- CDレビュー BUCK-TICK アルバム -





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アトム未来派No.9

2017/06/04作成

★★★★


デビュー30周年を目前にしてリリースされたフルアルバムで、前作「或いはアナーキー」以上にぶっ飛んだタイトルから、タイトル発表時点で既に期待が高まっていました(笑)。

先行シングルである「New World」が打ち込みを取り入れた軽快なロックサウンドでしたが、本作はそこからは到底想像できないダークで密教のような不気味な雰囲気の「cum uh sol nu -フラスコの別種-」から幕を開けます。
キラメキの中で…とMr.Darkness & Mrs.Moonlightを足した感じ…といえば、どれだけダークな幕開けかわかると思いますw
ノイズ満載の「PINOA ICCHIO -躍るアトム-」や、「THE SEASIDE STORY」、アコギを使ったダークなミドルチューン「El Dorado」「曼珠沙華 manjusaka」等、BUCK-TICK得意のサウンドを主軸にしてはいるのですが、2007年頃から多くなってきた、Oh!Yeah!みたいなコールアンドレスポンスの入った曲が徹底的に廃されており、激しい曲もバラードもとにかく淡々としています。
それもあって、ここ10年近くにリリースされたアルバムでは屈指のダークさを誇り、ダークなBUCK-TICKが帰ってきた!という印象を受けました。

前作の「無題」と並ぶ、櫻井さんの表現力が遺憾無く発揮される「愛の葬列」でアルバムを締めくくるという構想もあったようですが、「New World」が最後に配置され、ダーク一辺倒だったアルバムの最後に唯一、ポジティブで軽快な曲が入ったことで、これで終わるのではなく、始まりを感じさせる終わり方にしたいという流れになりました。
ある意味浮いてるとも言えて、どことなくボーナストラックのような印象も受けますね…TABOOのJUST ONE MORE KISSみたいな(笑)。

総評として、どれもが入門向けとも言えるくらいポップでキャッチーだった、2007年以降のアルバムでは最も異質な作風で、久々に初心者にはオススメできないアルバムが誕生してしまった、と言った感じです(笑)。
ダークではありながら、Six/Nine程混沌とはしていなく、SSL程無機質でもなく、Mona Lisa OVERDRIVE程攻撃一辺倒でもないという点では、問題作という程ではないのかもしれませんw


・お気に入りの曲
DEVIL'S WINGS
美 NEO Universe
Cuba Libre







惡の華(2015年ミックス版)

2015/02/14作成

★★★★☆


・概要、全体の印象
惡の華発売から25年目である、2015年2月1日に発売されたアニバーサリーアイテム。
20周年の時にリリースされたリマスター盤とは違い、各パートのミックスの段階から構築し直し、再レコーディングはせず、全て当時の音であるにも関わらず、素人耳でもわかるくらい変貌しています。
代表曲「惡の華」が収録されていることは勿論ですが、BUCK-TICKのアルバムでも特に音質、ミックス面に力不足を感じるアルバムでもあったので、今回のリメイクはファンとして本当に嬉しいものでした。(*´▽`)

・収録曲について
次回作の「狂った太陽」から最近の作品までミックスを担当している比留間さんによるミックスで、出来る限り現在のBUCK-TICKに近付けるように再構築されたようで、一部の曲はほとんど別物と言えるくらい化けています。
全体的に共通している変化点は、フラット…というより質素すぎたヴォーカルにエフェクトがかけられ、ギターの音が大きくなり、ベースはより低音を強調、ドラムも非常にヌケがよくなっています。
ギターは色々な音色やフレーズを絡めていたにも関わらず、小さすぎて聴こえなかったり埋もれてしまっていたものがクッキリと浮かび上がってきていて、こんな演奏をしていたんだ!という発見があったりもします(笑)。

特に変化が大きかったのは「NATIONAL MEDIA BOYS」と「LOVE ME」ですかね。
NATIONAL〜は今作で最もあっちゃんのヴォーカルにエフェクトがかけられ、Aメロでは恐らくヴォコーダーによる低音が重ねられ、まるで最近のBUCK-TICKのような低音域が魅力的な声になっています。
原曲と違いすぎてるので、聴き慣れるまでは違和感あるかもしれませんが…初めて聴いた時、スピーカーの接触が悪いのかと思いましたし(笑)。
サビもコーラスが重ねられ、サビに入ると急にスカスカになるのが解消されていましたw
LOVE MEは原曲では後ろの方で小さく鳴っていたノイズギターが前面に押し出され、近年のライブ版に近い印象に。
あっちゃんのヴォーカルにはアルバム「夢見る宇宙」収録曲のような深いリバーヴがかけられ、ギターと相まってシューゲイザー的な曲に生まれ変わりました。
まさに今のBUCK-TICKのモードに近付いた感じですね!

