繁華街をイメージさせる、華やかさと退廃さが同居した曲で、これもスルメ曲だと感じました。
「あの人はもう来ない」は、cali≠gari史上でも一、二を争うド直球泣きメロソング。
これは秀仁も同じことを語っていましたが、バンド活動が長くなり、歳を重ねることで、どうしても友人や肉親との別れを経験し、創作活動に死生観が出てくるようで、この曲と最後の「さよならだけが人生さ」も、青さんのそういった一面が出たのでは、と思っています(この年に肉親を亡くされたそうですし…)。

・まとめ
前述の通り、楽曲の方向性が多彩すぎて長文になってしまいましたが(笑)、例えるのなら、バンドの音楽性の統一感が高まった状態で、実験室時代の良くも悪くも統一感のない楽曲が一枚のアルバムにパッケージされた、という印象です。
四人のドラマーに合わせて曲を作る(選ぶ)という異色な環境から生み出された、不思議な化学反応を感じさせます。
強力なサポートメンバーを迎えたのと、再びメジャーでの活動となった影響なのかわかりませんが、11以降のインディーズ帰りした時期にあった、良い意味での手作り感、お遊び感は影を潜め、カッチリと硬派にまとめ上げたという雰囲気もあるので、そこら辺は少し好みがわかれるかな?

統一感が高まったとか統一感がないとか、硬派にまとめ上げたとか、私の感じた印象も統一感無さ過ぎですが、それもこのアルバムの持つ多面性のせいなのかもしれません。(;´▽`)


・お気に入りの曲
フィラメント
あの人はもう来ない
さよならだけが人生さ







2 [狂信盤]

2014/04/21作成

★★★★

セルフカヴァー第二弾で、大方の予想通り、今回は秀仁作詞作曲の楽曲5曲のリメイクが収録されています。(*´▽`)

第6実験室〜8あたりまでの楽曲が再録され、実験的だった曲はグルーヴ感が増して生々しくなり、軽快なバンドサウンドだった曲は打ち込みの電子音が加わり、再結成後のcali≠gariらしいデジロックに生まれ変わっています。

「8」のトップを飾り、アルバムの導入曲的意味合いが強かった「その行方 途に想う…」は、あの無機質だったサウンドがグルーヴィなリズムと力強く伸びやかな秀仁のヴォーカルで大きく印象を変えてきました。
アウトロも原曲では唐突な終わり方でしたが、今回のバージョンでは少し長くなっています(それでも3分程度ですがw)。
裏打ちのギターリフが軽快さを出していた「ギャラクシー」は、アナロギーでチープな電子音が導入され、秀仁や青さんが好きな80年代のニューウェーブ風味が増した感じです。
サビの「サファリ〜♪」が何故か無くなってしまってるので(笑)、聴き慣れるまでは違和感もありますが、間奏で「マス現象ヴァリエーション1」の歌メロを組み込んでいたりと、原曲とはまた違った魅力を感じます。

実験要素強過ぎ曲「かじか」は、散影やトレーションデモンスのような、エフェクティブな音の洪水が押し寄せる攻撃的な曲に生まれ変わりました。
相変わらずふわふわしてて掴み所のわかりにくさはありますが、メロディとリズムがハッキリとしたので、ライブハウスなんかだと大化けしそうです。
「ダ・ダン・ディ・ダン・ダン」は、元々のバンドサウンド重視のキャッチーさはそのままに、メロの「ダダンディダンダン!」が、青さんと秀仁の掛け合いになっていたり、間奏の台詞にしっかりメロディが付いていたりと、全体的にブラッシュアップされています。

そして、今回のアルバムで唯一、ライブで先行的に披露されていなかった「虜ローラー」は、原曲のエレクトロ+アンビエント的なフワフワした雰囲気から一転、四つ打ちのドラムにポップで可愛らしいシンセ音とハンドクラップが絡む、優しく楽しげなダンスナンバーになっていました!

前作がライブを繰り返すうちに進化していった曲という印象でしたが、今回は今現在のcali≠gariのモードに合わせて生まれ変わった曲達、という印象ですかね。
秀仁いわく、バンドが成長すれば曲も成長するから、アレンジを変えるのも当たり前だそうなので、ある意味どちらもバンドの成長によって今の姿になった曲達、ということなのかもしれませんね。(*´▽`)

今回もFC限定で狂信盤が発売され、前回と同じくスタジオセッションDVDとその音源がCDの6〜10トラック目に収録されています。
今回は前作と違ってノンストップ演奏ではなく、一回一回撮ったみたいですね。
このスタジオセッションの時点で、CD音源とアレンジが違うので、聴き比べてみると面白いかもしれませんw


