- CDレビュー ムック -







シングルのレビューはこちら





T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-

2015/09/24作成

★★★


・概要、全体の印象
MUCC久々のミニアルバム…いや、6をミニと考えなければ、メジャー初のミニアルバムですね(笑)。
ライブで新曲として披露されていた曲を収録した、言うなれば2015年現在のMUCCの現状報告のような印象を受けるアルバムです。

・収録曲について
のっけから7分超えの長尺曲「睡蓮」からスタートし、殆どの曲が5分超えという、MUCCとしては長い曲ばかりとなっているのもめずらしいですね。
サウンド面は、近年のダンス+メタルの路線に、ミヤのシャウトや逹瑯のラップ等も取り入れ、ミクスチャー色が濃くなった反面、メロディは初期ムックのような泥臭い歌謡曲的なものが目立ち、また新たな化学反応を起こそうとしている感じです。
ただ本作は、フルアルバムの時のような、何かしらの真新しい要素はあまり無く、ちょっとマンネリを感じてしまう面もあるかもしれません。

5曲目「レインボー」は本作の変化球で、ミクスチャー要素皆無のMUCC王道歌謡ロックで、ちょっとホッと出来ます。(^^;

最後の曲「TONIGHT」は、なんと9分にも及ぶ超大作…ではなく、後半は隠しトラック「1997」が収録されています。
TONIGHT単体でも7分弱ありますけどね(笑)。
1997は前向きで荒削りなパンクロックといった印象で、歌詞の中にはハイスタやLUNA SEA等、実在バンドや地名がちらほら出てきますw(歌詞カードには未掲載)
この隠しトラックは初回盤のみという噂もあります。

・まとめ
ライブで披露された新曲による、現在のMUCCをパッケージした作品、という印象で、次の段階へ進むための経過点的な作品という風に私は感じました。
ちょっと新鮮味には欠けますが、ライブでとても盛り上がる楽曲ばかりが収録されていますし、ミニアルバムで40分強というボリュームは魅力的ですね。
初回盤にはDVDが付き、これには本作収録のD・f・DやHATEЯのライブ映像が早くも収録されています。


・お気に入りの曲
睡蓮
レインボー
1997







THE END OF THE WORLD

2014/07/20作成

★★★★

前作から一年半振りのリリースとなった、メジャーデビューから通算10枚目のアルバム。

前作が近年のムックの多種多様な音楽性をまとめた集大成的なアルバムだったのに対し、本作はフォークや歌謡的なメロディにヘヴィなバンド・サウンドを組み合わせた、バンド最初期のコンセプトが色濃く出た作風で、アルバム・タイトルにもあるように、世界の終わりをテーマに歌詞の世界観も統一されていて、どこかコンセプトアルバム的な側面も感じます。

特に一曲目の「THE END OF THE WORLD」と、折り返し地点にある「JAPANESE」は、特に悲壮感が漂っていて、フォークの原点が社会風刺だったというのもあり、現代社会のやり切れなさを感じさせる歌詞が見事にはまっています。

逹瑯作詞作曲の「Tell me」や「369 -ミロク-」も、軽快なサウンドと泣きのメロディがマッチしていて、この辺は2000年代半ばの頃によく見られた楽曲に近いものを感じました。

生演奏やメロディアスな歌メロが重視されている分、コテコテなミクスチャーロックであるシングル曲「ENDER ENDER」が却って目立つのも、良いフックになっていますね。
「HALO」はシングル版と同じ(多分)ですが、「World's End -In its true light-」は、新たにサブタイトルが付いただけあり、全パートが録り直され、シンプルな8ビートソングから、パンキッシュで荒っぽい曲に生まれ変わっていました!
これには驚いた人も多いのではないでしょうか(笑)。
イントロのギターのメロディにシンセが絡んだり、2番Aメロのヴォーカルにエフェクト処理がされていたりと、 ただパンク的なアレンジでは終わらないフックも仕込まれていて、シングルより好き嫌いが分かれるかもしれませんが、アルバム版らしいといえばそうかもですね。(^^;