「PLEASURE LAND」も、ギターとヴォーカルに深みが増し、アウトロではリズム隊が先にフェードアウトする等、アレンジにも変化が見られ、続く「MISTY BLUE」では、フェードインしてくるドラムが最初から音量全開で入るようになったりと、元アルバムを聴き込んだ人を驚かされる変化を見せてくれています(笑)。

・まとめ
細かい変化を挙げるときりがないですが、ほんとただの音質向上版だと思って侮る無かれ、です!(笑)
BUCK-TICKが好きな人はもちろん、このアルバムが好きな人なら、絶対に驚き、満足出来るものになっていると思います。(*´▽`)
今回の2015年ミックス版で新たに気付いた発見を、1990年版と聴き比べてみるのもまた面白いと思います。
凄く小さいし気付きにくいけど、こんな音鳴ってたんだ!と気付かせてくれますw


・お気に入りの曲
NATIONAL MEDIA BOYS
LOVE ME
PLEASURE LAND







或いはアナーキー

2014/07/13作成

★★★★★

25周年のアニバーサリーイヤーを終えたBUCK-TICKの新たな一手となったアルバムで、25周年が充実したものになったので、それを壊そう、という彼ららしいコンセプトのアルバムです(笑)。

本作のサウンド面での特徴は、過去最多の外部ミュージシャンの参加ですね。
マニピュレーターの横ちゃんや、ここ数年ヒデさん曲を中心に関わっているCube Juiceさんだけじゃなく、ハヤシ(POLYSICS)、YOW-ROW(GARI)、元SOFT BALLETの森岡賢、等々、主にエレクトロ方面に精通している面々が楽曲のアレンジに参加しています。

インタビュー等で必ずと言っていいほど語られている本作のテーマ「シュルレアリスム」や「ダダイズム」に関しては、古いものを壊して新しいものを創る、抑制への反抗をイメージする言葉として提示したのであって、革命運動等、左翼的な要素は無いので、音楽に政治思想を持ち込まれるのが苦手な人でも安心して聴けます(笑)。

一曲目から、今井さんメインのツインヴォーカル、スカスカなバンドサウンドにキッチュでノイジーなシンセサウンドが絡む、BUCK-TICKというよりはLucyっぽい異色作「DADA DISCO -GJTHBKHTD-」からスタートするのが、このアルバムのコンセプトを体現しているように感じます。
BUCK-TICKのアルバムの一曲目は、意外とポップで勢いのある曲である事が多かったので、いきなりの変化球です(笑)。

そこからの、勢い任せに突っ走るパンキッシュな「宇宙サーカス」や、アコギ二本とタム回しが重々しい「masQue」、シンセベース主体の8ビートがボディ・ミュージック風味な「Devil'N Angel」等、BUCK-TICKにあまりありそうで無かったタイプの楽曲が続きます。
「夢見る宇宙」や「王国」のように、リバーブが霧のように深くかかった「ボードレールで眠れない」や、歌詞やシンセ音が、「十三階は月光」を思い出させる「PHANTOM VOLTAIRE」のように、従来のBUCK-TICKらしさを感じさせる楽曲が出てきたかと思いきや、前作のサーフ・ロックに続き今度はサンバまでやっちゃった最近絶好調なヒデヒコソング「SURVIVAL DANCE」には度肝を抜かれた人も多いはず(笑)。
今回はヒデさんがノリノリな曲しか作っていないからか(笑)、モリケンのピアノ演奏を取り入れた正統派バラード「世界は闇で満ちている」は今井さん作詞作曲ですw

これだけごった煮カオスな曲が詰まったアルバムを最終的に綺麗に纏め上げているのは、あっちゃんの世界観がこれでもかと色濃く出たラスト二曲「無題」「形而上 流星 -metaform-」のおかげだと感じました。
無題はあっちゃんの持つ死生観、苦しみや悲しみの美学の集大成と言ってもいいくらいの曲で、音階の無い無機質な電子音や、ディレイのかかってぼやけたギターの音も相俟って、気持ちが落ち込んでいる時に聴くのは危険だと感じるくらい深淵な世界観を感じさせます。
意味を訊かれたくない、聴いた人それぞれが感じた事が答えなので「無題」と名付けられたそうです。

そんな暗黒ソングからの「夢を見た…」と繰り返す「形而上流星」への繋がりは見事としか言いようがないです。
無題が「死」や「失」を象徴するとしたら、対照的に形而上流星は「生」や「願」をイメージさせられると感じました。
形而上流星も、身近な人が亡くなった時の心情が歌詞のモチーフになっているそうですが、だからこその、生きること、願うことというか…。

ちなみにシングル二曲はそれぞれ別アレンジになっていて、「メランコリア」はバリバリのテクノからバンドサウンドになりましたが、規則的なリズム隊と最低限の音数を鳴らすギターが、寧ろこっちの方が無機質なんじゃないかと感じさせます。
今回のアルバム版が原曲で、シングルはリミックス的なポジションだそうですが、シングル版はかなり過激でアグレッシブなアレンジでしたからね(笑)。
メロディや曲の構成自体は同じですが、逆に言えばそれ以外はほとんど別物です。
形而上流星はワンコーラス(一番サビまで)リズム隊が登場せず、ギターとシンセだけになり、ラストのLaLaLa…はコーラスが重ねられています。
単体で聴くならシングル版の方が良いと感じますが、アルバムの〆として、そして無題からの流れでなら断然こっちですね。

今回のアルバムは楽曲の多彩さは勿論、天リボ以降比較的安定していたBUCK-TICKサウンドに変革が起きていて、何度聴いてもアルバムの全体像が掴みにくい、難解なアルバムだと感じました。
新しいし格好良いんだけど、それを言葉にして説明するのが難しいというか。
まあ今井さんなら、理屈で説明するんじゃなくて、「かっこいいもの」でいいじゃんと言いそうですが(笑)。
そして前々からそうでしたが、BUCK-TICKが演奏すればどんな曲でもBUCK-TICKになってしまうんだな、ということを再認識しました。
それは勿論メンバーの演奏やアレンジもあると思うのですが、やはりあっちゃんことヴォーカル櫻井敦司の揺るぎない世界観、ブレない軸があるからこそなんだと、本作のラスト二曲を聴いて思いました。