前作と比べると曲数が一曲少ないので、ややボリューム不足とも感じましたが、総演奏時間は前作より4分程長いですし(笑)、虜ローラーは特にお勧めなので、秀仁曲が好きな人は是非!
…いや、寧ろ再結成後の秀仁曲は好きだけど、再結成前のはあまりピンと来ない…という方にお勧めしたいです(笑)。
実験要素が強かった曲や、まだ秀仁らしさが出きっていなかった感のあった曲達が、秀仁節全開で生まれ変わっているので!w


お気に入りの曲:
ギャラクシー
ダ・ダン・ディ・ダン・ダン
虜ローラー







1 [狂信盤]

2014/04/13作成

★★★★★

活動20週年を記念したセルフカヴァーミニアルバム第一弾で、青さん作詞作曲の中でも、特にキレた楽曲が選ばれています(笑)。

全体的な印象としては、秀仁の歌唱は原曲と比べてシャウトが減り、多彩な声のバリエーションと、ここぞという時の強烈なシャウトで攻めるスタイルに。
サウンド面に関しては、打ち込みや効果音、メンバー以外のコーラス等はほぼ使われず、バンドサウンドと楽器隊3人のコーラスで構成され、ライブ演奏時に近い印象を受けるかも。

一曲目の「ギロチン」は、第2実験室改訂版では秀仁のリミックスでの収録だったので、第七期メンバーでは初の音源化と言ってもいいかもしれません。
「失禁」「37564。」は、繰り返しライブで演奏された経験を活かしてか、テンポが少し早くなり、歌も演奏も重厚ながらも洗練され、スッキリとした印象に。
「-187-」も例に漏れず、特徴的だったオーケストラが排除され、原曲のどこかおちょくってるようなハイテンション(笑)は無くなり、秀仁と青さんのシャウトとパンキッシュな演奏で攻め立てる、超攻撃的なキラーチューンに生まれ変わりました。

収録曲発表時に聞きなれないタイトルで話題を呼んだ「クソバカゴミゲロ」は、なんとシングル「-踏-スクールゾーン編」に収録されていた「PPPh」のリメイクで、歌詞が存在せず、演奏もラフな一発撮り(恐らく)だった原曲から、大した理由もなく悪質極まりない犯罪を犯す日本の犯罪者の胸糞悪さを表現した歌詞と、低音域を気怠げに歌う秀仁のヴォーカルが乗った、クールさと極悪さが共存するキラーチューンに生まれ変わっていました…!
シンプルな構成の曲なので、ライブでの爆発力も高く、今後しばらくは定番曲になるかもしれませんね。

ラストを飾る「サイレン」は、他の曲と違ってテンポが大きく抑えられ、シャウトしっぱなしだったヴォーカルも、前半はクールに歌い、後半で必殺のシャウトを炸裂させる構成へ。

ライブでの経験を活かして変化した曲や、今回の収録に向けて、今まで温めていたアイディアを活かした曲もあり、今まで以上にライブでの破壊力に特化したアレンジだな、と感じました。
ブラックユーモア要素が薄れて、メンバーが40歳前後のバンドとは思えない程に殺意や攻撃性が増していて、CD帯に記載されていた「過去で遊ぶ大人達」という文にも納得が出来ます(笑)。


尚、FC会員限定で、スタジオセッションDVDと、その音源が収録された「狂信盤」もリリースされています。
スタジオセッションなのでお客さんは入っていませんが、カメラアングルや映像の魅せ方には凝っていて、最初から最後までモノクロなのがまた、このアルバムとよく合っています。
音源の方はなんと、ギロチンからサイレンまでが一纏めに繋がっていて、これらの凶悪ナンバーがノンストップで味わえます(笑)。
スタジオ音源版との違いは、歌も演奏もより荒々しく、粗粗しくなっています(笑)。
ギロチンなんかは、CD音源よりも迫力あるかもしれませんし、クソバカゴミゲロではライブのように青さんがコーラスをやっているのも聴きどころですっ。


お気に入りの曲:
クソバカゴミゲロ
37564。
サイレン







11

2013/11/10作成

★★★★★

再結成後三枚目のアルバムで、ストイックに纏まった「10」、ハードな音作りとダンサブルなリズムで新たな要素を見せた「≠」を経て、活動休止前の音楽性をも取り込んだ、再結成後のcali≠gariの一つの完成型とも言えるアルバムと感じました。

冒頭の二曲は、シンセを含む楽器隊の攻撃的な演奏で一気に駆け抜けるようなナンバーで、「JAP ザ リパー」は、秀仁の曲に青さんの歌詞が乗る、この二人による初の合作で、青さんによる猟奇的な歌詞とノイズを振り撒くギターからは、奇形メルヘン時代を彷彿とさせます…!
秀仁作曲のシングル曲「娑婆乱打」と「暗中浪漫」は、打ち込みと軽快なバンドサウンドを駆使した曲で、娑婆乱打はノリ重視、暗中浪漫はハイテンポながら、聴かせる曲でもある感じですね。
青さんが、「cali≠gariを代表するような格好良い曲は石井さんが作ってくれるから」と仰っていた通りの、ロックバンドとしての格好良さと、大衆受けするポップさが良い感じに融合していて、何度聴いても飽きません。(*´▽`)

