- CDレビュー 筋肉少女帯 -







※管理人は筋少再結成後にファンになった者なので、その視点でのレビューになります。








おまけのいちにち(闘いの日々)

2015/11/27作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
前作から一年というハイペースでリリースされた、再結成から5枚目となるフルアルバムで、先行シングル「混ぜるな危険」も収録されています。
2000年代の筋少は、バンドとファンの関係をネタにしたメタ系の歌詞と、ツインギター+キーボードによるゴージャスな演奏が特徴でしたが、本作はやや方向性を変え…というより90年代筋少に先祖返りしたような、ややアングラ臭が強めな作風となっております。
尚、初回盤にはライブDVDと、アルバム曲の別ボーカルVerを収録したCD、更にアルバム全曲のインスト盤という四枚組仕様となっています。
ライブDVDは未使用引換券のおいちゃんVerが見所ですね(笑)。
アルバム曲の別ボーカルVerは、橘高さんの歌う「おわかりいただけただろうか」おいちゃんの「LIVE HOUSE」ウッチーの「別の星の物語り」のうち、どれか一曲がランダム封入されているという、ややえげつない手法です。(;´▽`)
ちなみに私の買ったアルバムは、ウッチーVoが入っていましたw
いずれベスト盤か何かに再録してくれてるのを希望します。(^^;

・収録曲について
インスト曲「大都会のテーマ」と、中盤の「私だけの十字架」はカヴァー曲で、原曲は知らないのですが、昭和40〜50年代生まれには耳に馴染んだ曲らしいです。(^^;
2曲目の「レジテロの夢」は、のっけから橘高メタルで、そのままシングル曲の「混ぜるな危険」、声優の野水いおりさんに提供した曲のセルフカヴァー「球体関節人形の夜」と、隙のない怒涛の流れで攻めてきます!
球体関節人形の夜は、橘高さんがデビュー30周年に合わせ、自身の集大成と言える曲を意識して作られたらしく、再殺部隊を思わせる速弾きとツーバスの嵐に、三柴さんのピアノとガットギターに変拍子と、まさに全部乗せ状態です。(^q^)

筋少では珍しい英語タイトルの「LIVE HOUSE」は、おいちゃん作詞作曲で、なんと筋少加入前、アマチュア時代から存在している曲だそうで、昔からオーケンにネタにされていたところ、実は良い曲だよねとなり、今回まさかの筋少名義での音源化となったようです(笑)。
歌詞もメロディも若さ溢れ、ギターも暑苦しい筋少らしからぬ爽やかさですw

そして今回のアングラ要素を強めている要員は、再結成後はアルバムに1曲程度しか入っていない事が多かったウッチー曲が三曲も入っていること!
初期筋少らしい日陰者の妬み全開の「時は来た」、プログレなのかサイケなのか、気味悪い曲調の「S5040」、そして、昭和40〜50年代を強く意識した土着的なバラード「夕焼け原風景」で、アルバムは幕を閉じます。
前作とは違い、いかにもラスト!といった楽曲で幕を下ろすのは、筋少ではめずらしいかも?w

・まとめ
90年代筋少を思い出させる、良い意味でとっちらかったアルバムで、橘高内田曲がとにかくダークで、おいちゃん曲が清涼剤のような役割になっている印象を受けました(特にLIVE HOUSEがw)。
再結成後は大分筋少の方向性も安定期に入り、ある意味で保守的とも感じ取れるようになっていたところに、突然の変化球が投げ込まれたのが本作といったところでしょうか。
マンネリ嫌いなオーケンと、30年間自身のスタイルを貫き、そろそろ自分らしくないアプローチもアリだなと語っていた橘高さんの意志がバッチリ噛み合った結果なのかも?
そういうのもあり、再結成後のアルバムでは一番マニアックな路線だと思うので(同時にスルメ度も高いw)、少し人を選ぶかもしれません。(^^;


・お気に入りの曲
球体関節人形の夜
時は来た
S5040







THE SHOW MUST GO ON

2014/12/08作成

★★★★★

前作から四年半振りのオリジナルアルバム!
私事ですが、私が筋少のファンになってから初めてのオリジナルアルバムということで、とても期待していました。(*´▽`)