発売から一ヶ月以上経ちましたし、ツアーも始まっているのでとりあえず感想を纏めましたが、私の脳内ではまだ全然このアルバムの「答え」は出ていません(笑)。


お気に入りの曲:
DADA DISCO -GJTHBKHTD-
サタン
無題





デビュー25周年という年に発表されたアルバムですが、記念碑的なアルバムではなく、いつも通りの自由で挑戦的なアルバムです(笑)。
「天使のリボルバー」あたりから続いている、シンプルなバンドサウンドに、同じくシンプルで良いメロディが乗る、という流れは今回も引き継いでいますが、前作「RAZZLE DAZZLE」のようなコンセプチュアルな感じではなく、「memento mori」のような、コンセプトに縛られない自由さを持ち、同時に過去最高にポップなアルバムという印象が強いです。

シングルに収録された曲は全てアルバムバージョンとなっていて、「エリーゼのために -ROCK for Elise-」は、Aメロ、Bメロ、サビで、ヴォーカルにそれぞれ異なるエフェクトがかけられ、間奏ではドラムの残響がカットされていたりと、よりデジタルな印象へ。
ヴォーカルにエフェクトがかけられているため、シングル版と比べ好き嫌いが分かれそうではありますが、こっちを聴き慣れると、シングル版が物足りなく感じたりするので、中毒性は高いかも(笑)。
副題も変わった「MISS TAKE -I'm not miss take-」は、今井さんのアルペジオが歪み、英彦さんのリフもリバーブが強くかかり、全体的にノイジーになった印象で、カップリング曲だった「ONLY YOU -WE ARE NOT ALONE-」は、イントロ以外のシンセが全て取り除かれ、生のホーン・セクションが加えられ、パワフルでお洒落な感じになりました(笑)。
「夢見る宇宙 -cosmix-」は、一番変化がわかりづらいかも。全体的にギターを使ったノイズが強烈になり、ヴォーカルがぼやけた感じだったシングル版と比べ、鮮明になったところかな?

アルバム曲では、25周年のBUCK-TICK FESTを意識して作られたというノリノリなロックンロール「CLIMAX TOGETHER」を初め、爽やかなサーフミュージック風な曲調に、ノイジーな弦楽器隊と、何重にも重ねられたヴォーカルが乗る「人魚 -mermaid-」等々、ダークなイメージをすっ飛ばすアッパーな曲が目立ちます。
その裏で、歌詞に震災の影響が現れたという「夢路」や、ヴォーカル櫻井氏の幼少期のトラウマを描いた「禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-」等、明るい曲調の中に暗いテーマを乗せたものも。

今作では、予め櫻井さんがいくつかキーワードを提示し、そこから作曲や作詞が始まったという制作過程だったようで、最近のアルバムの中では、櫻井色が強めに出ているアルバムという印象を受けました。
今井さんがヴォーカルをとる曲が無かったのも、その印象を一層強めているのかもしれません。

BUCK-TICKの代名詞とも言われる、ダークでデカダンな世界観は今作では薄めですが、私が個人的に思うBUCK-TICKの代名詞である、ノイジーな音作りは、健在どころかより強烈になっているので、ポップなアルバムと聞いて不安になっている方も、とりあえず聴いてみることをお勧めします(笑)。

初回盤のDVDには、ファン200名を新宿LOFT招待して撮影された「CLIMAX TOGETHER」と、6月10日の日比谷野音公演から5曲収録されています。
エリーゼと夢見る宇宙のライブ映像を早速観れますが、後半三曲では、あっちゃんの衣装が白いちゃんちゃんこ(ry



・お気に入りの曲
エリーゼのために -ROCK for Elise-
CLIMAX TOGETHER
夢見る宇宙 -cosmix-


2012/11/19作成
夢見る宇宙
★★★★





18枚目のアルバムで、事前に発売されたシングル二枚が、どちらもアルバムのコンセプトとは別路線で作られた、めずらしいアルバムです(笑)。
ファンだけでなく、メンバー自らも「近年のBUCK-TICKの集大成」と認めさせた傑作「memento mori」の後という事で、今井さんもかなり苦労したとか・・・。
そして、いざ蓋を開けてみると・・・一見真逆な曲調に聴こえるシングル二枚に共通する、ダンサブルなビート感を全面に出したかのような、思わず無意識に身体が揺れてしまうくらいの踊れるアルバムでした(笑)。

ギターのリフレインと、オーケストラヒットのキメが心地良い「RAZZLE DAZZLE」は生演奏メインですが、その後の「狂気のデッドヒート」から「妖月 -ようげつの宴-」までは、近年影を潜めていた打ち込みメインの楽曲がずらりと並ぶ!
スカスカな変態テクノ「狂気のデッドヒート」、今井パートと打ち込みとコーラスが全て一新され、シングル版とはほとんど別の曲と言ってもいいくらい変化した「独壇場Beauty -R.I.P-」、まるでレトロなディスコサウンドのような「羽虫のように」、そして、シングル版ではきめ細かな16ビートが渋い「妖月 〜ようげつの宴」は、リズム隊が打ち込みになり、大振りな四つ打ちとホラーチックなノイズが飛び交う、おどろおどろしい曲調に・・・!