それに対する青さん作曲のシングル収録曲は、アイドル歌謡のような青春ポップス「初恋中毒」に、無邪気な子供のコーラスと赤ちゃんの泣き声をバックに攻撃的かつどこかふざけたような演奏が乗る「すべてが狂ってる〜私は子供が嫌いです編〜」、そして、青さんが40歳を迎える時に書いたという、しんみりと心を打つムーディなバラード「東京、40時29分59秒」と、これぞまさにcali≠gariといった楽曲が並びます。
「東京〜」では、秀仁のローヴォイスの良さを引き出したいという狙いもあったようで、これは「その斜陽、あるいはエロチカ」にも当てはまるかもしれません。
個人的に今作で最も好きな曲は、後半の怒涛の青さんラッシュにて、ラスト一つ前に配置された「最後の宿題」ですね。
そのまま弾き語りも出来そうな、メロディ重視の軽快なバンドサウンドという青さん節ど真ん中な曲で、地を這うような、それでも疾走感溢れるメロディを歌いこなす秀仁と、曲を彩る電子音が、昔のcali≠gariには無かった化学反応を起こしていると感じます。

「10」は青さんがあえて自分の色をあまり出さなかったといいますし、「≠」は、今作へ向かう過渡期的なアルバムと感じました。
今作は、活動休止前までは水と油のようだった秀仁と青さん、二大ソングライターの音楽性の融合がハッキリと形になって現れていると感じます。
ノイズや過激な歌詞で攻める前半から、エレクトロ色強めな中盤、そしてバンドサウンドとメロディを活かした曲で一気に後半を駆け抜ける展開も、多種多様な音楽を吸収してきたcali≠gariらしい構成ですし、泣きのメロディを持つ曲を最後に三連発するというのも、最後を青さんのメロディアスな曲で締めくくるという今までのお約束を更に進化させたと感じ、とてもドラマチックな展開だと思います。(*´▽`)

冒頭にも書きましたが、今作は再結成後のcali≠gariの、ひとつの到達点とも言えるくらい完成度が高いアルバムだと感じました。
第7〜8の頃と比べると、音楽ジャンルの幅は少し狭まっていますが、それはそれらの多種多様な音楽を血肉として昇華したことだと思いますし、今後もまだまだ変化と進化を繰り返すと感じるこのバンド、これからも目を離せません!


お気に入りの曲:
娑婆乱打
暗中浪漫
最後の宿題







再教育 改訂版

2014/03/01作成

★★★★★

第6期までの、青さん作詞作曲の楽曲を第7期メンバーで再録し、2001年にリリースされたベストアルバム「再教育堰v「再教育」を一纏めにし、リマスタリングとDVDを新たに付けた豪華仕様アルバムです。
2001年当時のものは、現在では入手困難で、一時期は数万単位までプレ値がついてしまっていたらしく、今回の再販はメジャーデビュー後のファンにとっては待望のものだったのですが、この改訂版も現在絶版となっていて、再びプレ値になってしまっています。(^^;

まず「再教育堰vですが、こちらは密室系、奇形メルヘン音楽隊と呼ばれた彼らの楽曲の中でも、特に陰鬱でダークな曲が集められています。
ファーストデモテープ収録曲が原型の「僕≠僕」から、今でもライブで定番の大騒ぎナンバー「37564。」までは勢い良い流れですが、その後は「僕は子宮」「人形の家」等、暗い、重い、長いの三拍子が揃った楽曲が続きます。(;´▽`)

「せんちめんたる」や「リンチ」等、90年代ビジュアル系の匂いプンプンな疾走ナンバーも挟んではいますが、自殺や放火をほのめかす歌詞ですし、やはり暗く重いイメージが強いです。(^^;

タイトル通り、サイレンがけたたましく鳴り響き、歪んだ叫び声がノイジーな「サイレン」から、ヴォーカルとアコギのみで演奏されるもの哀しい「夜明け前 〜いなくなってしまった懐かしい人達へ〜」で締めくくられる、まさにthe密室系といった感じです。
ただ暗く激しいだけじゃない、じめっとした気持ち悪さは、後の後輩バンド、ムックに多大な影響をあたえたのではと思います。

「再教育」は打って変わって、キャッチーな楽曲が並び、こちらは入門編として最適かもしれません(笑)。
一曲目からスウィングのリズムが心地良い「ゼリー」で始まり、37564と並ぶ不謹慎はっちゃけソング(笑)「発狂チャンネル」、今でもライブで度々演奏される初期の名バラード「冷たい雨」、賑やかで可愛らしいマーチに、グロテスクな歌詞を乗せた「君が咲く山」、派手さこそないものの、雪のように深々と心に響く「冬の日」、そして前向きな別れをカントリーのようなリズムに乗せた「グッドバイ」と、cali≠gariを語る上で欠かせない名曲がこれでもかと詰め込まれています。(*´▽`)