復活後の筋少は、過去の楽曲や、メンバーの筋少外での曲のカヴァーが収録されていましたが、今回はオーケンが歌詞を提供したももクロの「労働讃歌」に、オーケンがシャンソンのイベントで歌ったという「愛の讃歌」が収録されています。
労働讃歌は事前に原曲を公式動画で視聴したのですが、予想通り間奏のラップパートはメンバー四人での掛け合いに(笑)。
一曲目の「オーディエンス・イズ・ゴッド」もそうですが、賑やかなパーティーソング(パーティーメタル?w)といった感じで、前作の音楽性を引き継いだ曲達と言えるかもしれません。

リードトラックである「ゾロ目」は、いつも以上にメロディアスで叙情的な橘高メタルで、橘高さん的にはこの曲で今回はやりきったと思っていたところ、オーケンからもう一曲橘高メタルが欲しいと頼まれ、あちこちのインタビューで言われていた「お前の仕事だろ(じゃない)!」事件に繋がり(笑)、メロスピを思わせるメロディアスな高速ナンバー「恋の蜜蜂飛行」が生まれたそうです(笑)。
恋の蜜蜂飛行はほんと、筋少の曲でも特にメロスピ的な要素が強く、クサイくらいメロディアスなサビや、三柴さんとの高速ソロバトル等、聴きどころが満載で、昔からのファンにとっては、こういうのが聴きたかったんだよ!と思える曲なのではと思いました(笑)。

不気味な曲調と語りを多用した構成が、どことなく初期〜中期の雰囲気を持つ「霊媒少女キャリー」や、ウッチー作曲の、若干YMOっぽい雰囲気な四つ打ちナンバー「ムツオさん」あたりでは、最近の筋少にはあまり無かったアングラさが舞い戻った印象を受けます…特にムツオさんは歌詞の不謹慎さも含めて。(;´▽`)

オーケン作曲は、パンキッシュな「みんなの歌」に、オーケンらしいロック親子の歌「月に一度の天使」と、聴いてすぐにオーケン曲だとわかります(笑)。
月に一度の天使は、前編と後編に分かれていますが、これは曲が長くなりすぎたというのと、間に愛の讃歌を挟むことで、楽曲の世界観が更に広がるから、ということだそうです。

明るくポップな曲を書く本城さんことおいちゃんは、今回はロックモードだったようで、オルタナっぽいヘヴィさとキャッチーさの融合した「吉原炎上」や、疾走感抜群な「ニルヴァナ」等を作っていますが、オーケンの歌や歌詞の良さを最大限に引き出すシンプルなポップス「気もそぞろ」という名曲も生み出しています。(*´▽`)


纏めると、前作から四年経ったのが良い方向へ働いたのか、筋少を筋少たらしめる要素がこれでもかと詰まったアルバムと言えるかもしれません。
語りかけるように優しげに歌うフォークソング的なものから、オルタナ、メタル、ファンク等も織り交ぜ、再結成以降は若干影を潜めていたアングラ臭のする曲まで手広くカバーし、当たり前ですがキッチリ筋肉少女帯としての軸もブレずに成立させている。
メンバーそれぞれがバンド外でのびのびと活動しつつ、筋少本体が比較的スローペースな音楽活動もあってこそ、新たな音楽性を取り込みつつ、筋少本来の「らしさ」を俯瞰的に見つめ、これだけ余裕のある作品が生まれたのかも、と感じました。


なお、初回盤にはDVDが付属し、ゾロ目のPVと、2014年4月のライブの中から、初映像化となる楽曲が選ばれたライブ映像を観ることが出来ます。
ペテンや鉄道少年の夜等、レアな曲が多いですし、ウッチーVo、オーケンBaのモコモコボンボンなんてものも見れますw


☆お気に入り曲

霊媒少女キャリー
ムツオさん
ニルヴァナ








公式セルフカヴァーベスト 4半世紀

2013/06/21作成

★★★★☆

デビュー25周年を記念してリリースされた、初のセルフカヴァーアルバム!
…となっていますが、新曲二曲からスタートするあたり、ただの懐古的な記念品アルバムじゃないぞ!という意気込みを感じます(笑)。

まず新曲の一曲目「中2病の神ドロシー」は、橘高さん作曲で、彼お得意のポップなメロディときらびやかな音を纏ったハードロックナンバーで、近年の曲だと、トリフィドやアデイ イン ザ ライフに近い感じかな?
25周年記念曲と銘打たれた曲ですが、その歌詞は、25年間応援していたバンドは、実は自分だけが見ていた幻だったという、ちょっとドキッとさせられる内容です。(;´▽`)
歌い出しから「そのバンド、本当はいなかった〜♪」ですもん(笑)。
タイトル通り、中二病患者の妄想的な意味も含めたようですが、音楽の素養等無く、ただ表現をするためにステージに立っていたら、気付けば超絶技巧メンバーに囲まれ、ハードロックバンドでヴォーカリストをやっていた自分自身の人生を、これは誰かの見ている夢なんじゃないか?と思ったところから来ているようです。
オーケンらしいですよね(笑)。
そしてこの曲のみですが、90年代筋少のドラマー、太田明さんがドラムを叩いています。(*´▽`) 