そして、7曲目の「BOLERO」からは、アルバムの第二幕とも言えるかも?
まるで「GIRL」や「疾風のブレードランナー」を思い出す、今井ポップ全開の「BOLERO」、まさかのラテンリズムを取り入れた、異色曲ながらも今後のライブ定番曲になりそうな「Django!!! -眩惑のジャンゴ-」、どっしりとしたドラムと歪んだベースの上に、ルーズなギターリフが乗る「錯乱Baby」と、ここ三曲は前までとは打って変わって、生演奏が光る曲達です。
そして、シンセベースのようなスタッカート気味なベースを中心に、生演奏で打ち込みっぽさを出したかのような「PIXY」は、まるで90年代初期のBTサウンドを思い出させます。

ここにして登場した先行シングル「くちづけ -SERIAL THRILL KISSER-」は、打ち込みが全て一新され、割と綺麗な和風ゴシックに纏まっていたシングル版と比べ、アナロギーなノイズに塗れ、ホラーチックな感じに。
くちづけに通じる歌詞世界ながら、クラブ的ビートが光る「月下麗人」、まるで結成当初のような飾り気のない疾走ロック「夢幻」、今井さんと櫻井さんのツインヴォーカル「TANGO Swanka」、そしてラストは、かつての「COSMOS」「FLAME」を想起させるような壮大なバラード「Solaris」で〆。
くちづけからの流れに共通したポイントを挙げるならば、「歌」を全面に押し出した楽曲が多いことかな?

このように、アルバムの中で様々な世界観が交差しているかのようなコンセプトは、アルバムによって世界観を統一させることの多いBUCK-TICKにとっては、ある意味めずらしいかもしれません。
今井さん曰く、傑作とはいえ「memento mori」のコンセプトを引き継ぐと、それがマンネリに繋がってしまうので、近年のコンセプトからスピンアウトしつつ、強引な路線変更にならないように纏めたとか。

なんとなくですが、このアルバムは今後のBUCK-TICKの歴史の中でも異色作になりそうな気がします。
が、それはネガティブな意味ではなく、今井さんの言っていた「新しいBUCK-TICK」の始まりとして、今後語られるようになるかもしれませんね。


・お気に入りの曲
RAZZLE DAZZLE
独壇場Beauty -R.I.P-
錯乱Baby


2011/03/26作成
RAZZLE DAZZLE
★★★★☆





通算17枚目のアルバムにして、このバンドでは、恐らく20年振りくらいの、決まったコンセプトを示さないで作られたアルバム。

グランジだったりアンビエントだったり、ノイズやデジロック、ゴシック等、アルバム度に明確なコンセプトを掲げ、リリースされるアルバム全てが「実験作」的だったこのバンドにとっては、そういったコンセプトが決まっていないアルバムというのは、最大級の飛び道具であり、裏の手とも言えますね(笑)。

大きな期待と若干の不安を持ちつつ、聴きましたが、流石はBUCK-TICK、今回もファンを驚かせる要素が沢山です。
基本は前作「天使のリボルバー」からの、シンプルなバンドサウンドを継承しているのですが、打ち込みやノイズも多く使われ、ポップかつ癖のあるメロディが飛び出す、初期のアルバムや「ONE LIFE, ONE DEATH.」を思い出す感じがしました。

先行シングル曲でさえ、多種多様な世界観を見せていたのに、アルバム用の曲はそれを更に推し進めた感じ。

「Les Enfants Terribles」は、サビが近年のJ-POPを連想させ、ちょっと嫌な予感がしましたが、とてつもなくノイジーなギターと今井さんのヴォイスのお陰で、B-Tらしい毒のあるポップソングになっている感じ。

「アンブレラ」「天使は誰だ」では、どことなく懐メロ的な、レトロなメロディが印象に残ります。

「勝手にしやがれ」「Message」では、筋肉少女帯の三柴理さんがキーボードを担当したからか、今までのBTのキーボードにはあまりない、ギターばりに主張しまくるフレーズが面白いです。

「Coyote」ではゆーたさんはアップライトベースを、ヤガミトールさんはダンボールのようなもの(笑)をドラム代わりに叩いて録音したらしく「Memento mori」では、トライバルビートと今井さんのコーラスが混じって不思議な世界を作り出し、サビでは琉球音階まで飛び出すフリーダムっぷり!(笑)
「死を想え」というメッセージを、ここまで前向きに伝えた歌があっただろうか。(;´∀`)

前作のハイスピードナンバーをも凌ぐ勢いの「Jonathan Jet-Coaster」や、詩曲共に必殺の今井ワールドが炸裂する「スズメバチ」、実は2002年ごろからアルバムの候補に何度か挙がったらしい、ゴシック色の強い「Lullaby-V」、歪みまくったレトロでコテコテなギターリフが格好良い「MOTEL13」。


・・・と、各曲一言ずつ挙げても、これだけのフリーダムさ(笑)。
これだけメチャメチャにやっても、軸が全くぶれていないため、しっかりBUCK-TICKの音楽になっているのが、このバンドの凄い所だと思います。

今作では、ただ格好良い、ノリが良いというだけでなく、ライブで真価を発揮しそうな曲が多いので、ライブがとても楽しみです。
「Memento mori」とか特にね(笑)。


・お気に入りの曲
スズメバチ
Coyote
HEAVEN


2009/03/12作成
memento mori
★★★★★





5人の音に拘った、原点回帰的なアプローチを同時に備えた最新型バンドサウンド。

 BUCK-TICK15枚目のアルバム。(殺シノ調べを除くと)
「次回作はR&R」という星野さんの発言や、先行シングルニ曲のサウンドが示す通り、今作は、同期モノを極力廃した、5人の音に拘った、生のバンドサウンドが主軸になったアルバムです。
ボーカルのメロディやギターリフが、かつてない程にポップでキャッチーなのも、このバンドでは斬新ですね。

シンプルなロックンロールをコンセプトに、ロカビリーやハードロックの要素を持つ曲も取りいれ、BUCK-TICKならではのロックンロールを確立した、懐かしくも新しい、奥深くもわかりやすいアルバムです。
古きよき時代のロックが好きな方は、かなりはまるかもしれません(笑)。