個人的には、依存心の哀しさ、辛さを感じた「「依存」と言う名の病気を治療する病院」が、特に思い入れが強いです。
曲調的には、90年代ビジュアル系王道サウンドなのですが、研次郎がイントロから変態プレイで飛ばしまくってるのも魅力です(笑)。

DVDのライブ映像は、再教育とブルーフィルムを中心としたセットリストで、画質音質は悪めですが、アンコールまで丸々収録されています。
インディーズ時代のライブ映像は、現時点ではこれでしか観ることが出来ないので、資料的な面でも観る価値はあります。
再結成以降にファンになった方だと、今と随分印象が違うメンバー四人にびっくりするかもしれませんが(笑)。特に秀仁と研次郎w


それぞれ異なった魅力を持つ二枚が一纏めになり、更に当時のライブ映像を収めたDVDが新規に付属するという、コレクターズアイテムや入門用ベストアルバムでは収まらない、cali≠gariファンなら必須とも言える豪華アイテムとなっています。
それ故に現在入手不可能なのが悔やまれます。(;´Д`)
直球やガリストア、ライブ会場限定でもいいので、時々再販かけてくれたら嬉しいのですが、かなり特殊なパッケージですし、コスト的にも難しいのかしら。


お気に入りの曲:
発狂チャンネル
冷たい雨
「依存」と言う名の病気を治療する病院









2013/11/17作成

★★★★

消費期限を満了し、初の武道館公演を終えたcali≠gariが「暇潰し音源」と称してリリースしたミニアルバム(笑)。

10をリリースした後、もう少し何か作りたいという意志で作られたアルバムということなので、10の補足盤的なものなのかと思いきや、そのサウンドは後の「11」に近い、バンドのグルーヴと重厚なシンセが合わさったハードな曲が並びます。
前作では薄めだった青さん節が復活していて、政治批判をパンキッシュなサウンドに乗せつつも、どこかハイテンションで楽しげ(?)な「マネキン」と、哀愁のエレポップ「オーバーナイトハイキング」は、前作に物足りなさを感じた青さんファンも満足かも?(笑)

全体的にダンサブルな曲調が多い中、スピーディーながら掴みどころの分かりにくい不可思議な曲調に、最早言葉の断片となっている歌詞が乗る「散影」は、分かり易い曲が揃った本作では一番のスルメソングです(笑)。

そして本作は、CDのみの「良心盤」以外に、マグロから踏までのシングル曲と、マネキンのPVが収められたDVDが付属する「卑劣盤」、再結成当初に、消費期限切れと宣告されていた2009年11月のライブドキュメンタリーが収録された「姑息盤」の三種類が存在します(笑)。
私が購入したのは姑息盤で、ゼリー、マッキーナ、■■■(リンチでした)、混沌の猿、マグロがフルサイズで収録されている他、楽屋裏の模様まで入っています。
この日は対バンイベントだったので、楽屋映像ではムックのメンバーも映ってます(笑)。
他のバンドはちょっと知らないので、映ってても気付いてないかも…すみません。(^^;
そして最後に、消費期限偽装発覚のチラシ配布→渋谷スクランブル交差点の巨大スクリーンで武道館発表!という流れを一部始終収めた映像が入っていて、当時を知らない私にとっては、これが一番美味しい映像でした(笑)。


纏めると、コレクターアイテム的な側面が強いですが、マネキンや散影はライブで披露される機会も多いので、10や11とセットで是非(笑)。


お気に入りの曲:
マネキン
散影
オーバーナイトハイキング







10

2013/08/16作成

★★★☆

cali≠gariのメジャー三枚目のフルアルバムで、活動休止を挟んでからの最初のアルバム。
私が初めて聴いたcali≠gariのアルバムです。(*´▽`)

帯にも書かれている通り、cali≠gariのパブリックイメージの一つである、エログロナンセンスな世界観は影を潜め、軽快なバンドサウンドにエレクトロ系の音が乗る、ストイックなロックサウンドになっています。
更に、スローテンポな曲が、一曲目の「ママゴトセンター」と、ラストの「電気睡蓮」のみで、それ以外は、80年代の邦楽ロックを彷彿とさせる8ビート曲「偶然嵐」「スクールゾーン」や、四つ打ちのダンサブルな曲「-踏-」「ハラショー!めくるめく倒錯」等、疾走感溢れる楽曲が並びます。

長い休止期間を経てのアルバムだからなのか、普段は少ないリズム隊の作曲が合作を含めると多めで、更に今回は、青さんは敢えて主張を控えめにしたそうで、結果的に秀仁色が強めになっています。
全体的に毒や遊び心が薄めで、バンドサウンドも打ち込みも極力シンプルな方面へ振り切れたアルバムなので、従来のファンや、これからcali≠gariを聴こうという方には、ちょっと物足りないと感じるかもしれません。
ですが、毒が少ない分、所謂ビジュアル系的な印象はほとんどないので、ビジュアル系バンドに慣れてない方には、勧めやすいかもしれません(笑)。