二曲目の「妖精対弓道部」は、おいちゃん作曲のストレートな歌謡ロックで、歌詞はオーケンの小節が元になっているそうですが、当方未確認。(^^;

そして、セルフカヴァーされた11曲は、数曲を除き、原曲に忠実な演奏となっていて、原曲と演奏者が変わっているパートはアレンジされていますが、全体的な印象はそこまで変わりません。
驚いたのは、初期の曲で、オーケンが当時のあの叫ぶような歌い方をしていたこと!
まだあの破天荒な声を出せたことに驚きです。
まあライブであれやっちゃうと、最後まで持たなくなるでしょうから、レコーディングだからこそ出来たのかもしれませんね。(^^;

そんな「日本印度化計画」「踊るダメ人間」「釈迦」は、原曲の勢いをそのままに、更に激しく生まれ変わり、近年のライブ仕様に近い演奏に。
踊るダメ人間は、一番のサビが半分になっていたり、間奏が大幅にアレンジされ、クールダウンせずに激しいギターソロが弾かれたりと、比較的アレンジされた曲のひとつかな?

「香菜、頭を良くしてあげよう」と「蜘蛛の糸」は、半音下げての演奏になっていて、香菜はAメロの優しげな歌い方や、三柴さんのピアノが凄くいい味を出していて、素敵なアレンジだと思いましたが、蜘蛛の糸はちょっと違和感が拭えなかったかな…?(汗)
妖しさは増したとは思いますが(笑)。

比較的後期の曲になる「機械」「再殺部隊」「くるくる少女」は、ツインギターが強調され、重く攻撃的になりましたが、キーボードや打ち込み等はライブ仕様に整理され、コンパクトな印象に。
再殺部隊は、女性コーラスが全てシンセのコーラスになっていて、これはちょっと賛否が分かれそうですね。(^^;
くるくる少女では、楽曲の象徴的だった、キラキラしたキーボードが、パワフルな太い音になり、更にキーが半音下がったのもあって、重厚で攻撃的に。
全体的な構成はほとんど変わってないのに、かなり印象の変わった曲のひとつですね。

「キノコパワー」では、横関さんに代わり、橘高さんと三柴さんのソロバトルが聴き所。
粒の揃った高速正確無比な横関さんに対し、橘高さんはチョーキングを織り混ぜた感情的なソロで、24年前の曲ということもあり、三柴さんもだいぶアレンジしたピアノソロを聴かせてくれます。

そして、大きく曲調を変えた二曲のうちのひとつが「パノラマ島へ帰る」。
代表曲、人気曲が犇めく中、何故この曲!?…と、収録曲が発表された時は驚きましたが、原曲が全て打ち込みの曲だったので、いつかバンドの演奏で録り直したかった曲だったんだそうです(笑)。
退廃的だった原曲から一転、気だるいジャズっぽい曲調になり、近年の筋少らしいお洒落な曲に生まれ変わりました。
こういう曲は、三柴さんのピアノとおいちゃんのカッティングが肝になりますね。(*´▽`)
そしてもう一曲は、アルバムの最後を飾る「孤島の鬼」で、三柴さんが80年代の筋少を脱退する、最後のライブで演奏されたアレンジを再現していて、妖しさはそのままに、とてつもなく壮大な曲になりました。

…以上ですが、セルフカヴァーアルバムのレビューは長くなりがちですね。(^^;
どうしても原曲と比較したくなってしまうので(笑)。
オーケン本人も言ってましたが、これから筋少を聴きたいという人にピッタリなアルバムかもしれません。
代表曲やライブでの定番曲、ハードロックから歌もの、コミカルな世界観から妖気に満ちた曲まで、僅か13曲の中にぎっしりと詰め込まれています。(*´▽`)
逆に、原曲を摩りきれるくらい聴き込んだ人だと、半音下がった曲や、ジェットフィンガーじゃないキノコパワー、コーラスの無くなった再殺部隊など、最初は違和感も感じるかもしれませんが、それはセルフカヴァー曲の宿命なので、まずは聴き込んでみることをお勧めします。(^^;