曲目発表時から、その異彩を放つタイトルで注目を集めていた(笑)、「死んでほしい人」は、インディーズ時代を彷彿とさせるタイトルとは裏腹に、慈愛に満ちた壮大なバラードでした。
本作はタイトル先行の曲がほとんどで、歌詞や曲はタイトルから連想され作られたというエピソードがあり、このタイトルも当初はネガティブな意味合いで付けられたそうですが、いざ歌詞を書く段階になり、「死んでほしい人なんて言葉、この世界には要らないんだ」という意味に変わっていったそうです。
恐らくですが、病気や虐待等、理不尽な理由で亡くなってしまった子供の歌なのかな、と思いました。


全11曲と、ムックのアルバムでは比較的コンパクトに纏まっているのもあり、現在のムックはこういうモードだよ、というのが分かりやすく伝わるアルバムだな、というのが現時点での印象かな。
色とりどりだった前作に足りなかったフォーク路線がここで補完されたのは嬉しかったですね。(*´▽`)
ただ個人的には、デスヴォイスを多用したメタル系の楽曲の推しがやや弱いかな、とも感じました。
それも今はそういう曲を演るモードではない、という事なのかもしれませんが。(^^;


初回盤付属のDVDには、アルバムのレコーディング風景の他に、2014年3月に行われた、メンバー4人がそれぞれセトリを組んだ、メンバー別プロデュースライブの模様が収録されていて、これがかなりのボリュームです(笑)。
選曲の段階からライブ本番までの模様がダイジェスト収録されていて、フルで入っている曲はありませんが、NAMEやこの線と空、狂乱狂唱のDEMOバージョン等、レア曲満載です。(*´▽`)


お気に入りの曲:
Tell me
369 -ミロク-
JAPANESE









シャングリラ

2013/03/26作成

★★★★★

前作より二年ぶりになるオリジナルアルバム。
先行シングルでは、今まで以上のクラブサウンドへの傾倒っぷりを見せていて、バンドがどこへ向かってしまうのかという不安もあったのですが、それは杞憂に終わったどころか、予想以上に凄いアルバムになっていました(笑)。

一曲目の「Mr.Lair」は、シンセの音から始まるので、やっぱり今回もエレクトロ路線なのかな?と思わせておいて、達瑯のデスボイスと、楽器隊三人が一体となった強烈なリフが炸裂し、激しいリズムに達瑯と歌声とミヤのシャウトの掛け合いへとなだれ込んでいく、まるで「球体」に収録されていそうなメタルナンバーで幕を開けます。
…と思いきや、間奏からは四つ打ちのダンスロックへ変化、サビもメロディーはほぼそのままに、一番とはがらりと雰囲気を変えてきます。
アルバムの一曲目にすることを意識して作られた曲らしく、本作らしい多面性と、初っ端からリスナーの心を掴むインパクトを持つ曲です。(*´▽`)

そんな一曲目が示す通り、本作は今まで培ってきたムックの音楽性が再現され、更にそれらがハイレベルに融合しています。
DJとのコラボで、ムック史上でも特にエレクトロ色の強いシングル曲「アルカディア」から、同じくシングル曲で、同期ものを大きく取り入れながらもバンドサウンドを基軸とした「ニルヴァーナ」「MOTHER」。

「G.G」は四つ打ちのヘヴィなダンスロックで、パンキッシュな「ハニー」と、どこか日本的でじめっとした哀愁の漂う「終着の鐘」は、メジャーデビューした頃の音楽性を彷彿とさせます。
特に、SATOち以外の三人による合作である終着の鐘は、ミヤの作ったサビと歌詞が、これぞまさにムック!と言える王道振りで、近年のエレクトロ路線に聞き慣れていると、なんだか懐かしさすら感じます(笑)。
「ピュアブラック」は、聴いてすぐにYUKKE作曲だとわかる、アップライトベースが全面に押し出された曲で、ムックにはめすらしく、生のバイオリンが取り入れられたお洒落な曲。