本来なら、バンドの音楽性を変えるというのは、ファン離れを起こしたり、バンド内で意見のぶつかり合い等が勃発することが多く、諸刃の剣とも言えるのですが、20年近く活動しながらも、未だに保守に走らず、実験的なアルバムを作り続けるというスタイルは、ホントに凄いとしか言いようがありません。
このアルバムも、原点回帰ではなく、前へ進んだ結果だと言うのですから。
そもそも、初期アルバムは、「バンドサウンドしか知らなかった(出来なかった)」のであって、このアルバムは「沢山の引き出しを全て閉じ、バンドサウンドだけで音を構築する」だと言うのですから。

今井さんはこのCDでは、変態ギタープレイは極力自重していますが、ライブでは「CREAMSODA」演奏時に足でテルミンを鳴らしたりと、やはりやりたい放題でした(笑)。


・お気に入りの曲
Alice in Wonder Underground
RAIN
REVOLVER


2007/10/19作成
2009/01/07加筆修正
天使のリボルバー
★★★★





B-T史上最大のコンセプト・アルバム。
テーマは「ゴシック」で、近年ずっと使われ続けたノイズ系の打ち込みを廃止し、ベースやドラムも生音を採用、打ち込みもピアノやコーラスなど、血の通ったものが多く使われています。
見世物小屋や、儀式、悪魔等をモチーフにした世界観で構成されていて、これまた「DTD」や「Six/Nine」並に暗い世界観になっています。

このアルバムの評価すべき点は、インスト曲の使われ方が非常に素晴らしいです。
インスト曲は、「ENTER CLOWN」「CLOWN LOVES Senorita」「Lullaby U」「13秒」「WHO' S CLOWN?」と、5曲もあるのですが、それぞれ重要なポジションにあるのです。
このアルバムの曲順が、映画のサントラを意識したような曲順になっていて、起承転結を区切るのがインスト曲の役割になっているんだと思います。
インストを抜いてしまうと、このアルバムの良さも半減、なんとも普通でつまらない感じになってしまうでしょう。
シャッフル再生してる方、インストだからってついつい飛ばしちゃう方は、起承転結を意識しながら、最初から最後まで通しで聴いてみてくださいな。
このアルバムの新たな魅力に気付くはずです(笑)。

最近のデジロック路線のBUCK-TICKが何か物足りないなー、と感じる人には最高なアルバムかもしれません。(^^;
特に、「DTD」や「Six/Nine」が好きな方は直撃でしょう(自分がそうでした)。
B-Tを知らない方でも、ビジュアル系が好きだけど、最近のインディーズバンドにはついていけない・・・という人にもお勧めしたいですね。
ゴシックやら、悪魔、見世物小屋、儀式など、ビジュアル系バンドが好みそうな要素を満載にしながらも、長いキャリアを持ったバンドらしい、貫禄のあるサウンドに驚くでしょう。


・お気に入りの曲
降臨
ROMANCE
夢魔 〜The nightmare


2005/10/26作成
2009/01/07加筆修正
十三階は月光
★★★★☆





前作「極東I LOVE YOU」と二枚組で発売される予定だったアルバム。
打ち込みと生演奏の同期を計るというコンセプトは同じながらも、その作風はまさに対極。
一曲目から怒り狂ったような怒涛のバンドサウンド&シンセ音が流れてくる、BT史上最も激しいアルバムかもしれません(笑)。

こちらは前作と違い、ノイズやアコギはほとんど使われず、ハードロックやパンクに、大量のシンセサウンドを合体させた感じで、ライブで化けそうな曲がズラリと揃っています。
ただ、その作風故に、後半でちょっとだれてくる危険性もあったり。
元々二枚組の予定だったからか、アルバムの締めをちょっと消化不良気味にしてある(良く言えば、続きがありそうな締め)感じがするので、余計に終盤でだれてしまうのかも・・・。

今井さんが全編ボーカルをとる「Sid vicious ON THE BEACH」や、櫻井敦司的エロティックワールド炸裂(笑)の「BLACK CHERRY」が、ある程度アクセントとして機能しています。


・お気に入りの曲
ナカユビ
BLACK CHERRY
愛ノ歌


2009/02/03加筆修正
Mona Lisa OVERDRIVE
★★★☆





メジャーデビュー15周年の年に発売されたアルバムで、本来は次回作「Mona Lisa OVERDRIVE」との二枚組アルバムになる予定でした。

前作や次回作と同じく、打ち込みがとても多く使われていますが、激しさよりも静けさを感じる曲が多く、更に、楽曲全体をノイズが覆っていて、ザラザラした質感を持つ楽曲が多いです。
ドラムの低音域をほとんどカットした「疾風のブレードランナー」、Lチャンネルにドラム、Rチャンネルにアコギという変則的な配置の「WARP DAY」、過剰なまでのリバーヴがかかり、まるで霧に包まれた王宮を想像させる「王国 Kingdom come〜moon rise〜」等、一般的な常識に当てはまらないような特異なミックスをされた曲も。

更にこのアルバムが、他アルバムと決定的に違うところは、打ち込みやノイズの無機質さと、アコースティックギターの暖かな音色を融合させたことでしょう。

全体的に盛り上がりに欠け、元々二枚組の予定だったからか、アルバムの締めもはっきりしないまま終わってしまうので、あまり人気の無いアルバムのようですが、上記の有機質と無機質の融合を楽しめるという点では、これも唯一の個性を持つアルバムと言えます。
それでも馴染めない場合は、「Mona Lisa〜」と続けて聴いてみると、新しい魅力に気が付くかもしれませんね。