☆お気に入り曲

中2病の神ドロシー
機械
くるくる少女








蔦からまるQの惑星

2012/03/09作成

★★★★☆

2000年代の筋少3rdアルバムで、ここまでのアルバムが再結成時に想定していた三部作だそうです。

新人やシーズン2のような、90年代の筋少の要素を受け継いだハードロックテイストは、今作ではかなり薄れ、ファンクやフュージョンを彷彿とさせる方面が強く出た、歴代のアルバムの中ではかなり異質かもしれません。
16ビートのリズムや、ハネるようなアクの強いビートが刻まれる曲が多く、セルフカバー曲である、「アウェー イン ザ ライフ(原曲は橘高さんのソロ曲「デスティニーをぶん殴れ」)」と「ワインライダーフォーエバー」の二曲は特に、このアルバム全体を象徴する曲になっている感じがします。
従来のハードロックテイストを持った曲は「家なき子と打点王」くらいかな?この曲では、間奏で橘高さんと三柴さんのソロバトルが披露されます。(*´▽`)
後半に収録されている「暁の戦力外部隊」と「捨て曲のマリア」は、ファンク方面に最も振り切られた曲で、お洒落な曲調です(笑)。
橘高さん作曲の「爆殺少女人形舞一号」は、6/8拍子のロックバラード調の曲で、サビで3/4拍子に変化し、橘高さんのガット・ギターによるストロークが聴ける、また違ったベクトルでのお洒落な曲です(笑)。
そしてアルバムすべての曲に置いて、おいちゃんのクリーントーンによるカッティングが目立つ曲が多く、それがまた全体的なお洒落さに一役買っているのかもしれませんw

オーケンの歌詞世界も、今作では「アウェー」という一つのテーマに統一されていて、人生においてアウェー感を味わったことのある方なら、どれかしらの曲に共感出来るのではないでしょうか(笑)。
「アウェーインザライフ」は、筋少が夏フェスに初参戦した際のノンフィクションだそうですし(笑)、「あのコは夏フェス焼け」は、その夏フェスに影響を受けて作られた曲だとか。
個人的には、「アウェーインザライフ」と、「ゴミ屋敷の王女」の歌詞が好きかな。
「生きてくっていつもアウェー、ホームにしてみろ!」とか、「どこでも敵地でやるべきこと、全員味方に変えろ、繋がれ!」なんてのは、孤独感や孤立感に苦しんでいる人には、とても励みになりそうです。

「ゴミ屋敷の王女」では、ゴミ屋敷で独り死んだ老女の、積みあげられた廃品を「どれが君のガラクタ、何が君の宝物」と表現されているのが凄く好きです。

纏めると、筋少のポップな面が前面に押し出ていて、尚且つ今まであまり強調されなかった、ファンクやフュージョン等、お洒落な面が強く出た、結成20年以上も経つバンドとは思えない、実験的で探究心を感じるアルバムかな、と思いました。
ハードロック要素がほぼ無いので、昔からのファンからは賛否両論だったそうですが、それも含めての「アウェー感」というテーマだったりして!?


☆お気に入り曲

アウェー イン ザ ライフ
あのコは夏フェス焼け
ゴミ屋敷の王女








シーズン2

2012/03/06作成

★★★★★

むさ苦しいジャケットが目印の(笑)、2000年代の筋少セカンドアルバムで、帯で「第二黄金期」と自称するに相応しい、若いころに負けない勢いと、ベテランバンドならではの成熟したアンサンブルの合わさった、素晴らしいアルバムです。

前作「新人」は、沢山のゲストミュージシャンが参加し、楽曲も、メンバーそれぞれの特色を押し出したバラエティに富んだアルバムでしたが、今作では、サポートドラマーとキーボーディストが、長谷川浩二さんと三柴理さんに固定され、楽曲も、バラエティの豊かさを維持しつつ、バンドならではの統一感も持たされています。
1曲目から超重低音のリフもの「心の折れたエンジェル」で始まり、泣きメロ疾走ロックの「ドナドナ」や、オーケンと橘高さんのユニットで披露された「踊る赤ちゃん人間」の筋少バージョンへと続く。
90年代の筋少でよく見られた、アルバム内での小休憩的な(?)ポジションに位置する小曲「人間嫌いの歌」、かつてない程に直球のブライダルソング「世界中のラブソングが君を」等、前述の通り、前作以上に振り幅が広いです。
「プライド・オブ・アンダーグラウンド」は、楽曲の構成が「ノゾミ・カナエ・タマエ」そっくりだったり、80年代の筋少曲のリメイク「ノーマンベイツ'09」までも収録され、初期のカオスさの片鱗も感じられるかも?
歌詞や曲調的に、前向きというか、キャッチーな楽曲が多いためか、「ノーマンベイツ'09」が若干浮いてしまっている感もありますが。(^^;