続く「狂乱狂唱〜21st century baby〜」では、ヘヴィなタム回しに七弦ギターが絡むダークな曲で、デスボイスや早口で捲し立てる低音ボーカルからは初期の音楽性の片鱗を感じさせますが、楽曲全体でシンセベースが鳴り続けていたりと、過去の焼き直しに終わらないところが、様々な音楽性をしっかり血肉に変えてきた証明とも言えますね。
初期の匂いとなると、コロコロと曲調が変わりながら、安定のSATOちメロディーへ着地する(笑)「YOU&I」や、変拍子と感情的に叫び歌うサビが印象に残る壮大なバラード「シャングリラ」にも言えますね。
恐らく本作で最も賛否両論を呼んでそうなブライダルソング「Marry you」や、優しげながらもどこか寂しげな「夜空のクレパス」は、エレクトロ路線とはまた違った、近年のムックらしい、キラキラとしたポップス。

…と、早足に収録曲の印象を書いてみましたが(笑)、本作は様々な音楽性を表現しながらも、過去作の「志恩」「カルマ」のような実験的な雰囲気は無く、歌謡曲もメタルもロックもエレクトロも、全てを融合させて昇華させた、結成15周年に相応しい、集大成のようなアルバムだと感じました。
正直言うと、もう少しエレクトロ路線への傾倒が続くと思っていたので、異種音楽ジャンルの吸収からの昇華の早さに驚いたと言うのが本音です。(^^;

ちなみに本作には69トラック目に隠し曲が存在し、打ち込みを一切使わないメタルサウンドに、これから更なる飛躍を目指すかのような歌詞がのる曲で、まだまだ突き進んでいくぞっという意志を感じさせてくれます(笑)。
無音トラックとなっている14〜68トラックは、iTunesで取り込むことで、トラックタイトルにバンドからのメッセージが表示されるというおまけ要素もw
69曲目のタイトルは「OMAKE」と表示されていて、正式な名称は不明でしたが、後にミヤへのインタビューで「MAD YACK」と判明しました。


お気に入りの曲:
終着の鐘
ピュアブラック
狂乱狂唱 〜21st Century baby〜









カルマ

2010/12/19作成

★★★★

インディーズ時代から通算して10枚目、メジャー後から数えて8枚目となるアルバム。
今作は、メンバー自身の口から「問題作」と言われたり、バンド周辺の関係者には「このアルバムを所見で絶賛する人は信用しない方がいい」と言われたらしいとか、発売前からファンの期待と不安を煽っていました(笑)。

そんな前評判通り、今回のアルバム、かなりのクセモノですね(笑)。
数回聴いた程度じゃ、正直よくわからんアルバムです。(;´∀`)

実験要素満載だった前々作「志恩」よりも更に多彩な曲調が詰まっているけど、あまり実験的、試行錯誤的な雰囲気は感じず、最早開き直っているかのような雰囲気すら感じます。

シングルでは打ち込みだったベースとドラムが生演奏になっただけでなく、全体的に作り直されている「フォーリングダウン」や、どことなくチープでダサカッコイイ風味が漂う「零色」、打ち込みを多用しながらも、生演奏が中心となっている「ケミカルパレードブルーデイ」「アイアムコンピュータ」などなど・・・ミヤがクラブDJに傾倒している影響が出ているのか、前半は打ち込み中心のダンサブルな曲が並びます(逹瑯詞曲のフォーク風味な「A.」は例外)。

そして、インスト曲の「業」は、タイトルからは想像も出来ないシンプルな打ち込み曲で、ここを折り返し地点とし、逹瑯作曲の気怠い英歌詞ナンバー「堕落」、ホーンセクションを取り入れたSATOち曲「サーカス」。歌謡曲風味なYUKKE作曲オーケストラナンバー「ポラリス」、そしてミヤ作曲の、今作唯一のヘヴィロックナンバー「ライオン」と・・・中盤は、各メンバーが好き勝手にやりました的な音楽コンペ状態(笑)。

そして終盤は「羽」「約束」と、ムックの原点であるフォークロックへ回帰し、ラストは壮大なパワーバラード「フリージア」で締めくくるという、見方によってはかなり濃い内容です。
個人的に、フリージアはアルバムのラストという位置に置かれたことで、魅力が100%引き出されたと思います。