どっちにしても、とってもスルメなアルバムかもしれません(笑)。

・お気に入りの曲
21st Cherry Boy
Ghost
極東より愛を込めて


2009/02/03加筆修正
極東I LOVE YOU
★★★☆





BUCK-TICKの12枚目のアルバム。
前作に引き続き、打ち込みと生演奏の同期がサウンドコンセプトになってますが、こちらはかなりポップなアルバムでもあります。

前作「SEXY STREAM LINER」から始まった打ち込みと生演奏の同期を取り入れ、更に前作にはなかった、ポップさを重視した作風になってますね。
ただし、ポップであると同時に、独特なノリの変態ナンバーも多く、まさにナンデモアリなアルバムと言えよう。
その「ポップ+ナンデモアリ」なあたりは、初期のアルバムを連想させる。
ある意味、原点回帰に近いアルバムとも言える?

「Six/Nine」のようなダーク路線にちょっと抵抗がある方は、大概はまるかも?
初期を連想させる曲も多いので、返り咲きした方にもお勧め(笑)。
更に、BTを全然聴いたこと無い人は、まずベストアルバムか、このアルバムを聴いてみてはどうでしょうか。


・お気に入りの曲
Baby, I want you.
サファイア
DEATH WISH


2005/11/26作成
2009/01/07加筆修正
ONE LIFE, ONE DEATH.
★★★★





打ち込み路線へ針が振り切られた、今後の音楽的要素を広げる役割を果たした実験作

今までも打ち込みを使っていたBUCK-TICKですが、今回は、テクノやアンビエントの要素を取り入れ、徹底的に打ち込みに徹し、既にバンドサウンドとは言えないのではないかと思える程、シンセ使用の割合が高いです。
場を盛り上げる曲よりも、暗く沈んだ曲調の曲が多く、更に生のグルーヴ感を廃した曲も多いので、血の通わない、冷めた印象を与えます。

ここまで徹底的に打ち込みサウンドに拘ったからこそ、この後の楽曲で、打ち込みとバンドサウンドを融合させ、シンセサウンドを、自らの血肉にすることが出来た、と、メンバーにより語られています。

全体的に、機械のような冷たさと精密さを持つアルバムなので、それが直接好き嫌いに分かれると思います。
無機質なサウンドの中では、今井さんの唯我独尊なギターと、艶やかな櫻井さんのヴォーカルが、非常に引き立つ印象もあり、ただサイバーなだけで終わらせないのは、流石だと思います。


・お気に入りの曲
タナトス
リザードスキンの少女
迦陵頻伽


2007/06/01作成
2009/01/07加筆修正
SEXY STREAM LINER
★★★★





10枚目のアルバムは、前作の実験的な大作というコンセプトからの反動か、割とシンプルかつコンパクトな印象を受けます。

先行シングルである「キャンディ」はもちろん、「idol」「Asha-ra」等、ノリがよくキャッチーなメロディを持つ曲が多く、久々にポップ路線に戻ってきたかのような印象です。

…が、それはこのアルバムの表の顔で、本作の裏テーマは「ノイズ」。
アルバム全体に、打ち込みやサンプリングによるノイズが振り撒かれていて、更にギターやドラムもジャリジャリとした耳障りな音になっています。
特に、キャンディとチョコレートは、シングル版とは比較にならない程ノイズ塗れになっています(笑)。

アンビエント的な、不思議な浮遊感を持つ「Tight Rope」は、2007年にバンドサウンド中心の構成でリメイクされ、ラップのような語りとトライバルビートが目立つ「Living on the net」は、この頃のアルバムには必ず一曲は入っている、今井式変態ナンバー(笑)。
アルバムのラストは、キーボード中心の、安らかな曲調のバラード「COSMOS」で〆。
近年のライブでも「JUPITER」と並び、アンコールのラストで歌われることが多く、アレンジも少しずつ変化しているようです(星野さんがキーボードを弾かなくなったり)。

総合的に見ると、ノイズ分は多めですが、どの曲も割と聴きやすく、音楽性の変化が激しいこのバンドの中でも、入門作に相応しいかもしれません。
そして聴き慣れてきた頃には、キャッチーなメロディと共に、ノイジーな演奏にも虜になっている筈(笑)。


・お気に入りの曲
チョコレート
SANE
Tight Rope


2012/06/15作成
COSMOS
★★★★





九枚目のオリジナルアルバムにして、曲数16、収録時間71分という最大のボリュームを誇る大作。
メンバー自身も、完成するまでどんなアルバムになるか想像が付かなかったと語っていました。

強引にジャンル分けするとしたら、ハードロック+(アンビエント+インダストリアル)÷2…と言う感じでしょうか(笑)。
前作から受け継がれたハードロック路線は、「love letter」や「唄」に見られ、インスト曲三曲や、「相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」には、アンビエントやインダストリアルの要素が取り入れられています。
更に、エフェクト処理されたヴォーカルと、ノイズ塗れなギターを中心に、延々と単調なリフを繰り返す「限りなく鼠」や「細い線」は、聴き始めではあまり印象に残りにくいですが、聴き慣れてくることで、中毒性が増します。