お気に入りの曲:
マッキーナ
-踏-
電気睡蓮







カリ≠ガリの世界

2013/08/17作成

★★★★☆

活動再開に向けてリリースされたベストアルバムで、「ブルーフィルム」〜「8」までの楽曲を、お馴染みyasuさんオナンさんのトークドラマを挟みつつ、時系列順に並べた、帯にも記されている通り、予習教材といえるアルバムです(笑)。

六年のブランクを経ているとはいえ、前作「グッドバイ」もベストアルバムだったためか、極力収録曲がかぶらないように配慮されています。
完全にかぶってるのは「マグロ」くらいで、他は「エロトピア」はブルーフィルム1st版、「舌先3分サイズ」「青春狂騒曲」はアルバム版となっています。
現在入手がやや困難なインディーズ時代の曲からは、「37564。」や「発狂チャンネル」、そしてメジャーデビュー後からも「失禁」「嘔吐」等々、過激なナンバーが並びますが、名バラード「ただいま」や、微妙に手に入れにくい(笑)、マグロのカップリング曲「かじか」、そして前作ではシングル以外収録されなかった「8」からは、ここまでの流れに反するような、とびっきりキャッチーな曲が選ばれてたりと、ベストらしくバランスは取れていますね(笑)。

前作「グッドバイ」が、cali≠gariの多様な音楽性をバランス良くまとめたベストアルバムだとすると、こちらは前作から惜しくも漏れてしまった曲や、トークドラマやレアなライブ映像(後述)など、cali≠gariのマニアックな面にピントを絞った、裏ベストのような印象を受けます。
尚、新曲と銘打たれている「音セックス2009」には過度な期待はしちゃダメですw

そして、本作もうひとつのウリは、初回盤に付属するDVDで、2002年に行われた、新宿コマ劇場でのライブビデオがDVDとして復刻されています。(しかも当時のFC限定アイテム!)
これは後追いのファンには嬉しいアイテムですね。
CDにも記述がある通り、画質音質共に悪いのですが(笑)、メンバー四人全員が女装するおふざけドラマや(笑)、研二郎のスラップに合わせて青さんが扇子を振り回す「発狂チャンネル」、ドラァグクイーンがステージ中を踊り練り歩く「エロトピア」は、濃厚なcali≠gariの世界を味わえ、一気に魅了してくれる筈です(私はこれでエロトピア大好きになりましたw)。


お気に入りの曲:
エロトピア
発狂チャンネル
ただいま







グッド・バイ

2013/10/12作成

★★★★★

2003年の活動休止直前にリリースされたベストアルバム。
メジャーでの活動期間が僅か一年ちょっとで、シングルを三枚しかリリースしていなかったのもあって、ベストにありがちなシングルばかりな曲目ということもなく、更にインディーズ時代の楽曲も多数収録され、オリジナルアルバムに引けを取らないバランスの良さが魅力的です。(*´▽`)

泣けて笑えて、怒って喜ぶ、様々な世界観の曲がありながら、ベストらしくキャッチーに纏められているのは流石。
もちろん人気曲ばかりじゃなく、現在入手困難なインディーズ時代の隠しトラック「空想カニバル」や、「かじか」を打ち込み中心にアレンジした新曲「3.2.1.0」等、マニアックな面もしっかりフォローされています。
そしてもうひとつの新曲「いつか、どこかで」。
こちらはアレンジではなく完全な新曲で、ゆったりとした曲調にシンプルなコード進行、終始ハンドクラップが鳴り続ける暖かなサウンドで、活動休止を発表した時のファンの気持ちを想うような、詞曲共にとても優しげな曲です。

インディーズ時代の楽曲の一部は部分的に撮り直されているので、オリジナル盤を持っていても楽しめます。
ですが、「サイレン」のアウトロがすぐにフェードアウトしてしまったり、ブルーフィルムが、ヴォーカルが棒読み気味な1st版だったりと、やや不満もありますが…(^^;

cali≠gariのような、オリジナルアルバムが素晴らしいバンドがベストを出すと、シングルばかりの内容で必然的に微妙な作品になってしまう事が多いのですが、本作は、バンドの多面性が凝縮されていてかつポップな作風なので、初心者にはもちろん、それなりにこのバンドを聴き込んだファンでも、バランス良く配置された選曲と曲順で、充分楽しめるのではないでしょうか!