余談ですが、歌詞カードに乗っている、各曲を象徴するかのようなイラストが可愛いです(笑)。 フォーリングダウンはシングルジャケにもなったダーツ(?)で、ポラリスは汽車、サーカスはハイヒール等、楽曲のイメージに合わせた絵が乗ってます。

今の彼らの心情は、
「ムックの音楽はこうあるべき」ではなく、
「どんな音楽をやってもムックになる」だとか。

畑違いな音楽ジャンルを、ムックの色で一つに纏めた名作か、
色々冒険しすぎて散漫になってしまった迷作か、
既に二ヶ月以上聴いていますが、未だによく分からないです。(^^;
今もこうやってヘヴィロテしているので、駄作ということはまず無いと思いますが(笑)。


お気に入りの曲:
ケミカルパレードブルーデイ
ポラリス
フリージア -Karma Edit-






前作から一年の間で発売された、9thアルバム。
前作の反動からか、今作では実験的要素はあまり存在せず、去年の海外公演の経験を活かしたメタルなサウンドと、ムック本来の持ち味である日本的なメロディを融合させた、ある意味今のムックのスタンダードとも言える、纏まったアルバムです。

「咆哮」や「レミング」では凶悪なギターリフが炸裂しますが、メロディアスじゃない曲は一曲も存在せず、「陽炎」や「浮游」のような、ムックが昔から持つ歌謡曲的な楽曲もしっかり存在し、前作の打ち込み路線をしっかり血肉に変えた「ハイドアンドシーク」「オズ」もあり、今までのアルバムでやってきた新たな音楽性を、しっかり吸収し、昇華していることがわかります。

このアルバムのハイライトとも言える「賛美歌」は、ファンの間でも賛否両論が起きているようです。(^^;
私は達瑯のファルセットはあまり好きではなかったのですが、この曲では、うまく楽曲の魅力を引き出す要素として成立していると思いました。

個人的なお気に入り曲は、アルバムのトリを飾る「hanabi」。
序盤のピアノとタム回しが、どことなく和な感じがしたのは私だけでしょうか(笑)。
そしてこの曲の一番の魅力は、なんといってもサビの破壊力に尽きます!


総評としては、前作や去年のツアーで得たの要素をしっかりと昇華し、現在のムックの経過報告のようなアルバムだな、と思いました。
ミヤ曰く、このアルバムを作り終えた時点でも、まだまだアイディアはあるようなので、これからどう進化と変化を繰り返していくかが楽しみです。

お気に入りの曲:
アゲハ
オズ
浮游

2009/04/03作成

球体
★★★★





ムック8枚目のアルバムで、史上最も、実験色の強いアルバムかもしれません。
シングル「リブラ」で、バンドサウンド以外との同期を掘り下げるきっかけを作り、そこから生まれた異色のダンスナンバー「ファズ」が、このアルバムの方向性を決定付けたものになったようです。

本来は、「極彩」を掘り下げたメタル要素の強いものと、「ファズ」の方向性を突き詰めた、ダンサブルな要素を探求した、二枚のミニアルバムをリリースする予定だったそうですが、結局一枚のアルバムでのリリースになったとか。

メタルやダンスサウンドの要素以外に、東洋の民俗音楽のような雰囲気をも取り込んでいて、 一枚に纏まった分、アルバム全体の実験的要素、カオスさが増した感じも(笑)。

前作や「是空」のような、メタリックな質感を持つ曲だと、03、09、12あたりがそれにあたりますね。
09「蝉時雨」は、元々前作に収録される予定だった曲みたいですし(仮タイトルが極彩Part1でした)。

そして、「ファズ」の流れを汲んだ、打ち込みを沢山起用した、02、07も面白い。
02では、イントロにミヤの演奏するシタールが使われていたり、07では、最初から最後まで打ち込みのドラムが使われていたりと、今までの曲には無かった要素が、実験的に用いられています。
打ち込みは使われていませんが、4つ打ちのディスコビートっぽいリズムは、05や11にも活かされていますね。

06はパンクっぽいストレートな曲ですが、実験色の強いこのアルバムの中では、ちょっと浮いてます。
元々、収録曲はシングル「ファズ」を含む全10曲と発表されていて、曲のタイトルが発表された際に、「リブラ」と「フライト」も含む全13曲と変更されたので、最初は収録するつもりではなかったのかもしれませんね。