個人的に期待していたのが、ベーシストうっちー作曲の二曲で、どちらも期待通りの不思議な曲!(笑)
「蓮華畑」は、楽曲の優しい空気感と、オーケンのノスタルジックな歌詞もあり、喜怒哀楽の「喜」と「哀」の中間のような、雰囲気を持ち、アルバムのラスト一つ前に位置づけられた「ゴッドアングルPart2」は、「月とテブクロ」や「何処へでも行ける切手」等に続く、筋少プログレ曲!
6/8拍子の上をグリグリ動くベースとメロディアスなピアノ、エフェクティブなギターが乗り、換装では4拍子にチェンジし、アグレッシブなピアノとノイジーなギターソロがぶつかり合い、ドラムのブレイク後に再び6/8拍子に戻るという、ドラマティックな構成。

アルバムのラストは、シングルでもリリースされた「ツアーファイナル」。
まるで若手バンドのような勢いを感じる曲ですね(笑)。間奏のピアノソロ→ギターソロを聴くと、やっぱりベテランバンドだな、と思いますが(笑)。

アルバム全編通して、激しい曲もバラードも全て含め、とにかくテンションが高いのがこのアルバムの特徴です(笑)。
最初から最後まで、全てがハイライトみたいなw
とにかく休ませる間を与えない、熱いテンションが凝縮されたような濃いアルバムですね・・・ある意味ジャケット通りのアルバムと言えるかも(笑)。



☆お気に入り曲

心の折れたエンジェル
ドナドナ
ゴッドアングルPart2









大公式2

2015/11/11作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
2006年発売の二枚組ベストに続き発売されたベスト盤で、こちらは一枚組で、前作と同じくレコード会社の垣根を超えたラインナップ。
前作に入らなかったシングル曲を中心に、痒いところに手が届くラインナップで、ライブではあまり演奏されませんが、ファン人気の高そうな、言うなれば裏ベストと言える選曲ですね。

・収録曲について
一曲目の「福耳の子供 ’08」はそのタイトル通り、2000年代筋少メンバーによるセルフカヴァーで、語りパートがオーケンになり、間奏は原曲以上に激しくなっています。
「僕の歌を総て君にやる」「君よ! 俺で変われ!」はいかにもシングルらしい歌謡ロックですが、超爆速なスラッシュメタル「スラッシュ禅問答」、水戸華之介さんとのツインヴォーカル「青ヒゲの兄弟の店」、おいちゃんポップここにありな「きらめき」橘高さんがレコーディングを拒否した(?)という脱力ナンバー「俺の罪」等、ほんとマニアックながら良曲揃いの選曲ですw
オーケンと80年代筋少メンバーのみのすけさんのコントが入る迷曲(笑)「日本の米」は、イントロのやりとりがカットされ、アウトロの台詞も途中でフェードアウトするように変更。
収録時間の関係かしら。

本アルバムで初収録されたという「タイトロープ」は44秒というとても短い曲で、1994年のCMタイアップ曲だったそうです。
そしてアルバム終盤では、内田さん作曲の壮大なプログレナンバー「何処へでも行ける切手」、90年代メンバーに三柴さんと歴代ギタリストを迎え、釈迦をリメイクした「大釈迦」、オーケンの歌のみ再レコーディングされた「少女の王国 ('08 ヴォーカル・ヴァージョン)」と続き、ラストはなんと、まんが道名義で発表された「ボヨヨンロック」が収録されています(笑)。
大釈迦はテンポが遅くなっているのがちょっと気になりますが、間奏でギタリスト達によるソロバトルが延々繰り返される様は必聴です。(*´▽`)
ボヨヨンロックは名義こそボヨヨン2号3号とかなっていますが、90年代筋少メンバーによるレコーディングなんだそうです(笑)。

・まとめ
隠れた名曲(&迷曲w)揃いで、まさに裏ベストといった感じです。(*´▽`)
更にセルフカヴァーやレア曲まで揃っているので、オリジナルアルバムを揃えている人でも買う価値は充分あると思います。
しかしシングル曲であるのに、今回も収録されず、ライブでも全く演奏されない「リルカの葬列」は、オーケン的に黒歴史曲になってしまったのかしら…。(;´▽`)