お気に入りの曲:
グッド・バイ
マグロ
冷たい雨







8

2013/09/30作成

★★★★

メジャー二枚目のアルバムで、インディーズ時代から続いていた「実験室」シリーズの冠が外れ、通しナンバーのみとなりました。
それに合わせ、恒例だったイントロとアウトロの扉の音や、ドラマ等が撤廃され、更に前作のような多種多様な音楽性が詰まった、それこそ実験室のような作風からも脱却、プロデューサーを迎えてのエレクトロ色が強めなバンドサウンドという方向性に舵が取られました。

大まかな流れは、いよいよ実力とセンスが開花した感のある秀仁が前半をぐいぐいと引っ張り、中盤はリズム隊による実験室時代のようなカオス曲が並び、後半は青さんの独壇場、アングラからポップスまでなんでもござれ、といった感じです(笑)。
秀仁はまさに水を得た魚のようで、ポップな電子音と軽快なバンドサウンドで、シングルに出来そうなくらいキャッチーな曲を沢山作っていますし、ディスコ+アンビエント的な「虜ローラー」は、今後の彼の音楽性への源流を感じ取れます。

対する青さんは、ダブのようなエフェクティブなサウンドを陰鬱な世界観に乗せた「パイロットフィッシュ」や、全て宅録で録られ、メトロノームすら怨念がかって聴こえる悲痛な弾き語り「破れた電報」のような、ある意味過去最高にダークな曲が揃っています。(;´Д`)
そしてそれに反するように、真夜中の新宿の酒盛り(オカマバー?w)をイメージさせるファンク歌謡「新宿エレキテル」や、アルバム版になり青さんの語りが追加された青春ポップス「青春狂騒曲」等、従来の青さんらしい歌謡曲路線も健在です。

秀仁の個性が際立ってきたことや、メインソングライター二人の楽曲が前半後半に分かれていることで、音楽性の異なる二人が、アルバムを土俵にして対決してるかのような印象も受け、「一つのバンドで二組のソロユニットが活動してるよう」と例えられたりし、当時のファンの間では賛否両論だったようです。
密室的な雰囲気がほぼ無くなったのも原因だったのかも?
私のような後追いのファンだと、ここがターニングポイントになったのかあ、なんて発見があって、割りと素直に受け止められましたが。(^^;

このアルバムを最後に活動休止してしまいましたが、再始動後の、このアルバムとはまた違った秀仁と青さんのバランス感覚を見ていると、ここで少し休んだのは正解だったのではないかと思いました。
いや少しどころか六年間もでしたけど(笑)、この時は青さんが精神的に苦しい時期だったらしいので、無理に続けてもバンドのバランスが崩れてしまうのではと、過去のことながら不安に感じたので…。(^^;


お気に入りの曲:
舌先3分サイズ 〜Ver.1.5〜
新宿ヱレキテル
破れた電報







第2実験室 改訂版

2013/11/24作成

★★★

メジャーファーストアルバムをリリースした直後に、何故かインディーズ流通でリリースされたミニアルバム。 元がデモテープだからですかね。(^^;
リーダーの青さん以外が現在(第七期)と異なるメンバーで作られたデモテープ「第2実験室」を、現メンバーでセルフカヴァーしたアルバムですが、ただのコピーで終わらせない遊び心(ひねくれ?w)が満載です(笑)。

一曲目の「ギロチン」から、秀仁によるリミックスとなっていて、ヴォーカルから打ち込み、サンプリングまで全て彼一人の手による曲だそうです。
ファンの間ではやはり原曲の方がいいとの声が多いようですが、個人的にはこのインダストリアル的なアレンジは好きだったりします。
アウトロの「ギロチンが落ちる…」という呟きを追い掛けるように、同じような語感(?)のノイズが鳴るのが特に。
つづく「嘔吐」は90年代ビジュアル系らしい煽り曲で、「通り魔の季節」は三拍子に気味悪いギターが絡む変態サウンドで、どちらもインディーズのビジュアル系らしい曲と言えるかも(笑)。
通り魔の季節はライブバージョンとなっていますが、これは「ライブ音源風」に作ってあるだけで、ライブ音源らしく、イントロとアウトロににそれぞれ、青さんの黒歴史曲「IF」と「LOVE FOR YOU」が少し入っているお遊びもw
「腐った魚」は、原曲ではバンド編成だったそうですが、今回は青さんによる弾き語り曲になり、「オヤスミナサイ」は、アコギを使った爽やかなミディアムナンバーですが、歌詞が入水自殺を思わせるものだったりと、この頃からcali≠gariらしさ…というか青さんらしさが出てます(笑)。

そして、恒例のドアを閉めるSEの後に、この改訂版にボーナストラックとして作られた新曲「夏の日」が収録されています。
インディーズ時代の「冬の日」と違いアップテンポな曲調ですが、哀愁漂うメロディーや、バンドの音を中心にしながらも、あくまで歌を主役にしたところには通じるものを感じます。
キーボードのフレーズが目立ちますが、電子音的な打ち込みはほとんど使われていません。