08では、シングル曲でもある13に続き、オーケストラとの共演を果たしています。
そして、10の「志恩」は、アルバムのタイトルナンバーに相応しい、これらの実験的要素全てが詰まったような、5/4拍子という複雑なリズムで展開される壮大な楽曲です。


全体的に、「鵬翼」以降のアルバムの中では、最も暗いノリのアルバムですが、実験的要素が強く、ノリの良い感じのアルバムではないかもしれません。
ムックの新たな面と、様々な音楽性を血肉に変える懐の深さを味わう事が出来ますが、初心者にはあまりお勧めできないかも・・・?

お気に入りの曲:
ファズ
志恩
リブラ

2008/09/27作成

志恩
★★★☆





7枚目のアルバムで、闇を追い続け、光を求めた先にたどり着いた、文字通り極彩色のサウンドが繰り出されるアルバム。

初めてのムックのアルバムレビューになります。
ムックは、初めて聴いたのは2000〜2001年あたりで、その頃はイマイチはまれず、その後、TVで「ココロノナイマチ」を聴き、一皮剥けた感のあるバンドの姿にちょっと惹かれ、2007年初頭に、この「極彩」を聴き、10月に聴いたシングル「ファズ」で完璧にはまりました(笑)。

今のところ、ムックで好きなアルバムは、この「極彩」と「鵬翼」の二枚が特に好きで、どちらをレビューするかで悩みましたが、やはりここは初めて聴いたアルバムである、これにしました。

定番のインストナンバー01は、タム回しとアコギのメロディが、どことなくスパニッシュな雰囲気で、聴く側のテンションを上げてくれます。

02〜03では、シングルでは見せない、ムックのもう一つの顔とも言えるラウドロック的ナンバー。
ヘヴィな音の洪水の中、日本的なメロディが入り、勢い任せに終わらせないのは流石。
気持ち良くバキバキ鳴るベースも聴き所ですね。

シングル曲である04では青春パンクのような爽やかなノリを見せ、05や、シングル曲の07では、バンドサウンドを維持しつつも、アコギや泣きメロも駆使し、聴かせる感じに。
特に、07「ガーベラ」のサビの、Lchで鳴っているアコギは必聴!
前作でのポップさに、彼らがインディーズ時代から持ち合わせていた、歌謡曲風味な要素を加えた06、09も、アクセントとして良い感じになっています。
第一印象は良くなくても、聴き込んでいるうちに、結構好きになってくるかも?

08、10では、8ビートを機軸としたハードロック全開な曲調で、11では、YUKKEのアップライトベースに導かれ、ジャジーな雰囲気も見せる。

極上のポップソング12や、ミヤが沖縄で手に入れた三味線を使った13等、旧来のファンから賛否両論の出そうな楽曲が続き、最後は、力強いメロディを8ビートに載せた、14「流星」で締めくくり。
シングルではフェードアウトで終わっていましたが、今作では、ラストはストリングスも登場し、アルバムの幕引きに相応しい壮大さに。


初回盤についていた二曲入りおまけディスクは、徹底的にメタルに傾倒した、まさにおまけだからこそ出来たような「G.M.C」と、非常に微妙なガーベラのリミックスです(笑)。


フォークロックやパンク風味なシングル曲から、ラウドやハードロック、ジャジーな曲調まで取り入れた、ムック独自の和洋混在の独特さが味わえます。
特に、このアルバムはごった煮感が強いですね。
ファンの間では賛否両論あるようですが、ポップすぎず、ダークすぎず、ムックの入門書として最適ではないのかな、なんて思いました。
ポップな面が好きなら「鵬翼」や「志恩」へ、ダークな面が好きなら「是空」や「朽木の灯」を聴いてみるといいかもしれません。