・お気に入りの曲
福耳の子供 ’08
何処へでも行ける切手
ボヨヨンロック







新人

2012/03/02作成

★★★★

2006年に再結成を果たした、筋肉少女帯のニューアルバム(通算13thアルバム)。

このアルバム用に作られた新曲を中心に、初期筋少の楽曲のリメイク「イワンのばか'07」と「モーレツア太郎'07」、オーケンのソロプロジェクトで作られた曲が、筋少Verの「Guru 最終形」として収録されています。
メンバー的には、90年代筋少に近いのですが、収録曲の方向性は多様で、2000年代の筋肉少女帯(?)の名刺のようなアルバムだと感じます。
オーケンの別バンド、特撮を思わせるパンキッシュな「仲直りのテーマ」「未使用引換券」。
実は一番アングラ志向なベーシストうっちー作曲のジャンル分け困難な「抜け忍」。
発狂したかのような速弾きとツーバス連打が繰り出される、橘高さんの独壇場「ヘドバン発電所」。
そして、安心のおいちゃんポップス(笑)、「その後or続き」。
・・・などなど、8年振りの新譜ながら、メンバーそれぞれの軸はブレておらず、ベテランらしいハイクオリティな楽曲が並びます。
反面、全体的にちょっと慎重というか、堅実で硬い作りに感じるかもしれません。(^^;

アルバムの締めになる「新人バンドのテーマ」では、筋少・・・というかオーケン得意の自虐ネタが炸裂(笑)。
ですが、ある意味前向きな自虐ネタですね(笑)。

そして、サポートメンバーながら、80年代の筋少や、その後のメンバーのソロ活動にも参加していた、ピアニスト三柴理さんが参加しています!
過去に入れ替わりで加入になってしまった橘高さんの、三柴さんとセッションしたいという強い要望もあったそうです(笑)。
「Guru最終形」や「交渉人とロザリア」で、繊細で綺麗なピアノを、「仲直りのテーマ」や「ヘドバン発電所」では、アグレッシブで激しいピアノプレイを聴かせてくれます。(*´▽`)

このアルバムでは三柴さん以外にも、多種多様なサポートメンバーが参加されています。
90年代筋少でサポートキーボーディストを務めていた秦野猛行さんや、以後のアルバムでは全曲サポートドラマーを務める、長谷川浩二さん。
ドラマーは他にも、湊雅史さん、矢野一成さんが参加しています。
再結成を記念してか、他にも数えきれない程のゲストが参加していて、ブックレットのクレジット欄はカオス状態です(笑)。 パーカッションやコーラス、イワンの子供コーラスはわかるのですが、スタンディングオベーション、Ninja、くノ一ってあんた(笑)。

初期から凍結、メンバーのソロ等、様々な時期の要素を取り入れた、2000年代筋少のファーストアルバムとしては文句無しのアルバムです!
前述の「慎重さ、硬さ」が若干気になりますが、そこは次回作「シーズン2」とのいい差別化になっている気がします(笑)。


☆お気に入り曲

イワンのばか'07
Guru 最終形
モーレツア太郎'07









復活究極ベスト 大公式

2015/11/02作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
2006年に再結成された筋肉少女帯のベストアルバムで、過去に発売されたものとは違い、レコード会社の垣根を超えたオールタイムベストアルバム。
二枚組で合計30曲という大ボリュームながら、シングル曲を押し退け、インストや語りのみの曲や、短めの小曲まで入っていたりと、筋少らしい一筋縄では行かない選曲で、外面だけでなく、筋少がどんなバンドかを知るにはうってつけのアルバムでありあす。

・収録曲について
DISC1はコンセプトアルバム「SAN FRANCISCO」に収録された、90年代版サンフランシスコで幕を開け、80年代〜90年代前半頃の楽曲が収録されています。
横関さんと三柴さんの超絶ソロバトルが聴きどころのマタンゴやキノコパワー、筋少がコミックバンドのような扱いを受けてしまうキッカケとなった(笑)、日本印度化計画、元祖高木ブー伝説、踊るダメ人間等、この時期の代表曲が収録される中、じーさんはいい塩梅、生きてあげようかなという、ただ激しいだけじゃない筋少の一面も見ることが出来ます。
ラストは初期筋少に多く見られたプログレナンバーの一つ、月とテブクロで締めくくられます。