シングル曲(C/W含む)は、後にリカットされた曲を含めると、5曲と多めですが、全てアルバムバージョンとなっています。
「鼓動」は、イントロが長くなり全体的にノイズ分が増加、逆に「唄」は、イントロのフィルインがカットされています。
「楽園(祈り、希い)」は、バンド演奏が丸ごとカットされ、歌とコーラス、演奏はタブラと打ち込みのみという妖しさ10倍増しに(笑)。
後にリカットされた「君のヴァニラ」は、ヴォーカルを中心に録り直され、「見えないものを〜」は、歌詞が丸々変わっていて、シングル版よりノイズ分が少なめです。

他にも、ストーカー的な狂気的歌詞を乗せた星野バラード「密室」や、ルーズで淡々としたシャッフルナンバー「Kick大地を蹴る男」等、閉鎖的でありながら、様々なタイプの曲あり、単調さを感じさせません。
逆に言えば、それがアルバム全体のカオスさ、取っ付きづらさを強めている感じもします。(^^;

今作の櫻井さんの歌詞は、BUCK-TICKの長い歴史の中でも、特に退廃的で破滅的。
バンド全体が試行錯誤していた時期でもあったようで、本作で離れていったファンも多かったようですが、逆に本作を最高傑作と語るファンもかなり多く、未だ賛否両論が絶えない、様々な意味での名盤と言えるでしょう。
ちなみに「楽園」にはコーランの逆回転が素材として使われていたのが問題となり、青いケースの初回盤は廃盤、コーランを抜いた赤いケースのセカンドロットが発売されました。

他にも、ボーナストラックで「太陽ニ殺サレタ」のライブ版を収録したリマスター盤が2002年、デビュー20周年記念の紙ジャケ版(同じくリマスター)が2007年、更に通常の透明プラケース版もあったような…(笑)。
リマスターされた紙ジャケ版を最近買いましたが、低音域がやや強くなり、高音のシャリシャリ感がやや抑え気味になっていますが、ほとんどわならない違いなので、よっぽど耳の肥えた方じゃない限り、95年の初回盤があれば充分かと(笑)。


・お気に入りの曲
love letter
限りなく鼠
相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり


2011/11/16作成
Six/Nine
★★★★☆





自ら茨の道を進み出した、バンド史上最強クラスの暗黒アルバム

6thアルバム「狂った太陽」で転機を迎え、このアルバムから、彼らは道無き道を突き進み続けます。

以前のアルバムからも見られた、BUCK-TICKの暗黒世界が完全に具現化したアルバム。
スピード感は無く、自己否定美学と言われた自虐的な歌詞と、重低音サウンド、ギターやサンプリングによるノイズが全体に走る、最初にして最強の暗黒世界を作ったアルバムと言えますね。
当時は、かなりの賛否両論を引き起こしたらしいですが、現在は、このアルバムを最高傑作として評価している方も多いようです。

「十三階は月光」や「Six/Nine」でBTのファンになった方は、多分気に入ると思いますよ。
BTを知らない方には、いきなりこのアルバムはキツイかも・・・(^^;
気だるく、どろどろしたダークな曲が好きな方なら気にいるかもしれませんが、スピード感を求める方には向かないと思います。


・お気に入りの曲
キラメキの中で・・・
青の世界
Madman Blues


2006/02/19作成
2009/01/07加筆修正
Darker than Darkness
-Style93-
★★★★★





七枚目のアルバムで、今までの集大成とも言えるセルフカバーアルバム。

前作でレコーディングの環境が大きく変わった影響か、単にベストアルバムを出す時期だったからなのかはわかりませんが、今までのシングル五曲と、過去作から数曲ずつが収録されています。

バックにキーボードやシンセ系の音が加わり、主に厚みを増す程度に留めた曲。ハイテンポな曲調からミディアムバラードに生まれ変わった曲。更に、原曲のカタチがわからないくらい破壊されたアレンジもあったりと、ただのベストではないことがわかります。
BUCK-TICKではめずらしい、ニ曲が連結した曲が三組もあるのもめずらしいですね。

全体的に斜め上なアレンジもあるので、全てが原曲の上位互換ではないのも面白いです。
このアルバムで今までの流れにピリオドを打つかのように、この後、BUCK-TICKは道無き道を突き進む孤高のバンドとなっていきます。


・お気に入りの曲
ICONOCLASM
惡の華
スピード


2010/08/28作成
殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits
★★★☆





6枚目のアルバムで、バンド、特に櫻井さん今井さんにとってのターニングポイントとなった作品。

櫻井さんは前作発売後のツアー中に母親を亡くされていて、その影響からか、歌詞からインパクトや響きを重視した言葉や英語が消え、自身を責め立てたり、ひたすらに愛を嘆くようなリアルで生々しい歌詞を書くようになりました。

一方今井さんは、レコーディングエンジニアの比留間氏と出会うことで、今まで大嫌いだったらしいレコーディングに、実験的な音を次々導入し、今井さんの代名詞とも言える、エフェクティブなギタースタイルが、今作で確立したとも言えます。

楽曲も今まで以上に新たな試みが取り入れられ、ダンサブルな「スピード」
12弦のアコギによる、BUCK-TICKの代表的バラード「JUPITER」
ツインギターソロを取り入れた「さくら」
フレットレスを搭載したダブルネックギターが使われた「Brain Wisper Here Hate is Noise」
ベースがシンセベースのようにスタッカート気味な「M・A・D」
そして、今井さんによるギターシンセがプレイされた「地下室のメロディー」「太陽ニ殺サレタ」
と、簡単に書いてもこれだけ多彩な楽曲が並び、それでもアルバム全体に統一感がある のは、流石としか言いようがありません。(;´∀`)

ファンの間でも、未だ最高傑作と名高い、名実共に名盤です!