お気に入りの曲:
ガーベラ
25時の憂鬱
流星

2008/04/09作成
2008/09/22加筆修正

極彩
★★★★☆







6

2015/07/26作成

★★★☆


・概要、全体の印象
2006年にリリースされたアルバムで、インストを除くと全8曲、約31分という、フルアルバムとミニアルバムの中間的ボリュームの特殊なアルバム。
2006年はDevilish yearと銘打たれ、シングル4枚、アルバム二枚、初の武道館公演と、ムックの歴史の中でも特に精力的に活動された年でした…何がデビリッシュって、バンドのスケジュールの詰め込みっぷりが悪魔的だったとか。(;´▽`)

・収録曲について
一曲目のインスト「666」は、インディーズ時代を思い出させるノイズの中、ホムラウタのようなリズムが聴こえ出し、二曲目の「空虚な部屋」のリフへ繋がっていきます。
前作「鵬翼」のポップさの反動からなのか、収録曲はとにかく激しくハイテンポな曲が多く、逹瑯やミヤのシャウトもここぞとばかりに多用されています。
引き篭もりに警鐘を鳴らす「はりぼてのおとな」、新興宗教にはまってしまった友人を歌った「春、風のふいた日」、そして、大切な人との別れ、空虚感を歌った、本作唯一のバラード「遥か」等々、全体的に歌詞の世界観も暗いです。

「フォーティーシックス」「神の星」は、世界の長い歴史や、人間の滑稽さを神様の視点で描いたりと、壮大さとミクロな視点、どちらでも見ることが出来る深さがあります。
神の星はYUKKE作曲ですが、Bメロで叫ぶように歌うミヤのパートが強烈に印象に残ります(笑)。

本作で唯一、明るさを感じさせるのは「夕紅」で、安心の(笑)SATOち作曲青春パンク風の曲に、世界は暗いことばかりじゃないと歌う、ミヤの詞が乗ります。
過去の同タイプの曲と較べ、ヴォーカルのキーが高く早口なので、余計に明るく聞こえます(笑)。

・まとめ
次回作「極彩」と同じ年に出されたアルバムですが、方向性的には前作「鵬翼」と対になるような、重さと激しさが重視されていて、「朽木の灯」程ではないにしろ、メジャー後のアルバムの中では全体的に暗めです。
シングル曲は収録されず、ライブで定番になっている曲も少ないので、これからアルバムを集める、という方は後回しでもいいかも?(^^;
それでも、最近ではそんなにめずらしくないかもしれませんが、ミヤがサブヴォーカルを務める「神の星」は個人的にはとてもお勧めです。(*´▽`)


・お気に入りの曲
神の星
夕紅
遥か







鵬翼

2015/05/31作成

★★★★


・概要、全体の印象
ムックのメジャー三枚目のアルバムにして、インディーズ時代から続いた、俗に言う「密室系」路線からの脱却を感じさせたアルバム。
これでもかとポップなシングル三枚を経てリリースされ、ムックらしいヘヴィな演奏は維持してはいますが、全体的にメタルやヘヴィロック要素は薄めとなっていて、ムックのもう一つの持ち味である、フォークや歌謡曲のような伸びやかでインパクトのある歌メロが強みとなっている印象です。

・収録曲について
この頃のムックではめずらしく、一曲目にインストを挟まず始まる「輝く世界」から、「サル」「赤線」等、重さよりもスピード感を重視したメロディアスなロックナンバーが続き、シングル曲の「最終列車」は、イントロにヘヴィなリフが追加され、アルバムエディットとなって収録されています。

インディーズ時代から続く、暗く切ない歌謡ナンバー「1R」、SATOち作曲らしい軽快なメロディに、幼少時代の思い出を乗せた「昔子供だった人達へ」、オーケストラを大胆に導入した渾身のバラード「雨のオーケストラ」、雪と思い出をテーマにしたロッカバラード「優しい記憶」等、切ないメロディアスナンバーも多数並びます。

本作では唯一と言える、歪んだベースラインが重苦しい「モンスター」も、変化球として強烈な個性を放ち、ラストには、この頃のムックにはめずらしい、ライブでの合唱を意識したと思われる壮大なバラード「つばさ」で〆られます。