DISC2は、90年代中盤〜後期の楽曲が並び、ラストをインディーズ時代から演奏されてきた「から笑う孤島の鬼」と「釈迦(シングル版)」で締めくくる、二枚のディスクで無限ループするドグラでマグラな構成(笑)。
DISC1と比べシングル曲が多めですが、隠れた名曲といえるおもちゃやめぐりや、アルバム曲でもダントツの人気を誇る機械やくるくる少女も収録。
カーネーション・リインカーネーション→再殺部隊→トゥルー・ロマンスの流れは、原典アルバムの垣根を超えたコンセプチュアルな流れで、曲順もとても考えられたものだとわかります。

・まとめ
DISC1は初期のアングラ面や、良くも悪くも有名なコミックソング(演奏は超絶技巧ですがw)中心で、DISC2は後期筋少らしいHR/HM色強めと、本来なら二枚に分けられてしまいそうなディスクが纏められていて、筋少がどんなバンドかを知るにはピッタリな作品です。
三柴さんのピアノの虜になったのなら80年代筋少、コミカルな曲調が好きなら90年代前半、橘高メタルを堪能するなら90年代後期と、気に入った曲によってオリジナルアルバムのどれを聴くかの道しるべにもなると思います。(*´▽`)
余談ですが、ライブでの定番曲であるイワンのばかが未収録なのは、この後にリリースされた復活第一弾アルバム「新人」にセルフカヴァー版が収録されたためだと思われます。(^^;


・お気に入りの曲
キノコパワー
月とテブクロ
くるくる少女







レティクル座妄想

2015/10/14作成

★★★★★


・概要、全体の印象
1994年に発売されたアルバムで、筋少で最もダークなサウンドと救いようのない世界観が特色のアルバム。
前作までにあった、不幸な思いをしている人を元気づけるような曲や、おふざけじみた小曲は全て廃され、死、自己嫌悪、承認欲求等が強く押し出され、時々希望のある世界観を見せながら、最終的に全く救いようのない結末に着地するという徹底さ。
この頃はメンバー全員(特にオーケンと橘高さん?)が精神的に参っていた時期だったようで、その極限状態でこのような怪作が生まれたのかもしれません…!
歌詞カードに載っているアー写、オーケンの写真が完全に狂気の世界です。(;´▽`)

・収録曲について
列車の音に合わせたようなテンポとリズムで、死者を乗せた列車を表現した「レティクル座行超特急」から始まりますが、一曲目からいきなり、罪を背負った人間ならびにつまらない人間には飛び降りてもらいますと語りが入り、ポップな曲調に怨み節が乗る「蜘蛛の糸」、ウッチー作曲のダンサブルな曲に、蘇る死体を追いかける歌詞と、明るい曲調と異様な歌詞のミスマッチが病的です。(;´▽`)
飛び降り自殺をする少女に対し、見て見ぬふりをしろと歌う「さらば桃子」に、独りぼっちだった女の子の葬式に来たクラスメートを燃やし尽くしてしまう「ノゾミ・カナエ・タマエ」、戦時中の上官の罪を背負わされ、処刑された日本兵の遺書を引用した「ワダチ」は、歌詞だけでなく、楽曲も救いようのない暗さです。

シングル曲でもある「香菜、頭をよくしてあげよう」は、後半の「パリ・恋の都」と並ぶ、本作でも救いのある曲です(笑)。
ミドルテンポでシャッフルのリズム、サビで頭を良くしてあげようと歌う、上から目線のラブソング(笑)なのですが、自己顕示欲の強い男子と、その男に合わせてあげている精神的に大人な女子の歌なんだとかw

歌詞の世界観が統一されたコンセプトアルバムでありますが、楽曲の完成度も非常に高く、本作でも橘高メタルは健在で、「ノゾミのなくならない世界」では超速ギターソロも披露。というかこの曲は非常に速いテンポと、休める箇所がほとんど無い体力勝負な曲構成のため、当時も再結成後もあまり演奏されていないようです。(;´▽`)
オーケンとウッチーのアングラワールドは、インディーズ時代から存在したノゾミ・カナエ・タマエや、曲の半分近くが語りで構成されるワダチでフルに発揮されていますし、おいちゃんのポップなメロディは本作での僅かな光となっていますが、病的な歌詞と組み合わさって異様な妖気を纏ったりもしています。(;´▽`)