元のデモテープが、まだバンドが方向性を模索していた時代の作品なので、佳曲揃いといった感じで、ライブ定番曲となっている嘔吐も、ベストアルバム「カリ≠ガリの世界」に収録されたため、今ではコレクターズアイテム的な作品になっていますが、インディーズ作品のため、いつ希少になるかわからないので、気になったのなら確保しておいた方がいいかも?(2013年現在では比較的容易に手に入りますがw)


お気に入りの曲:
ギロチン〜Test Pattern.#2〜
嘔吐
夏の日







第7実験室

2013/11/30作成

★★★★

九年という長いインディーズ期間を経て、2002年にリリースされたメジャー1stアルバム。

前ヴォーカルの時代では、青さんがヴォーカルのキャラを立て、それをバンドの持ち味にするように舵を取る流れだったようですが、ヴォーカルが代わり、現在の第七期になってからは、秀仁と青さんの異なる音楽性が混在し、そこにリズム隊の作曲した特異な曲が入り交じり、まさに異能派音楽集団という二つ名に相応しいバンドとなりました。

本作は特に音楽ジャンルが多彩で、秀仁作曲の疾走ロックナンバーで幕を開け、青さん作曲のこれぞまさしくcali≠gari!と言わんばかりな、電波不謹慎ハイテンションなシングル曲「マグロ」へと続く流れは、掴みだけ見れば凄く入門作に向いてそうなキャッチーな流れです。

…が、そんなことじゃ終わらないのがcali≠gariでして(笑)、オナンさんと青江さんによる、よくメジャーで出せたなあと呆れてしまう(笑)下ネタだらけなドラマや、打ち込みがないと成立しない程にエレクトロ方面へ振り切った曲が続き、タイトルからして秀仁の毒舌炸裂ソングだと思いきや、cali≠gariでも数少ないインスト曲だった「体内騒音あやなしアンチ苦笑」等、中盤はカオス極まりない流れに(笑)。

そしてインストを挟んだ後半戦は、秀仁作曲のクールなジャズ歌謡(?)「わずらい」から、青さん作曲のやはりジャズ調のスウィング曲「東京ロゼヲモンド倶楽部」と、作曲者は違えど、近いコンセプトの曲が並びます。
これは中盤のきりきりまいむ→デジタブルニウニウの流れにも言えますね。
ロゼヲモンド倶楽部では研次郎さんがアップライトベースを使っているそうなので、いつか生で観てみたいです。(*´▽`)

そして、アルバム終盤を締め括るのは、第七期恒例となっている、青さん作詞作曲の二曲。
「空も笑ってる」はなんと、青さんヴォーカル、秀仁がギターという変則編成のパンキッシュな絶叫ロック!
…ですが、青さんの歌声はしょっぱなからヒートアップ、最早暴走機関車状態なので、ちょいと好き嫌いが分かれそうな曲です。(;´▽`)
ラストを締め括る「東京病」は、青さんの伝家の宝刀、哀愁と泣きメロのバラード。
インディーズ時代から名バラードを何曲も生み出してきましたが、この曲は、サビのメロディの涙腺刺激度は過去最高かも?
生まれも育ちも横浜な私よりも、田舎から上京してきた方が聴いた方が、更に曲の魅力を感受出来ると思います(笑)。

総合的に見て、同じバンドとは思えないくらい多彩な曲が詰まっていますが、それが綺麗に整理され、しっちゃかめっちゃかになっていないところに、このバンドの、そしてメンバー四人の軸のブレなさが垣間見えます。 ただその性質から、曲の好き嫌いが出やすく、アルバム全体の魅力を掴むのには、かなり聴きこむ必要があるかもしれません。

ちなみにこのアルバムには、本来の歌詞が記載されていない曲が三曲もあり、歌詞の引用許可が間に合わず、仮の歌詞になっている「まほらば憂愁」、歌詞の一部分がレコ倫に引っかかってしまった「東京ロゼヲモンド倶楽部」、そして、ロゼヲモンド倶楽部の歌詞が載せられなかった事への恨みを叩きつけた隠しトラック「失禁」の三曲です。
失禁は、アルバムラスト扉の閉まるSEの後の、しばらくの無音状態の後に収録されている曲で、ヴォーカルは絶叫し、全てのパートが激しく歪んだカオスな曲で、2分もしないで終わる…と思いきや、再び前奏からスタートし、Aメロに入ってすぐにブツッと唐突に途切れて終わるという、なんとも不穏な終わり方をします(笑)。

まほらば憂愁の本来の歌詞は「グッド・バイ」、失禁の歌詞は「カリ≠ガリの世界」でそれぞれ見ることが出来るのですが、東京ロゼヲモンド倶楽部は現在歌詞がどこにも載っていない状態なので、いつかセルフカヴァーか何かで収録してもらえることを望んでます(笑)。