・まとめ
前作「朽木の灯」とは対極に位置する、ロックもバラードも、ポップでメロディアスなアレンジで纏められた、ムックのアルバムにおいても特に「光」を感じさせるアルバムです。
後にリリースされる「極彩」や「シャングリラ」は、キャッチーではありますが多面的に光を乱反射させるイメージですが、本作は真っ直ぐな、純度の高い光を連想させられました。

ムック独自の個性や毒素を求めると、少し肩透かしを食らうかもしれませんが、純粋にメロディの良さやシンプルなアレンジは、凝ったアルバムとはまた違った個性を放っています。
ビジュアル系バンドを聴かない人になら、一番お勧めしやすいアルバムかもしれませんw


・お気に入りの曲
雨のオーケストラ
モンスター
優しい記憶







朽木の灯

2013/05/05作成

★★★★☆

メジャー二枚目のアルバムで、ムック史上最大の暗黒アルバム。
前作のハードな音楽性を受け継ぎつつ、インディーズ時代の、心の闇を映したかのようなダークでネガティブかつ、哀愁を持つ世界観が融合していて、とにかく重いです。

しょっぱなから「誰もいない家」「遺書」と、タイトル通りの陰鬱な曲が続くだけでなく(笑)、テンポの速い曲は全体の半分もなく、シングル曲は二曲とも後半に配置されていたりと、初心者殺しな内容となっています(汗)。
ライブでも定番となっている、パンキッシュな「名も無き夢」と、シングル曲「モノクロの景色」くらいしか明るい曲が無いです(笑)。
そして最後に収録されている「朽木の塔」は、今作で最も暗く、重く、遅く、長い曲で、達瑯の自ら犯した過ちがテーマとなっている歌詞も含め、今作のクライマックスにして、最後の関門(笑)。
アルバムの収録時間を69(ムック)分に合わせるためなのか、演奏が終わった後に、三分ほど無音状態が続くのですが、その無音状態がまるで、全てが無になってしまったかのような不気味さを感じさせます…。

今作で負のエネルギーを全て吐き出したかのように、以降ムックは、今まで培ってきた音楽性に前向きなメッセージとポップな曲調を取り入れるようになり、更なる音楽性の進化と変化を見せていくことになります。
そういう意味ではまさに本作は、インディーズ時代から貫いてきた密室路線の到達点と言えるのかもしれません。
初心者には決してお勧めできないアルバムではありますが(笑)、本作はムックの音楽性の、一つの完成型とも言えますので、このバンドのことをもっと知りたいと思えたら、騙されたと思って聴いてみましょう(笑)。


お気に入りの曲:
遺書
未完の絵画
朽木の塔








是空

2013/05/02作成

★★★

ムックのメジャー初のアルバム。
メジャーファーストアルバムというのは、インディーズ時代に培ってきた音楽性の集大成になることが多いのですが、今作は少し毛色が違い、この頃にビジュアル系界隈で流行っていた、ニューメタル要素を軸とし、インダストリアルやジャズ等、様々な方向性へのアプローチが見え隠れしている、実験作的な色合いが強いです。
ムックの音楽性にとっては、メジャーもインディーズもあまり関係ないのかも?

じめっとしたメロと、感情を露にしたサビが印象的なシングル曲「我、在ルベキ場所」と、メッセージ性の強い歌詞を、達榔の激しい歌唱と、ミヤの魂の叫びが訴えかけるダークバラード「9月3日の刻印」、そして超攻撃的なヘヴィロックナンバーである「茫然自失」「蘭鋳」の二曲は、その後のライブで定番になる程のキラーチューンですが、それ以外の曲は、実験的故にか、ちょっとインパクトに欠ける感じも。
特に「双心の声」は、ファンの間ではかなり不評だったようですが、ムックにはめずらしいインダストリアル風味な曲で、個人的には好きな曲です。(^^;

全体的に手探り感が強いのと、当時のバンドを取り巻く環境や、バンド内での確執(茫然自失の歌詞はミヤの達瑯への皮肉とか?)等も影響してか、ちょっと纏まりが悪い感じがしてしまうのが、やや残念かな?


お気に入りの曲:
我、在ルベキ場所
双心の声
蘭鋳






Back



レンタルCGI ブログパーツ ブログパーツ ブログパーツ