最後は、自殺した桃子が死後の世界で幸せを掴み、それが幻でも嘘でもいいじゃないかという歌詞を、カノンのメロディを引用した多幸感溢れる曲調で演奏される「レティクル座の花園」で綺麗に締めくくる…という訳にはいかず、対象的なハードロック曲「飼犬が手を噛むので」では、歴史上の偉人達による裁判で、つまらない人間と判断され、人間狩りが始まるという凄まじい結末が待っていました。
オーケンの「ダメな奴は何をやってもダメなんだーッ!」という叫びに合わせ、レティクル座行超特急のラストに登場した女性の甲高い悲鳴が鳴り響き、前の11トラックで使われた語りやコーラス等の音が洪水のように押し寄せ、最後は蜘蛛の糸イントロの嘲笑のような笑い声だけが残るという…。(;´Д`)
この曲の楽器隊の「とったれ!」というコーラスは、「殺ったれ!」と書いてとったれと読むようです…まさに人間狩り(;´▽`)

・まとめ
救われない世界観にダークな曲調、筋少の良くも悪くも(笑)パブリックイメージであるおふざけ要素もなく、初心者にはとてもお勧め出来ない作品ですが、とてつもなく強烈な世界観ですし、筋少のアルバムはメンバーそれぞれの個性が際立った雑多さが目立つ中、本作は統一感が随一なので、この作品を最高傑作として見る方も多いようです…私も三本の指に入るくらい好きなアルバムですし。
後は暗い世界観から、ビジュアル系ファンの方になら一番最初に勧めてもいいかもしれません。
日本の米やおサル音頭で挫折した人にもいいかもw


・お気に入りの曲
レティクル座行超特急
蜘蛛の糸
ワダチ







SISTER STRAWBERRY

2015/10/08作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
筋少セカンド・アルバムで、80年代筋少最後のアルバムでもあります。
この頃から90年代中期くらいまでは、一年にアルバムを二枚出すというヘヴィな契約だったらしく、今作のように収録曲の少ないミニアルバム的な作品も、全てフルアルバムと同じように扱われているようです。
そんなスケジュールや、メンバーの入れ替わりの激しかった時期ではありますが、6曲の収録曲はどれもこれも濃すぎる出来です(笑)。

・収録曲について
インディーズ時代から存在していた「マタンゴ」は、サポートギタリストの横関敦さんとピアニスト三柴さんの速弾きバトルによって超絶なパワーアップを遂げていて、それは次の曲である「キノコパワー」でも、倍テンになる間奏で圧倒的なソロバトルを聴かせてくれます。(*´▽`)
変拍子のリズムをフレットレスベースで演奏する幻想的な「夜歩く」も、初期筋少屈指の名曲の一つだと思っています。
ただこの楽曲のフレットレスベースは、何故かメンバーの内田さん演奏ではないようです。
理由はわかりませんが、フレットレスの特殊性故に、得意な人に演奏してもらったとか?
同じくメンバーによる演奏ではなく、シンセメインだった「パノラマ島へ帰る」のように、今後リメイクされたりするかも?

オーケンと元ドラマーのみのすけさんのコントを挟みつつ演奏される「日本の米」や、女性コーラスとホーンセクションを取り入れて謎のゴージャスさを身につけた(笑)「ララミー」、そして9分という長尺曲でありながら、そのほとんどがオーケンの語りという「いくじなし」という、やはりそれぞれがインディーズ時代から存在していた楽曲となっています。
日本の米は空手バカボンの曲なんでしたっけ(笑)。

この中だとやっぱり「いくじなし」のインパクトが凄いですね。
長い長い語りもそうですが、同じ曲とは思えないくらい曲調が変化していくプログレ的な曲構成や、バックの楽器隊のセッションも聴きどころです。
三柴さん横関さんは勿論、内田さんと太田明さんのリズム隊も堅実なリズムキープから攻撃的な演奏までこなし、楽曲をどんどん盛り上げてくれます。
どうしても台詞に耳が行ってしまいますが(笑)、演奏をじっくり聴くと新たな発見が沢山あります!

・まとめ
ファンの中には、この頃がピークと語る人もいるくらい、強烈な個性が凝縮されたアルバムで、前作の微妙に不完全燃焼だった印象を見事に返上してくれています。
90年代筋少と比べるとアングラ要素が非常に強いので、初心者向けではありませんが、ベスト盤やライブでマタンゴやキノコパワーが好きな方や、三柴さん、横関さんファンの方なら、聴いてみて損はしないはずです!


・お気に入りの曲
マタンゴ
キノコパワー
夜歩く





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