お気に入りの曲:
マグロ
デジタブルニウニウ
東京ロゼヲモンド倶楽部







第6実験室

2014/01/19作成

★★★☆

第七期cali≠gari最初のオリジナル・フルアルバム。
新ヴォーカルとして加入した秀仁がいよいよ作曲にも参加し、バンドの音楽性が変化し始めている時期のアルバムで、現在までの音楽性の変化を見ていると、黎明期という印象を受けます。

秀仁作詞作曲は三曲で、スカのような裏打ちギターとサビのブレイクが印象的な「ギャラクシー」、打ち込みを織り交ぜた「近代的コスメ唱歌」、青さんが作りそうなおちょくり電波ソング(笑)の「ひらきなおリズム」と、あまり統一性はない感じです。
この頃はむしろ曲よりもある意味歌詞が統一されすぎてるくらいされてまして(笑)、リズム隊作曲のものも含め、そのほとんどが誰かしらの批判です(後のインタビューで本人も認めてましたw)。
ファン批判、バンギャ批判、ヴィジュアル系批判、落ち目なベテランバンド批判、音楽関係者批判と、もうあちこち同時攻撃。(;´▽`)
この頃の秀仁の尖り方であり、もう一人のコンポーザーである青さんとの差別化をはかる意味もあったようですが。(^^;
しかし対する青さんも、実質アルバムの一曲目から「死ね!殺してやる!」を連呼する「-187-」を配置して、アルバムの世界観に統一感を持たせるのに一役買っています(?)。

第七期恒例となった、アルバム後半の青さん曲連発エリアでは、小気味よいオルガンと繰り返しのメロディーがどことなく可愛らしい、初の青さんフルヴォーカルの「コバルト」、家庭崩壊を連想させる歌詞を、哀愁の歌謡ロックに載せた「ママが僕をすててパパが僕をおかした日」、そして、これぞ伝家の宝刀、都会の中のどこか寂しげで儚い光景が目に浮かぶような、静かながら情熱的なバラード「ただいま」で、実験室の扉は閉まります。
ジャケ写が何故冷蔵庫だったのかが、最後に解るのもにくい演出です(笑)。

個人的な好みですが、青さんはがなったり吐き捨てるような歌い方より、本作のコバルトのような優しい歌い方の方が合っている気がします。
次アルバム収録の「空が笑ってる」とか、聴いてて苦しそうで。(;´▽`)

総合的に、歌詞には批判や反発的なものが多く好き嫌いが別れると思いますし、青さん以外のメンバー作曲の曲も、まだ黎明期という印象を受けます(再結成後のアルバムを聴いた後だからそう感じるのかもしれませんが)。
187やギャラクシー、音源化されていませんがフラフラスキップと近代的コスメ唱歌等、再結成後にリメイクされた曲も多いので、それらを聴き比べて、彼らの歴史を追ってみるのも面白いかもしれません。(*´▽`)


お気に入りの曲:
フラフラスキップ
ママが僕をすててパパが僕をおかした日
ただいま







ブルーフィルム2nd

2014/02/02作成

★★★★

第七期cali≠gari最初の音源となったミニアルバム。
本来は第六期でのリリース予定だったようですが、突然の前ヴォーカル脱退により、曲をいくつか入れ替え、新ヴォーカル石井秀仁を迎えて早急に作られたようで、ちょっと急ごしらえ的ないびつさを感じさせます。

帯にエロアルバムと記載されてるだけあり(笑)、一曲目からcali≠gari流グラムロック「エロトピア」で幕を開け、キッチュな電子音の変態電波ソング「ミルクセヰキ」、アダルティなシャッフルナンバー「ポラロイド遊戯」、そして単純な効果音だけで情事を表現したおバカなインスト「音セックス」と、cali≠gariらしいエログロナンセンスな世界が展開されます(笑)。
異彩を放っているのが、ドラマー誠の作曲デビュー曲「真空回廊」で、三拍子のリズムと優しげなメロディーは、後にも先にもあまりないタイプの曲です。

前述の通り、突然のヴォーカル交代劇もあり時間が無かったのか、ヴォーカルのみ録り直して、真空回廊のリミックスを追加したセカンド盤も発売されました(私が今回買ったのがセカンド盤)。
録り直されたのはエロトピア、ポラロイド遊戯、ブルーフィルムの三曲で、エロトピアは「カリガリの世界」、ブルーフィルムは「グッド・バイ」で、歌がイマイチな(笑)ファースト版を聴くことが出来ます。
しかし、グッド・バイにセカンド版が入ってるエロトピアはともかく、名曲ブルーフィルムは何故ファースト版をベストに入れたんだろう…(;´Д`)

現在やや入手困難なのが難点ですが、ベスト未収録の曲にも良い曲が多いので、中古屋さん(クロチャとかAmazonマケプレとかw)を巡回してみるのをお勧めします(笑)。


お気に入りの曲:
エロトピア
ミルクセヰキ
ブルーフィルム





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