・お気に入りの曲
スピード
Brain,Whisper,Head,Hate is noise
太陽ニ殺サレタ


2010/07/31作成
狂った太陽
★★★★





インディーズ時代に発売されたアルバムで、1990年にリマスターされ、ジャケットデザイン等も一新されたもの。
バンドがメジャーデビューしたことで、絶版になっていたこのアルバムにプレミアが付き、10万近い高額で取引される事態になってしまい、それを抑える意味もあったみたいです。(^^;

内容は、キラキラした軽いギターにシンプルな8ビート、そしてポップなメロディを歌うボーカルと、初期B-Tの定番サウンド。
初期ならではの音の悪さ、声の細さも目立ちますが、メロディや曲の構成自体は良いので、現在の彼らがライブで演奏することで、大化けすることも(笑)。
今でもライブで演奏されることもある「HURRY UP MODE」「MOONLIGHT」や、公式人気投票では上位に入る「FLY HIGH」等、B-Tを深く知りたい方には、やはり欠かせないアルバムかも。

余談ですが、1986年に発売されたインディーズ盤では、本作でカットされている曲が2曲入ってたり、2002年に発売されたデジタルリマスター盤の初回盤には、彼等のライブSEとして今でも時々使われる「THEME OF B-T」が初音源化されていたりと、それぞれのバージョンにしか収録されてない曲があり、マニアのコレクター魂を刺激する困ったちゃんです(爆)。


・お気に入りの曲
HURRY UP MODE
MOONLIGHT
STAY GOLD


2010/01/06作成
HURRY UP MODE
★★★





メジャー4thアルバムで、ジャケットやアー写が示すように、ゴシックロック方面へと進み出した…ようですが、それを期待するとちょっと肩透かしを喰らうかも?(^^;

アルバム前半はポップかつ変則的な、バンド初期に近い曲が多く、中盤からラストにかけて、やっと少しゴスっぽくなってくる感じです。
半年の活動休止を挟んでのアルバムとなったからなのかも知れませんが、全体的に勢いがなく、ヴォーカルに至ってはインディーズ時代の曲にも劣る感じもします(汗)。

妖しい世界観に、絡み合うツインギターと、現在でいうビジュアル系の原型とも思える曲もあり、潜在的な魅力がある曲が多い分、このレコーディング状態はやはり残念です。
実際、「NATIONAL MEDIA BOYS」や「LOVE ME」は、2000年以降のライブで演奏され大化けしましたしね(笑)。


・お気に入りの曲
NATIONAL MEDIA BOYS
SABBAT
惡の華


2010/07/17作成
惡の華
★★★





メジャー3rdアルバムで、今までのポップなサウンドから一転、ダークな世界観を提示し、今のBUCK-TICKへ続く音楽性を感じるアルバム。

全体的に、当時ゴシックロックに傾倒していた櫻井さんの影響が色濃く出ていますが、このアルバムで何よりも存在感を放つのは、一曲目からイキナリ前作までとの違いを見せ付けた「ICONOCLASM」でしょう!
ヴォーカルは楽器隊に近い立ち位置で、歌より目立つサイレンのように鳴り響くギターは、まるで新たなBUCK-TICKの始まりを告げるかのようで、実際にこの曲はアレンジを変えつつ、未だライブの定番ナンバーとして演奏され続けています。

シングル曲「JUST ONE MORE KISS」は、アルバムの作風から浮いてしまっているからか、ボーナストラック的な位置に入っています(笑)。
後の作品でリメイクされた曲が多く、今の目で見るとややきつい印象もありますが、アルバムのトータルバランスはかなり優れていると感じました。


・お気に入りの曲
ICONOCLASM
EMBRYO
ANGELIC CONVERSATION


2010/07/04作成
TABOO
★★★☆





前作ミニアルバムから、半年というハイスピードでリリースされた3rdアルバム。
初期B-Tのビートロック的な曲は減ってきて、ファンタジック(?)でポップな曲や、次作を連想させる「VICTIMS OF LOVE」等もあり、新たな方向性を模索している感じも。

「IN HEAVEN」のような、今聴いても充分格好良い曲もありますし、「PHYSICAL NEUROSE」のパンキッシュさは、近年再び演奏され、再評価されました。

スケジュールが過密だった影響か、どこか纏まりの無さを感じてしまうのが、やや残念か。(^^;


・お気に入りの曲
…IN HEAVEN…
PHYSICAL NEUROSE
CAPSULE TEARS -PLASTIC SYNDROME III-


2010/03/20作成
SEVENTH HEAVEN
★★☆





前作から間髪入れずに発表されたミニアルバム。
「HURRY UP MODE」に収録されていた「ROMANESQUE」の新録版を中心に、ライブ向けな激しい曲を中心に収録されています。
聴きやすいアルバムなのですが、どの曲も最近はめっきり演奏されず、ラストのリミックスはちょっと蛇足な気も(汗)。


2010/03/20作成
ROMANESQUE
★★☆





メジャーデビュー後、最初のアルバム。
サウンド的には前作を引き継いだ感じですが、パンク的な曲調だけでなく、どことなくシュールな曲調を持つ曲も増え、前作とは違った意味でもポップになってきている感じ。
ただ、当時の声や演奏もあり、シュールな曲はホントにシュールだったり(爆)。

「EMPTY GIRL」「SEXUAL XXXXX!」は、近年でも稀に演奏され「MY EYES YOUR EYES」は、2007年にシングルのカップリングとして、リメイクされました。


・お気に入りの曲
EMPTY GIRL
SEXUAL XXXXX!
HYPER LOVE


2010/02/17作成
SEXUAL XXXXX!
★★☆





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